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「NFTを購入する」≒「月の土地を購入する」

1.NFTは民法上の所有"権"を持たない

NFTは、デジタルコンテンツの所有権を示すものとして語られがちですが、正しくは民法上の所有権はありません。
NFTの購入によって得られるのは、あくまで所有「感」のみです。

わかりやすく例えるなら
「NFTを購入する」≒「月の土地を購入する」
一時期、恋人へのプレゼントとして月の土地を購入した証明書をプレゼントするのが流行しましたよね。
この証明書によって、人類が月へ移住を始めた場合に土地の権利を主張できると思いますか?
できませんね。これを理解し、評価する際に注意が必要です。


2.所有"権"と所有"感"

NFTの持つ価値や意味について考える際、まず「所有権」と「所有感」を区別する必要があります。
所有権は法律上の概念で、物質的なものに適用されるものであり、デジタルコンテンツには通常適用されません。
したがって、NFTがデジタルコンテンツの所有権を示すものではなく、むしろ所有感を販売するものと考えるべきです。
一方、所有感は「自分が何かを持っている」という感覚やステータスの一部として捉えるもので、NFTのようにブロックチェーン上に自分の名前が文字列として存在し、その文字列を書き換える(所有者を移動)ことができます。
仮に所有"権"を争う裁判になった場合、NFT所持者は敗訴するでしょう。

3.NFTの曖昧さ

NFTの曖昧さは、購入者にとって大きなリスクとなります。NFTを購入する際、何の権利を得るのかが不明瞭であり、契約や利用規約で定義されていない場合、購入者は実質的に何も所有していない可能性が高いです。
したがって、NFTの購入には慎重な考慮が必要です。

4.所有感の重要性

一方で、所有感は価値を持つことがあります。
NFTを所有することで、所有感を得ることができ、これに価値を見出す人々も存在します。
デジタル美術館のように、NFTを所有していることを誇示し、その所有感を楽しむ人々もいます。
所有感は個人にとって重要であり、これを提供するNFTは一定の価値を持つことができます。

5.結論

NFTはデジタルコンテンツの所有権を示すものではなく、むしろ所有感を販売するものと考えるべきです。
そのため、NFTを購入する際には契約や利用規約をよく理解し、何を購入するのかを明確にすることが重要です。
所有感は重要な要素であり、NFTはこれを提供するためのツールとして利用できるものですが、曖昧さに注意することが大切です。

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