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色のユニバーサルデザインのお話

色彩講師の長澤陽子です。

今回は「色のユニバーサルデザイン」についてのお話です。
「ユニバーサルデザイン」という言葉は聞いたことある方も多いことでしょう。
身の回りにある製品や街に出ればユニバーサルデザイン対応のトイレなどを目にしたり、実際に使用したりする機会もありますしね。


色のユニバーサルデザイン

色にもユニバーサルデザインという考え方があります。

日本では男性20人に1人の割合で色の見分けが難しい方がいらっしゃいます。女性は500人に1人の割合ですが、全国で300万人以上

周りが気が付かないだけで、実はとても困っている方がいることを知って欲しいなと思っています。

例えば、
・「重要な箇所」が良く分からなくて読み飛ばしてしまい後で困るケース
・「Excelの○○色のセルを集計して報告書にまとめて」と言われたけど○○色が分からなくて困るケース
いずれも色の見分けが難しいため起こるケースです。

後、これは私の友人のお話。
「デパートでグレーのピンストライプのワイシャツを買ったんだよ。試着もしてサイズもピッタリで気に入ってさ。次の日会社に着て行ったら、○○さんピンクのストライプなんて珍しいですね。って女性社員に言われてさ、え~っ、ピンクだったの。僕さ色が良く分かんないから、それから定員さんに色を聞いてから買うことにしたよ~(笑)」

本人は至って明るく、面白おかしく飲みの席で話してくれましたが、やはり日常生活で困ることもあると言っていました。

これ以外にもいろんな話を聞きましたが、「色が出来ること」「色にしか出来ないこと」がある!!!

だからこそ、色のユニバーサルデザインについて「正しく理解して欲しい」し、「そういう方をもっともっと増やして行きたい!」これが私の素直な気持ちです。

で、「よく間違われている」ことですが、

色のユニバーサルデザイン

上の画像。シミュレーションソフトを使用して作成したものです。

1型色覚~3型色覚の所を見て、「この色覚の方は、こういう色で見えています」とブログ等に掲載されているのを良く見かけます。

が、これ間違いです!!!

これは、その色覚の方の色の見え方を示しているのではなく、見分けづらい色の部分を示しています。

色覚タイプによって見分けづらい色があること、そして、誰もが見やすい色の選び方を多くの方に正しく理解し、知っていただきたいです。


また、人は加齢によっても色の見え方は変わってきます。
老眼や白内障などによって、一般的な色覚を持っている方でも若い時と色の見えは変わって行きます。残念ながら、徐々に感度が悪くなっていくんですね。
だからこそ、色のユニバーサルデザインは全ての方に知っていただきたい内容です。


そして、ここからはもう2つお話を。
私は、2019年4月~足立区UD推進会議委員として活動をしています。区内のUDに関する事業に対して評価を行うのが役目。色のUDに関してはもちろんですが、区の刊行物やHPなどのSNSも全てUDの目線で評価を行います。
その際に良く出てくるのが、「UDフォント」や「やさしい日本語」。そのお話も少し書いておきます。


UDフォント

UDフォントとは、ユニバーサルデザインフォントのこと。
フォントの種類によって、見づらいものがあったりしますよね。UDフォントを使うと、かなり識別しやすくなるので読みやすくなります。

実は当教室では、もう10年前位から配布資料類はUDフォントを使用しています。メイリオやSegoe UI(Windows)も使うこともありました。

何故かというと、その頃から留学生を指導しているからです。

日本語能力に差があるため、配布資料にルビ(ふりがな)は必須です。
で、昔からある、MSゴシックやMS明朝で資料を作ってルビを振る、それをコピーすると文字が潰れてしまって読めない…。

そんなこともあり、「読みやすさ」を考えてUDフォントにしています。
また、オンライン授業やオンラインレッスンをする機会が増えました。そのスライドも全てUDフォントを使用しています。

▼UDフォントのスライド(文字少な目ですいません…)

区の刊行物などもUDフォントが増えて来ています。
それと、色と文字って一緒に使うことが多いですよね。ですので、色のユニバーサルデザインと一緒にUDフォントのことも知っておくと良いですね。

最近では、最初から搭載されている無料のUDフォントもあります。
資料作成時にちょっと思い出してみてください。


やさしい日本語

これは、区のHPなどで良く出るお話です。最近は外国籍の方も多く、日本語以外に英語、中国語、韓国語など複数の言葉で案内する必要がありますね。

特にHPなどは翻訳ソフトを使用しますが、複雑な日本語は直訳すると意味不明…。そうならないために、誰にでも分かりやすい日本語で表現する必要があります。

もちろん、紙ベースの案内資料なども同様です。
やさしい日本語で、ルビを振れば、多くの外国籍の方にも伝わりますね。

これ留学生を指導する時も同じで、分かりづらい日本語の言い回しは、簡単な日本語で説明します。そうすると、みんな「うん、うん」と頷いてくれます。

これも直接色と関係はありませんが、間接的には関わりがあるのではないでしょうか。HPや案内、資料などを作成する際、外国籍の方にも広く知っていただきたい内容であれば、やさしい日本語表現は必要ですね。


長くなりましたが、もう少しお付き合いください。

UD推進会議委員として活動していていつも思うことは、
・色のユニバーサルデザインのことをもっと知って欲しい
・そして正しく理解し活用できる人を増やして行きたい

です。

1人でも多く、一緒に声を上げてくれる方が増えるといいな。といつも思っています。



最後に講座のご紹介です。興味のある方は、どうぞ。

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