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スクープか?壱岐市に何が起こってるのか?Vol.1

長崎県壱岐市、総人口は25085人(2020年現在)で面積139.42kmの有人島だ。九州本土から北西に約80km、玄界灘上に位置する離島で、北西の海上には対馬が位置している。温暖な気候で春一番の季語の語源になった地域だ。市域全域が国定公園指定を受けている珍しい地区でもある。海が美しく、漁業が盛んな地域で、温暖な気候も手伝って今若い世代に人気のある有人島でもある。この壱岐では今、とある計画が水面下で進行している。静かな島で何が起こっているのか?まとめてみたので一読してもらいたい。

Twitterで@壱岐移住と検索すると怪しいアカウントがRe:島プロジェクトってなんだ?

2020年10月21日のこと、仕事の息抜きにしているTwitterのタイムラインにこんなツイートが流れてきた。

長崎県壱岐市でRe:島プロジェクトなる事業が進行、移住希望者を募るという内容だ。ふと思うところがありTwitterで「@壱岐移住」と検索すると以下のようなアカウントが存在していた。

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一見すると壱岐に移住したい若い女の子のアカウントと思え、何も問題がないように見える。彼女(?)たちのページへ飛ぶとある共通項がひと目で分かるようになっていた。

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固定ツイートで上記のような内容が貼られていた。誘い文句も貼ってある画像も同一。推察するにひとりの誰かが5人分のアカウントを取得し、運用しているのではないだろうか?
離島へ移住するという文言だけを抽出して募集の内容を少しまとめてみると…

・簡単な電話業務:時給800円、一日4時間、週3日~
・テラスハウスのような共同生活の様子を撮影
・食費、家賃、光熱費、全て無料

とある。
誘い文句が「離島に移住してテラスハウスしませんか?」とあるので、読んだ方は混同してしまうかもしれないが、この募集告知は「電話業務のための勧誘」ということになる。後ほど詳しく書くが、テラスハウス的ななにかではない。

当事者へ突撃したぞ

先の画像の中にはLINE@への誘導QRコードが貼られている。筆者はそのQRコードを読んで、LINE@に登録してみた。登録してすぐに下記の画像のように返信が来たのだ。

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「離島への移住にご興味が…」とある。壱岐へとは書いていない時点で虚偽だ。壱岐へ移住したい人を募集していたのではなかろうか?と疑問に思う所だが、壱岐市出身ということにして、コンタクトを取ってみることにした。何分深夜のことなので心配だったが、即レスに近い勢いでレスが帰ってきた、「一度お話したい」とある。

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2枚目はコンタクトを取ってから詳細を聞き出しているレス。運営会社はどこか?今回の募集を主にかけている会社はどこか?Twitterでプロモーションを会社はどこか?と業務の内容は?などなど少々詰め気味で質問してみたらLINEあてに関係しているであろう会社のURLを送ってくれた。

では壱岐移住プロジェクト「Re:島プロジェクト」に関わっている会社がどのような業態か、見ていってみよう。

創業間もない3社がこのプロジェクトに関わっている

関わっている会社と思われるHPから、事業内容を見てみる。一社一社掘り下げてみてみよう。

株式会社LCVリレーション

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HPを覗いてみたら冒頭に「人と人の明日を結ぶ会社」とある。読み進めていくと人材派遣業を伴うキャリアコンサルティングの会社のようだ。法人検索を掛けると情報として出てくるが、気になる点が一つ、株式会社としての登記が令和元年12月9日、とても若い会社である。

キャリアコンサルがメインの事業で「上京ライフサポート」「キャリアコンサル事業」「企業向け採用アウトソーシング事業」等々、これといって怪しい点は無い。怪しいと勘ぐってかかっては聞ける話も聞けないのでだめではあるが。

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なにぶん若い会社なので実績を推し量るだけの情報は載っていない。が、Re:島プロジェクトのLINE@から繋がった会社がここであった。ちなみに会社所在地は東京、壱岐市ではない。
写真引用:株式会社LCVリレーション

株式会社AHGS(アーグス)

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次に電話にて話の中に出てきた「株式会社AHGS」を見てみたい。HPを開くとグローバルソリューションカンパニーという文言が出てきた。横文字がよくわからないが業務体型から察するに、電話アポイント業務を受託している会社のようだ。

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こちらもよく読んでみると人材派遣をメインとした会社。グローバルと謳っているので米国とか英国とかそちらかと思っていたのだが、グーグル検索で「アーグス」と検索するとなぜかセブ島の同名の会社HPへ飛ぶ。

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セブ島0円留学!とある。フィリピン政府の公式認定留学校のようだ。エンジニア力、ビジネス英会話が身につくとあるが、どんなことをするのだろうか?

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フィリピン・セブ島のアーグスHPに現地での業務内容の詳細が載っていた。セブ島で0円留学を提供して貰う代わりに自分自身がコールセンターで働いて、報酬も得られるとのことだ。若い子が単に語学留学だけで向かうよりも現地で生活しながら就業しながらのほうが人生の役に立つ。良い試みだと思うが実際にはどうなんだろう?

利用者の声が紹介されていた。これだけでアーグスがセブ島で行っている事業に白黒つけるのは難しいが、参考にはなると思う。

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就業よりも留学がメインなので働いて何したことより現地で遊んだことのほうが印象に残るのだろう。感想を寄せている中でひとり中国人が居たのには驚いたが。

また、先のLCVリレーションと同様、アーグスもまた創業間もない企業だ。株式会社の登記が平成30年9月なので若い会社であることは間違いない。もし東京に所在地のあるアーグスとセブ島のアーグスが同一の会社なら、両方調べた上で整合性を取ってみたい。

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アーグスの会社登記情報は上記になる。平成30年設立なのか、株式会社化したのがその時期なのかはわからない。人材育成を担う会社と人材を海外派遣までする会社とで今回のRe:島プロジェクトを進めているとのこだが、業種がかぶるのは気の所為だろうか?
写真引用:株式会社AHGS(アグース)

株式会社ツイスタープロモーション

最後に紹介された会社がプロジェクトの集客を担う会社であると説明された。会社登記はあるようだが、設立が令和2年6月と非常に若い会社である。また最近のコロナ禍で十分な実績が無いのではなかろうか?社長と呼ばれる方のInstagramは頻繁に更新されているようだが、所属のタレントさんがTVやラジオ、雑誌に出ているとはどこを調べても載っていなかった。

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LCVリレーションの採用担当者曰く、プロモーションを担っているのがツイスタープロモーションなので、集客の方法はわからないと答えていた。しかしいくら別会社とはいえ、自分の会社のプロモーションがTwitterでしかも釣アカウントで運営されていることに疑問をもたないのだろうか?

筆者が疑問に思う所は他にも多々あるのだが、一番突っ込みたい所はこの集客方法だ。
Twitterで偽物と思われるアカウントで募集告知のURLと文言だけ載せてだれが応募するのだろう?「コロナ禍で壱岐市とまだ連携できてないんですよ」としきりに担当者は計画が遅れていることをアピールしていたが、まともな会社であればちゃんとキャンペーンを打って、リードを掛けるのではないだろうか?マーケッティングの理解が一つもないとこうして安易にSNSで集客したがるのだ。そして怪しさ満点のプロジェクトは完成する。

推察でしか無いが、コロナ禍がなかったとして、壱岐への事業計画が順調に進んだとしたら、先に挙げたTwitterアカウントは何万人とフォロワーを購入し、この移住事業への誘導を行っていたのではないだろうか?
一人あたりフォロワーを1万人つけたとして、5人で5万人。フォロワーは属性リストがあるので「留学」や「移住」といったKWを検索しているフォロワーを集めること(購入する)は可能だ。もし予算仕事として動いているのならステルスマーケティングではなかろうか?

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写真引用:株式会社ツイスタープロモーション

壱岐の事業とはなにか?

先の文中に「壱岐での事業」と書いた。Twitterからの募集の横行と思われる投稿に「地方を盛り上げようって、国の方針もあるようです♪(原文ママ)」という文言も見受けられる。では次に行きで行う予定の事業とはなにか?彼らの謳う、国の方針とは何かを考察していこう。

「有人国境離島地域の保全及び特定友人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針の概要」とは?

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※長いので以下基本方針と呼ぶ。
上記にあげた写真を参考にしてもらいたのだが、有人島(壱岐や対馬など)が過疎化によって人工が減少、移住によって無人化の恐れがあり、国防面での不安がある、と要約できる。対馬は知っての通り本州から行くよりも韓国からのほうが近い。壱岐も同じような島である。過疎化、移住によって人口が減少すると、国境地域から日本人が居なくなるので尖閣や竹島のようにどこかの国が実効支配してしまう恐れがある、ということだ。
そのため国は緊急に基本方針を打ち出した、それが前出の基本方針である。

「国の方針がある~」とは国境の島の過疎化を移住人口で増やし、事業者も含め地方を創生したいという思惑があるようだ。→有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法
基本方針だけかとおもったが、法律として制定されている。移住の文言もリンク内の記事に載っていたので興味のある方は確認してみてほしい。また五島列島だけではなく、北海道や沖縄も同様の法律が制定されている。

では次に、壱岐では何が起こっているかをまとめてみる。

壱岐市雇用機会拡充事業とはなにか?

壱岐市では壱岐市雇用機会拡充事業の名の下、様々な機会拡充が事業立案され、採択されている。公募制だったようで、中にはあからさまな補助金狙いで事業申請した農家もあると聴いている。また、島外からの事業者も多くこの事業に関わっている。

令和2年度の公募結果の中に、先に挙げた「AHGS」の名があった。写真を見てもらえばわかるのだが「コールセンターを新設開設し…」とある。
ここで一つ注目してもらいたいのが、事業区分のところ。「拡大」になっているのにお気づきだろうか。事業説明欄にはコールセンターの新設、開設と説明されているのに、何故か区分が「拡大」なのだ。

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ではこの拡大が何を意味するか?次の資料を参考ししてほしい。

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事業概要の欄にある「事業費上限」、そこに「事業拡大:事業費1600万円」とある。これは事業に対する補助金の上限額で、事業拡大だと1600万円まで国と壱岐市が補助しますという文言だ。ただし、これが創業支援だと半額以下の600万円、事業拡大という区分に指定して、3/4の事業費を国と市からの補助金で賄おうという算段だ。

次に壱岐市が発行している補助対象事業費の上限額の説明がされている。

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事業費用の全体が例えば1600万円だったとして、その3/4を補助しますなので、満額だと1200万円受けとれることになる。1200万円で何が出来るかはとりあえず置いといて、事業費は予算策定でいいと思うので400万円の自己資金は実質0円でよくなる。

これが補助、助成金ビジネスと言われる所以で、実際には事業費として挙げることのできない項目を積み上げていく。領収書も偽造していたとしたら、先の業者が全て計画的におこなったとしたら、補助金の1200万円は全て降りることになる。

で、この補助、助成金は計画から実行、事業実態の精査までセットになっていない。例えば「〇〇の書類を用意して、〇〇の領収書と金額を合わせておいてね」といった不正は後を絶たない。最近流行りの事業継続給付金の仕組みよりも簡単に偽造したりできてしまう。

で、最近は支払いの証明が必要なので、銀行口座の提出が求められる事が多い。使った資金を細かくして精査する意欲を削ぐか、まとめてこれだけ払いました(けど後で返してもらいます)と申請するかは定かではないが、補助金狙いなら間違いなく抜かりなくやってくるだろう。事業実態が曖昧な会社ばかりなので、後ろにブレーンがいるのでは?と勘ぐりたくなる。

ネットで調べることが出来る内容はとりあえずここまで。追記だが、Re:島プロジェクトの担当者にその後の展開はどうなったかを投げてみた。
返答があったのだが、「コール業務委託元より沖縄の人材が不足している」「この状況では壱岐の開始に踏み出せない」と返答があった。

ここで疑問なのが「沖縄の人材が不足している」という点。もしかして#沖縄移住 とかでツイスタープロモーションが人を募集しているのかもしれない。

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壱岐のRe:島プロジェクトは現状動いていないと判断できる。ここから先は壱岐市の中の人と協力し、現状の確認と市長サイドの話を聴いてみないことには追いかけきれない。

というわけでこの先の記事はマガジン化した上で有料とさせていただく。この記事も最後まで無料で読むことが出来るが、投げ銭感覚で活動にご寄付いただければ幸いだ。

今後は情報が入り次第、随時更新していく。

※一部誤字の修正と表現を変更いたしました(20201102)


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