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僕が副業のなんたらが大嫌いな理由を自分の経歴から思考してみた

「副業やって将来に備えましょう!」とか「サラリーマンはもう給料が上がらないぜ!」とか言ってやたらと煽るやつ、嫌いです。単純に嫌いです。大事なことななので3回言います、嫌いです。

という私、サラリーマン時代にいくつか仕事を掛け持ちしてました。「それって副業じゃん!」といわれたら「そうですよ」と答えるようにしてます。が、あれら界隈が煽る副業とは絶対に違うと断言しておきます。言い方を例えば変えるのであれば副業は「複業」とすべきではないでしょうか?これは私が関わってきた職種に寄ってしまうのですが、競合他社でなければ全然OKじゃない?って話です。(勘違いしないでね)

では私が何をやってきたか、経歴を少しだけ振り返りながら、サラリーマンのあなたが関わるべき副業って何か、複業と表現する理由も合わせてまとめてみます。

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決して華麗ではない経歴をすこし…

私のサラリーマンとしてのスタートは某就職情報誌でした。様々な企業に取材へいき、経営者と呼ばる方の話を聞いて、その職場の雰囲気や仕事の内容を伝わりやすくまとめ、写真を撮影し、雑誌にする仕事がスタートです。

その雑誌に関わりながら、車メーカーのCM作成やカタログ作成も関わっていました。つまり大手就職情報に身を置きながら、個人でつながった相手から作成の仕事を頂いたり、雑誌の編集の仕事を頂いたりもしていました。私が複業と表現するのはここが起点です。

某就職情報誌はみなさんもご存知のあれ、作成した車のCMとカタログはレッドスターズカンパニーの「父ちゃんカッコいい」です。これでピンと来た方、同年代。この頃は複業とかの意識はなく、大学を中退して名古屋へ帰り着き、なんとか生活しなければいけないと生活費を稼ぐために複数仕事を請け負っていたということになります。

で、ある企業の取材で、その企業が担っている部品に感銘を受けます。同時にこれまで複の方の仕事を回してくれた方が名古屋から去ってしまい、名古屋生活にピリオドを打つ機会だったのでしょう。感銘を受けた企業に直接直談判し、就職してしまいます。

加工屋に転身!その先に待っていたのは?

そこで2年ほど工作機械を使った微細加工に従事、なにぶん初めてだらけだったので書籍やら工作機械メーカーの主催するセミナーやらで勉強し、数学的な知識も獲得していきました。
結構充実していた加工屋生活でしたが、ある時取引先から設計の依頼を個別に頼まれます。知ってるかどうかわかりませんが、釣具メーカー(自転車のほうが有名)のS社の外注先から軸設計のコンペに誘われます。設計なんてやったことがないのでその時はもう必要な知識を詰め込み、加工技術は上がっていたためかそのコンペに勝ってしまい、S社との付き合いが始まります。加工屋でも結局複業化してしまったんですね。

「趣味が仕事に変わるなんてこんないいことは無い!」なんて思いながら参画すると、世界を相手に商品を開発するしんどさと楽しさが同時に襲いかかり、諦めそうになるもなんとか作り上げ、世に出回ります。

どうやら好評のようで、務めていた企業の協力も得てS社との取引も順調に行く中、S社からの紹介で体温計の会社が「これを作れないかな?」と相談されます。それは今でも在職していた企業の基幹商品になっているのですが、機械精度がどうしても足りずに困っていた所に長野県の精密時計を作っている企業から「工作機械を一緒に作りませんか?」とお誘いが来ます。

まぁ、企業人やりながらですから、勤め先を裏切るわけにもいかず、「勤め先と取引という形なら参加します」と返事をして、相手もそれを快く受けてくださり、工作機械の細部に渡る仕様設計までを担ってしまいます。そこでどうしても精度が足りずに完成しなかったO社の内視鏡プラグを完成させ、O社は世界シェアを獲得するまで成長しました。

襲ってきたのは不況だった…

順調に思えた加工屋人生なのですが、00年代前半に転機が訪れます。ご存じの方も多いと思うのですが、ITバブルが崩壊、これまで順調に業績を伸ばしてきた半導体産業に大打撃を与えます。勤め先は300ミリウェハという半導体の通電検査芯を作っている会社で、バブル崩壊とともに売上の8割が消失、業績悪化に伴う倒産危機直前までダメージを与えられます。

O社、S社ともに基幹部品を勤め先に発注していたこともあり、全盛期の2割ほどの売上は確保していたのですが、流石に資金的に回らなくなってしまいます。そこへO社が提案したのが「内視鏡プラグの特許技術売却」でした。

この提案に手を上げたのが自動車部品大手のD社。「売却となると売上そのものがなくなってしまい、後に何もなくなってしまうので特許使用という方向で検討されてみてはいかがでしょうか?」との神のような提案があり、勤め先は特許の専属使用料を受け取る形で合意、製造ラインがD社に移管されます。

しかしD社にはその機械を扱える技術者がおらず、製造の権利を得たのだが刃物の交換すらできないというジレンマを抱えてしまいます。そこでD社は私の期限付き移籍を提案、年棒制を条件に私は技術者の端くれとしてD社に移籍します。

改善は乾いた雑巾をしぼるというより…

D社では研究所と呼ばれるところに配属されます。そこではまだこの世に出ていない開発途中のモノやこれから役に立つであろう設計途中のモノが溢れていました。これがもう、面白くって…。

内視鏡プラグの加工機をセッティングし、製造ラインの立ち上げに関与しますが、私が居ないと生産ができないというとんでもなくしんどい状況でした。理由としては加工プログラムが複雑すぎて、作業者には理解ができないこと、刃物の役割や何を使えばいいかもわからないこと、そして言葉が通じないこと(!?)。生産ラインは日本ではなく米国での敷設だったのです。

日本へ戻り、窮状を伝えますが、上層部はイマイチ理解ができず、生産ラインを止めたまま帰国。なんとかしなければオファーを頂いたO社の納期に合わせられないとピンチが続きました。が、D社の改善力はすごいですよね、関わる以外のワーカーがなんとか理解してくれて、納期にも間に合いました。

ライン敷設から帰国後に関わったのはY社との協業。QRコードリーダーのプログラム改良です。正確にはバーコードリーダーでQRコードも読めるようにしちゃおうぜ!ってノリで、基幹プログラムのアルゴリズムを組みました。今ではだれでも使ってるQRコード、カメラ機能で読めちゃうのはすごいですよね。後進が発展させてくれたんだと思います。

D社にいながら、S社とも軸の強度設計でお付き合い、C社とも機械設計と仕様設計でお付き合い、全てから報酬という形でお金を受け取っていたので、なんだかなんだフリーランスみたいな働き方でした。保険と年金はD社が持ってくれてたんで立場上はサラリーマンです。

複業をこなして見えてきたこと

最大3社とお付き合いしてきておもうのですが、人が人を呼び、企業の垣根を超えて協業して仕事を作っていくのだと感じます。そのため今流行の副業斡旋には非常に違和感を抱きます。

自分の中で複数の仕事のリソースを等しく掛けていくのは当たり前だと思っています。また、業種が違う職で活動するのはあまりおすすめではありません。これはもう、若ければスポンジのように知識や技能を吸収できますが、30を超えた辺りから勉強がしんどくなります。

そして、リソースも若い頃に比べて情熱的に活動できなくなって掛けれなくなってきます。「副業のすすめ」とかを一生懸命発信している人たちに共通してるのですが、自分はその発信だけを担っていますよね?だからその人のリソースはそこだけ集中すればいいので、ほかがどうなろうと「自己責任」という言葉で片付けてしまっているあたりははっきり言って罪です。

それでも副業を目指したい人へ

私は現在、ライター業を本業としています。本職は中小企業診断士です。本業と本職を別けていますが、これにはきちんと意味があって、仕事と職業を理解しているからなのです。

仕事とはお金を得る手段、職業とは社会に何を成しているかという意味ではないでしょうか?副業を斡旋したり勧めたりする人は本業とは全く別のビジネスを展開しろ!としきりに勧めてきます。You Tubeで発信しろだの、SNSでフォロワーを1万人作れ!だのと結構聞いたり読んだりしていて「無責任だよね」と断罪しちゃいます。

そこにリソースを掛けるなら本気で本業を取り組んで、一端になることをまず目指してほしいです。そうなるとほかから声がかかったり、協業のお誘いが来たり、ヘッドハンティングなんてのもされたりします。また、その本業で一端になると、困ったときに人に助けてもらいます。中途半端にYouTuberになったりTwitterのフォロワーが1万人以上いる人が助けてもらいたいって言ってますか?また本当に困ったときに助けてもらえるでしょうか?副業を~と言ってる人たちのここが不明瞭で結局「金、かね、カネ」と繰り返すだけになっていませんか?

お金があればそりゃ~やりたいことは自由にやれるし、人も動いてくれるかもしれない。でもお金の切れ目でその人達は居なくなりますよ。そんなの何人も見てきたので断言しちゃいます。

副業することがカッコいい!ではなくてお金を稼ぐ手段なのだからと割り切ってしまえば居酒屋でバイトしたっていいじゃないですか?他業種を覗きたいならそのほうが余程人生の役に立ちます。なんならコンビニだっていい、ユニクロだっていいんですよ。複数業種を経験できる時代になってきたんだから、訳のわからない言葉のアジに乗せられて時間だけ浪費するのは非常にもったいない。どうかどうか本業にリソースを割いて、考えて考えて考え尽くして行動してほしいなとおもうのです。

何社と付き合ったとか、これを作ったとか書きましたけど、そんなん全部過去のこと。過ぎたことなのです。実績はあるかもしれませんけどね、それより今、自分が何をしたいのか?を常に心に持っていたいと私は思うのです。その先にお金を稼ぐって項目があってもいいんじゃないですか?

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