【ユニオンアリーナ】ゲーム分析その6:確率の先を考える
※本記事の画像は全てユニオンアリーナ(https://unionarena-tcg.com/jp/)様が出典となります。
昨年の秋頃から、エナジー発生の事故率をまとめた優良な記事が出てきた他、エリア戦が活発になったことで強いリストが公開されることも多くなり、改めて0.1エナジーの採用枚数に関して論じられる機会が増えたと感じる。
本記事ではエナジー発生の事故率及び、その先の思考に関して持論を展開する。
エナジー事故を一元的に捉えるべきではない
0.1エナジーを増やす行為は事故率を下げるためではなく、勝率を上げるために行うという意識が必要だ。
何を当たり前のことをと思うかもしれないが、筆者も結構最近まで出来ていなかった。
エナジー事故という事象は
発生した時としない時のゲームの強弱差
及び発生した時のゲームに対するネガティブイメージ
からゲームへの影響が極端に大きいと感じやすいため、0.1を14枚以下に減らす構築は根拠も薄いまま敬遠されがちである。
ここで根拠を生むために必要なのが数字(エナジーの事故率)になるが、数字そのものは根拠にはならない。
根拠となるのは数字を元に導き出した結論であり、今回の場合であれば0.1を減らすことで起きるデメリットとメリットの比較によって、初めてこれを論じることができる。
例えば
0エナジー12枚+1エナジー4枚の計16枚構築だと93%で2ターン目に2エナジーが発生するが、ここから1エナジーを2枚減らした構築だと89%まで低下する。
しかし「事故率が7%から11%まで伸びるから」は0.1エナジー14枚を否定する根拠になり得ない。
何故なら「0.1エナジーが減った代わりに増えたカードがもたらす勝率の向上」が度外視されているし、そもそも「事故率7%なら許容できる理由」が一切説明されていないからだ。
ここで根拠として求められるのは「0.1エナジーを減らした代わりに増えたカードがもたらす勝率向上<0.1エナジーが増えたことによる勝率向上」の説明である。
今回のケースで言えば0.1エナジーを増やした場合4%のエナジー事故が解決されるが、その4%のうち半分のゲームで勝利できるとして「0.1エナジーが増えたことによる勝率向上」はざっくり2%程度と仮定しよう。
この2%の勝率向上に対して「0.1エナジーを減らした代わりに増えたカードがもたらす勝率向上」が2%未満であることが論じられた時、初めて「0.1エナジーを16→14にしない方がよい根拠」となる。
と、ここまで話を続けたが、「0.1エナジーを減らした代わりに増えたカードがもたらす勝率向上」が2%未満であることを論じるのは難しい場合も多い。(そもそも人に説明しないのなら言語化の必要性も薄い)
なので今回の話で持ち帰って欲しいのは、0.1エナジーを増やす選択を行う際、その裏に潜む「0.1エナジーを減らした代わりに増えたカードがもたらす勝率向上」を考えながら行うといった意識である。
最終的にはなんとなくでもよいので「この程度の影響力では2%も上がってなさそう」「代わりに入るカードがこの強さなら流石に2%は上がっているんじゃないか」というのをデッキ作成や対戦の中で思考さえ意識付ければ、より正確に強いデッキへ導くことができる他、他者との意見交換においても論点が明確になりやすい。
終わりに
以上のようにエナジー事故は「0.1エナジーが14枚だと事故率が高いから避けるべきだ」といった一元的な視点で判断することは望ましくない、カードプールや環境によって変化する多元的なものであるという認識をするべきだ、という主張を行った。
極端な話、高い勝率寄与を誇る高エナジーカードが多く存在するのであれば、0.1は12枚にでも8枚にでも減らすべきだし、逆に高エナジーに魅力的なカードが薄いのであれば徒に事故率を上げる必要は無い。
また本記事では便宜上ざっくりとした説明になったが、
0.1がレイド元になる場合の勝率寄与
0.1を増やした結果2ターン目に攻撃できる機会増加による勝率寄与
そもそも2ターン目に攻撃することが望ましいデッキとそうでないデッキがある
など、実際には例に挙げたケース以外にもっと複雑に要素が絡み合っている。
現実問題、このような細かい要素を全て分解しながら数字だけで天秤に掛けることは困難であるため、前もってロジックを用意しながら、対戦回数を増やして感覚とロジックの擦り合わせを行うのが結局のところ最も正確性が高い。
次の機会はこういったマクロな話だったり、今回の話の地続きで何故0.1エナが14-18枚に落ち着きやすいのかみたいな更に入り込んだミクロな話をしようと思う。
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