過半数代表者に選ばれた皆様へ_ページ_1

過半数代表者の選出方法は適切ですか?

 2020年4月1日からの派遣法改正で、ほとんどの派遣元事業主が労使協定方式を採用すると考えられています。

 労使協定方式の最も重要なポイントは、過半数代表者の選出方法です。

 適切な手続きを経て選出された過半数代表者と締結された労使協定でなければ、【労使協定方式】は適用されず、【派遣先均等・均衡方式】が適用されます。

 労使協定方式が適用されるためには、選出方法の確認だけではいけません。選出された過半数代表者が制度の概要をしっかりと理解していることが大事なのです。

 そこで、派遣の同一労働同一賃金での労使協定方式の重要なポイントである過半数代表者の選出についてのリーフレットが厚生労働省から公表されました。とてもわかりやすくまとめられています。派遣元、派遣先もこのリーフレットを活用し、理解を深めましょう。

 出典:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/content/000594471.pdf

 1.派遣元事業主は、派遣労働者自身が同一労働同一賃金の概要を理解できるように情報を共有し、説明をしましょう。

 詳しくは厚生労働省ホームページ 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2.労使協定の手続き面などを確認しましょう

 労使協定方式を選択した場合の一番重要なポイントです。

✅過半数代表者の選定手続きは適切でしたか?
☞ 派遣労働者を含むすべての労働者から選出されていることが必要です
☞ 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないことが必要です
☞ 労使協定を締結する者を選出することを明らかにして実施される民主的な方法(投票、挙手など)により選出されていることが必要です
☞ 労働者の過半数の信任を得ていない労働者個人は、過半数代表者とは認められません。
☞ 派遣元事業主の意向に基づき選出された者でないことが必要です
✅ 派遣労働者の意思は反映されていますか?
派遣労働者は自らの待遇について、派遣元事業主と意見交換する機会が少ない場合があります。その場合には、過半数代表者を選任するための投票などと併せて意見や希望などを提出させ、これを過半数代表者が派遣元事業主に伝えることなどにより、派遣労働者の意思を反映することが望ましいものです。
  ✅過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう派遣元事業主は配慮していますか?                              例えば、過半数代表者が労働者の意見集約などを行う際に必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む)や事務スペースの提供を行うことなど、派遣元事業主は配慮を行わなければなりません。

3.労使協定の内容を確認していきましょう

  労使協定の対象となる派遣労働者の範囲は?

  私がお勧めするのは、職種毎に、労使協定方式と派遣先均衡均衡方式を分けるようなことはせず、全派遣労働者とすることです。

 一部では、派遣先の正社員の処遇が低いということを理由に【派遣先均等・均衡方式】にして欲しいという派遣先もあると聞いています。

 処遇を低くするための【派遣先均等・均衡方式】を適用した場合、果たして、必要とされるときに、必要とされるレベルの人材を集めることができるでしょうか?

 求められる人を、求める人へ、求めるタイミングでマッチングすることが派遣サービスだと思います。

 派遣先様も一緒に同一労働同一賃金の意義を考えて、本来の目的を達成するために、必要なコストを考えましょう。

✅ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲は適切ですか?
協定の対象となる派遣労働者の範囲を定める際には、職種(一般事務、エンジニアなど)や労働契約期間(有期、無期)などといった客観的な基準が必要です。また、その範囲を「賃金水準が高い企業に派遣する労働者」、性別、国籍などの他の法令に照らして不適切な基準とすることは認められません。
同じ派遣元事業主の中で、派遣先均等均衡方式が適用される派遣労働者と労使協定方式が適用される派遣労働者がいる場合は、適切な基準を確認しましょう。
✅ 職種の選択は適切ですか?
同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額(※1)(以下、「一般賃金」という)の基本給・賞与・手当などの算定の際に、局長通達(※2)の別添1または別添2から職種を選択する際は、協定対象派遣労働者が従事する業務と最も近いと考えられるものを選択します。例えば、協定の対 象となる派遣労働者の「中核的業務」をもとに選択します。
※1 労働者派遣法第30条の4第1項第2号イ。詳細は、局長通達(※2)をご参照ください。
※2 令和元年7月8日付け職発第0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について」
☑ 通勤手当の支払い方法について確認しましたか?
労使協定方式では、通勤手当の支払い方法は「実費支給」、「固定額(時給換算で72円以上)を支給する」などの方法があります。派遣元事業主がどのような方法を選択したのか、確認しましょう。

能力・経験調整指数とは、業務の内容と責任の度合いにより比較するもの

  能力・経験調整指数は、今、現在 派遣労働者の業務内容を確認し、一般労働者の勤続何年目の業務内容に該当するかを考慮します。

 能力・経験調整指数は、派遣労働者の勤続年数や経験年数と同じではなく、業務内容のレベルと責任の度合いにより、当てはめていきます。

✅ 能力・経験調整指数の当てはめは適切ですか?
能力・経験調整指数は、協定対象派遣労働者の能力および経験を踏まえつつ、一般の労働者の勤続何年目相当に該当するかを考慮して適切なものを選択することが必要です。
例えば、現在の派遣会社での勤続年数が0年目である派遣労働者について、派遣労働者の能力・経験を考慮せず、0年目の能力・経験調整指数を一律に当てはめることは問題となる可能性があります。

✅一般賃金額と対象従業員の賃金額が同等以上となっていますか?
☞ 対象従業員の月給などを時給換算額に置き換える際に、適切な計算方法となっているか確認しましょう。
☞ 対象従業員の賃金のうち、賞与や手当などは、「直近の事業年度において対象従業員に支給された額の平均額」などを用いることも可能ですが、平均額などの計算が適切なものとなっているか、個々の派遣労働者間の待遇差などを確認しましょう。
☞ 対象従業員の賃金は、労働基準法の賃金が対象となり、そのうち時間外、休日および深夜の労働に関する手当などは含まれません。不適当な賃金 が含まれていないか確認しましょう。
※固定残業代についても、原則は対象従業員の賃金の対象にはなりません。
☞ 現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、一般賃金の額の水準に引き下げるなど、賃金を引き下げてはいないか確認しましょう。
※派遣労働者の待遇改善を図ることを目指す改正労働者派遣法の目的に照らして問題があります。
✅ 昇給規定などが定められていますか?
職務の内容に密接に関連して支払われる賃金は、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、
能力または経験やその他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に改善されるものでなければなりません。
これらの事項のうち、どの事項をどのように考慮するかは、基本的に労使に委ねられるものですが、実質的に派遣労働者を昇給させていない運用を行っている場合や恣意的な運用を行っている場合などは問題となる可能性があります。

退職金は、3つの選択肢の中から選ぶこと

  退職金について、誤解されている派遣元事業主が多いようです。

  退職金は、次の3つの選択肢の中から必ず選ばなければいけません。

■選択肢1:退職金制度による方法                  (局長通達 別添4で設定された一般の労働者の退職手当制度と同等以上)
■選択肢2:退職金前払いによる方法                (前払いによる支給額が時給換算で一般賃金のうち基本給・賞与・手当などの額の6%以上)
■選択肢3:中小企業退職金共済制度などへの加入による方法     (掛金などの退職給付の費用が一般賃金のうち基本給・賞与・手当などの額の6%以上)

  「派遣元に退職金制度がないから関係ない」は、間違いです。同じく、派遣先に退職金制度がないから関係ない」も間違いです。また、自社の退職金制度があるだけでは、労使協定方式に適用できません。

  選択肢1:退職金制度による方法(局長通達 別添4で設定された一般の労働者の退職手当制度と同等以上)

  選択肢1を採用する場合に、一般の労働者の退職金手当制度と同等以上をどう確保するかを確認する必要があります。

詳しくは、「誤解していませんか?派遣の労使協定方式の退職金の取り扱いについて」をご参照ください。

✅退職金について、どの方法を選択したか確認しましたか?
労使協定方式で一般賃金(退職金)は、以下の選択肢1~3のいずれかを労使の話合いで選択する
こととしています。派遣元事業主がどの方法を選択したのか、確認してみましょう。
選択肢1:退職金制度による方法(局長通達 別添4で設定された一般の労働者の退職手当制度と同等以上)
選択肢2:退職金前払いによる方法(前払いによる支給額が時給換算で一般賃金のうち基本給・賞与・手当などの額の6%以上)
選択肢3:中小企業退職金共済制度などへの加入による方法(掛金などの退職給付の費用が一般賃金のうち基本給・賞与・手当などの額の6%以上)

4.そのほかに協定に記載が必要な事項

✅ 派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力または経験などを公正に評価して賃金を決定すること
「労使協定の対象とならない待遇」(法第40条第2項の教育訓練及び法第40条第3項の福利厚生施設)および「賃金」を除く待遇について、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な相違がないこと
✅ 派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施すること
✅ その他の事項

・有効期間(2年以内が望ましい)
・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合はその理由
・特段の事情がない限り、一の労働契約の期間中に派遣先の変更を理由として、協定の対象となる派遣労働者であるか否かを変えようとしないこと

【保有資格】
特定社会保険労務士 ハラスメント防止コンサルタント シニア産業カウンセラー  健康経営エキスパートアドバイザー キャリアコンサルタント 公認不正検査士 内部監査士 衛生工学衛生管理者 ワークライフバランス認定上級コンサルタント キャリアトランプ®認定講師、アンガーマネジメントファシリテーター

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