映画って本当に良いものですね②:道(1954年)

【ネタバレなし】

※ジャケットに書かれているくらいの話は書いてあります。

貧乏な家に産まれた器量の悪い(頭が弱い)娘ジェルソミーナが、死んだ姉の代わりに旅芸人ザンパーノに買われて旅芸人一座に入って旅をする。イタリア映画の巨匠、フェリーニの傑作。映画の余韻がニーノ・ロータによる挿入曲とともに心に残り続ける・・・

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借金を理由に買われていく、という戦後の混乱期のイタリアを描いた映画。

ジェルソミーナは自身が買われた力自慢の旅芸人ザンパーノに尽くし想いを寄せていくのだが、ザンパーノは彼女を邪険に扱う。お金が入ると美しい女を買い、幌馬車からジェルソミーナを放り出しては女を抱く。

ザンパーノの言うのことをひたすらに聞き続けるジェルソミーナ。だが、何をやってもザンパーノに罵倒される。ザンパーノを好きな気持ちと、彼から逃げ出したい気持ち。そして、徐々に心が弱っていく・・・

主要人物はたった3人だけだが(あと一人は秘密)、今も心に残り続ける映画。

昔の名画を見てみると、映画史的な価値はあっても「この時代を生きる我々にストレートには響かない」映画も多い。だが、この「道」は、「街の灯」や「素晴らしき哉!人生」と並んで今もなお私たちの心に刺さり続ける。

それは、「人が生きること」に直結する、人間の心に生まれる、人が本質的に「持つことを避けられない感情」を描いたからではないでしょうか。

ニーノ・ロータの抒情的なメロディと相まって、魂が揺さぶられる。

学生の頃にはおそらく確実に理解できなかったであろうこの名画、人生経験を積んだ「大人」にこそ見てほしい一本です。そして、見始めたら必ず最後まで見てください。必ず。

「この世の中にあるものは何かの役に立つんだ。例えば この石だ。」
「どれ?」
「どれでもいい、こんな小石でも何か役に立ってる」
「どんな?」
「それは・・・おれなんかに聞いてもわからんよ。神様はご存知だ。お前が生れる時も死ぬ時も人間にはわからん。おれには小石が何の役に立つかわからん。何かの役に立つ。これが無益ならすべて無益だ。空の星だって同じだと、おれは思う。お前だって何かの役に立ってる・・・アザミ顔のブスでも。」

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