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手紙って良いですよね…。あなたが贈る人生最後は誰に向けますか?

映画「LastLetter」の試写会、行ってきました。最速かどうかは知りませんが、昨年から非常に気になっていた映画で、岩井俊二監督の実に4年ぶりとなる作品。リップヴァンファングもスワロウテイルも好きで仕方ないのですが、今作はもう、大好きです。

映画の感想を書く。これ自分自身あまりやりません。だってその作品の感想を人に押し付けてしまうようで、先入観の与えてしまうことはあまりに製作者に失礼だと思うので、あえて映画レビューは書かないでいます。

しかしラストレターという映画、一言で感想を述べてしまうなら「年頃の娘と観に行けて本当に良かった」と締めたい、そのくらい素晴らしい映画です。これはもう、ぜひ映画館で御覧くださいとおすすめします。では少しだけラストレターについて書いていきます。あ、先入観を持ちたくない人はどうかブラウザを閉じてください。内容には触れませんが、読んでからだと面白さが半減してしまうといけないので。

いい意味ですべての出演者が主張しない

今作品はいい意味で出演している俳優さんが誰一人として主張しません。回想シーンと現在が行き来するのですが、その全ての時間が止まってしまったかのような、そんな印象を受けます。また、物語を進めていくうちに謎が明らかになるとか、推理小説のようなスピード感あふれる展開は一切ありません。それどころか、淡々と過去の自分を映し出しているかのようなそんな感覚に陥ります。

誰もが「初恋」を体験しているし、誰もが苦い思い出を持っていますよね?それを生々しく思い出させてくれるような、でも時間がそれを優しく包み込んでくれるような、そんな感覚でストーリーが進みます。

つまりは「誰かのラブレターを空の上から覗いているような…。」そんな映画です。

キャスト、映像、音楽、すべてに監督の色が出ています

岩井俊二監督の実体験から基づくストーリーとなっています。が、そんな体験全然特別なものではなく、いつの間にか自分の実体験のように、思い出の1ページを自分自身が覗いてしまっているかのように、映像も音も作り込まれています。これはもう岩井俊二のというよりも自分自身のリアルな現在。

スピード感が皆無なストーリー展開はスワロウテイルの近未来的な感覚というよりpicnicやラブレターに近い作り込みです。ただ、誰かが不幸になったり、ハッピーエンドで終わる映画ではありません。現実に近い、と言ったら良いでしょうか?作中である登場人物が「私の悩みに比べたら遥かに自分が小さく見えてしまった、だから自分の場所に戻るわ」と。

ただ一点、豊川悦司さんと福山雅治さんのシーンは圧巻。120分の映像の中でもっとも見どころのあるシーン。岩井俊二監督の真骨頂がそこに詰まってます。

観終えた感想をもう少し述べるなら

感想を求められたら「最後に誰に手紙を書きたいか?」これに尽きます。

自分の人生をそれぞれの出演者が考えながら演じられていると感じられます。だから福山雅治でも松たか子でも広瀬すずでもなく、自分を投影させて観てほしいです。そして観終わった後に誰にどんなメッセージを残すのかと、じっくり一度考えてみてほしいと。

僕は偶然か、今回は娘と試写会へ行きました。結果、この映画を思春期真っ只中の娘に見せることができて良かったと思います。

誰に、は自分の最も愛している人でも、最も大切に思う人でも、あなたの思う人と観てほしいです。僕は、その相手が娘だったのだろうと、そんな事を感じた映画でした。あなたも是非に、一冊の本をじっくりと読み終わった後のような、そんな感覚に浸れます。

映画「ラストレター」は全国東宝系の映画館にて1月17日~。

出演・松たか子 広瀬すず 庵野秀明 森七菜 小室等 神木隆之介 福山雅治

監督・岩井俊二 音楽・小林武史
https://www.last-letter-movie.jp/

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