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【ユニオンアリーナ】環境変遷とプレイヤーの軌跡
※本記事の画像は全てユニオンアリーナ(https://unionarena-tcg.com/jp/)様が出典となります。
ユニオンアリーナは様々なアニメ・ゲームのタイトルのキャラクターが、その枠組みを超えて戦うカードゲームである。
そのためカードゲームプレイヤーだけでなく、そのタイトルのファンユーザーが参入するパターンも多い。
こういったユーザーにターゲッティングしてあることから、イラスト描き下ろしや限定プロモカードによるトレーディングの要素もあり、ゲームルールも比較的TCG初心者に優しく設定してある。
そう、ユニオンアリーナは各タイトルのファンが可愛くてカッコいい推しとキャッキャウフフできるゲーム。
…と思っていたが、インゲームは予想を遥かに超えて骨太なものだった。
これはユニオンアリーナがリリースされてから約半年の間に歩んできたメタゲームの変遷と、それを形作るプレイヤー達の軌跡を綴ったものだ。
4月環境(ギアス・H×H・呪術が発売後)
DECK1:緑コードギアス(ランスロット)
![](https://assets.st-note.com/img/1694652636834-r0AT4p950f.png)
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ユニオンアリーナは1ターンに3APという限られた行動権の中で、1AP辺りの行動を如何に強く出来るかによってゲームの進退が決まる。
大きくて強いユニットをプレイするというのは、このゲームルールに対して最もシンプルな解だった。
とりわけプレイヤーレベルが成熟していない黎明期の段階では、早い段階からフロントラインにキャラを並べて速い展開のゲームを作れるプレイヤーが少なく、ランスロットが比較的容易に着地できることもあって非常に強力なデッキとして成立していた。
4月環境においては【学園】【宿儺の指】と並び各地で入賞報告が相次ぎ、環境を定義する存在となる。
DECK2:青呪術廻戦(宿儺)
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ユニオンアリーナの戦術区分はリリースから今日に至るまで大まかに4つの系統に分類される。
・速度(学園)
・除去(真人、紫ギアス)
・展開(白夜叉、伏黒)
・脅威形成(宿儺、ランスロット)
基本的に上の戦術は一つ下の戦術を苦手とする場合が多く、最下段(宿儺・ランスロット)は最上段(学園)を苦手とする、と言ったように一周している。
上記以外のデッキも例えば
・ノクチル(展開と脅威形成のミックス)
・リンウェルアルフェン(速度と除去のミックス)
と言ったように、4系統を各々の配分で内包しており、これの度合いによって有利不利を決定付けられている。
そんな中、呪いの王はユニオンアリーナで最も偉大な脅威として君臨していた。
〈伏魔御厨子〉はユニオンアリーナにおいて何よりも遅く、そして何よりも強くアクティベートする。〈宿儺の指〉が全て集まる前に倒し切る他無い。
環境最速の【学園】が全てのデッキに「最低限の防御力」を要求したように、彼の存在もまた全てのデッキに「最低限の攻撃力」を要求した。
5月環境(鬼滅・シャニマスが発売後)
DECK3:青シャニマス(ノクチル)
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環境が変化する上で、デッキの強さというのは結果ではなく要素の一つである。
デッキの強さという要素によって、該当デッキの数が増え、環境が変わると言う結果に繋がる。どんなにデッキが強くても数が居なければ環境が変わることは無い。
逆説的に、デッキが最強で無くとも数さえ増えれば環境は変わる。しかし、カードゲームにおいて強さの伴わない結果(増加)など夢幻である…
…
そんなことは無かった。
シャニマスは最強でこそ無かったが、ファンユーザーの多さから高いシェア率を維持し、明確に環境への影響を与えたタイトルだ。シャニマスってすごい。まあ千雪が可愛いので当然なんですが。
とりわけ【ノクチル】に関しては高いピークを持つことから、純粋な人気だけに留まらなかった。質の良いドローとAP回復によって多面脅威の形成に長けており、【学園】を倒しにきた【真人】のような除去デッキを食らった。タイトルの人気も相まって環境において意識しなければならない存在となる。
DECK4:赤コードギアス(学園)
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ユニオンアリーナを語る上で本デッキを取り上げないなんてことは出来ない。
ユニオンアリーナのリリース時、高いライフアプローチの性能から、【学園】は強力なデッキだと考えられていた。しかし1ヶ月が経ち、それは認識の誤りだと気付かされる。
強力どころではない。【学園】は最強だった。
リリース当初は〈レイドシャーリー〉採用が主流であったり「特徴:ピザ」との混合があったりと広く派生が存在していたが、段々とユーザーの集合知が形成されていき、最終的にはありとあらゆるデッキを貫けるほど鋭利になっていた。
本デッキ最大の特徴は「後列が付与するブロック回避能力」による確実性の高い攻撃性能である。
フロントラインのユニットの質がどれだけ低かろうと、エナジーラインのナナリー2種がアタッカーへと昇華させてくれる。そのため0.1エナジーのキャラを過分なほど採用しても後のターンでゲームが弱くなることは無かった。
一方、0.1を増やすメリットとして序盤の攻撃性能が増しただけでなく、キーカードを引き込むための強気なマリガンを可能にする。
これによって得た抜群の安定感によって後の7月8月CSでは高い予選突破率を維持し、最終的にはナーフされることとなった。
6月環境(転スラ・テイルズが発売後)
DECK5:緑転スラ(リムルヴェルドラ)
![](https://assets.st-note.com/img/1694667945589-4OJHCbZpJB.png)
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強度面ではやや控えめであった5月リリース組と異なり、6月リリース組は明確な強度を持ってメタゲームに放たれた。
一方、呼応するかのようにプレイヤー側の進歩も著しく、リリース当初では猛威を振るっていた〈ランスロット〉をあらゆるプレイヤーが適切に対処できるようになっていた。
勿論、転スラのリリース時には一際目を引いた〈レイドミリム〉も例外では無い。緑の大型キャラへの対処法を身に付けたプレイヤーの前に同じく足踏みをしていたのだ。
そんな中【リムルヴェルドラ】は速さにも対応できる中速のコンボデッキとして転スラを象徴する存在となる。
直前で【ノクチル】のような4000BPを率先的に並べるデッキが流行していたこともあり、同タイミングにおける「強制ブロック+インパクト」はあらゆるデッキに突き刺さった。
回ってしまえばどんなデッキでも相手取れてしまうコンボデッキ特有のピークを武器に、公式3on3でも結果を残すほど有力なデッキとして名を残していく。
DECK6:青ハンターハンター(爆弾魔)
![](https://assets.st-note.com/img/1694667985563-SgiJFw8Yfd.png)
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「最初の3タイトルの中でハンターハンターだけ微妙だよな」「旅団もクラピカも弱くはないんだけど〜」
リリース当初のそういった声を掻き消すように【爆弾魔(ボマー)】は環境を切り拓く。
【リンウェル】【真人】など環境に存在するコントロールデッキが軒並み早いゲームを得意とする中、【爆弾魔】は〈リスキーダイス〉という異彩を放つシステムによって消耗戦にも対応できるというアイデンティティを獲得していた。
この月には【学園】に安定した勝率を出せるコントロールデッキとして、完全にメタゲームへ定着する。
そう言えば、ハンターハンターが弱いという声はもう随分と耳にしていない。
7月環境(ヒロアカ・ロボコが発売後)
DECK7:青テイルズ(リンウェル)
![](https://assets.st-note.com/img/1694668051451-9ucSUZEl16.png)
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ユニオンアリーナは構築制限が比較的大きなゲームである。
1タイトルが3つの色を持ち、更に1色に付き2つのコンセプトがある。基本的に1タイトルで6コンセプトが設置されているのだ。
そして6コンセプトをそれぞれ独立させるために特徴などによってカードデザインに明確な線引きを行っている。
そのため、1つのデッキを作成する際、良くも悪くも採用カードの選択肢が狭いゲームになっている。
しかし、テイルズオブアライズは違った。
リンウェル×キサラ、リンウェル×アルフェン、リンウェル×ロウ、中にはシオンを使うものやリンウェルが非採用なものも。
明確な線引きが無く、1色の中であればあらゆる組み合わせが考えられるカードプールが広がっていた。
ユニオンアリーナ史上最もプレイヤーの努力が光ったタイトルであることは疑いようが無い。
6月の頭に関東で開かれた個人主催の大会では2番目に多い母数に対して本戦への勝ち抜けが0と厳しい結果となり、筆者は正直タイトルの強度に一抹の不安を覚えた。
しかし1ヶ月後に行われた「CHAMPIONSHIP2023 -ENTRY MATCH-」で杞憂だと理解する。
【リンウェルアルフェン】を始めとして、高い完成度の青テイルズが決勝トーナメントに名を連ねていた。
1ヶ月そこらであの広い選択肢から、これだけの完成度に導けるレベルのプレイヤーがこのゲームにもゴロゴロいると言う事実。
【リンウェル】そして青テイルズは、それまで構築の側面が光りづらかったユニオンアリーナにおいて、構築力のバケモノ達がその片鱗を見せた最初の機会であった。
DECK8:紫ヒロアカ(オーバーホール)
![](https://assets.st-note.com/img/1694668072062-hGjLdBeeu9.png)
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これまでのユニオンアリーナは、リアニメイト(場外のユニットを場に出す)やサルベージ(場外のユニットを手札に加える)といった戦術が弱く、特定カード1種でゲームメイクすることは非現実的だった。
そのため、メインとなる攻め手の他にサブプランを設置しておくのが通例だ。
そんな中、〈死穢八斎會〉と〈2/1エリ〉によって何度でも場に蘇る〈レイドオーバーホール〉は、現実的に1種のアタッカーで7点のライフを奪うことができる脅威のドリブル性能を持って産まれた。
ボードの質を維持する力が非常に高く、【爆弾魔】や【真人】のような除去に傾倒したデッキへ耐性を持てることから、展開系の亜種として3すくみ環境の一角となる。
8月環境(銀魂が発売後)
DECK9:青ロボコ(ボンドモツオ)
![](https://assets.st-note.com/img/1694668154347-9n6vDkCNVX.png)
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8月は特にプレイヤーの試行錯誤が活発だった時期だ。
7月に行われた200人規模の公式大会によってメタゲームが定義され、そして8月末には最初のエリア予選が待っていたため、本当の意味で「環境を意識した調整」が行える初めての期間だったからである。
【ボンドモツオ】はそんな熱のこもるプレイヤーの試行錯誤からポロッと零れ落ちたメタデッキの原石だった。
バウンス(手札に戻す効果)を主体にしていることから脅威を場外に送りづらく、また相手に手札を渡してしまうデメリットを持った癖のあるデッキだが、
除去の力が強いため速いゲーム展開に耐性があり、また自身の手札の供給量も多いため息切れを起こさずにビートダウンを遂行できた。
速度・除去・脅威形成の3系統に対して広く相手取れる稀有な性質を持つ本デッキは、ひとたび注目を集めると8月末のエリア予選ではメタの一角になるまでの大躍進を遂げた。
DECK10:紫コードギアス(ゼロカレン)
![](https://assets.st-note.com/img/1694668596114-PKcW6SLgEZ.png)
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「レイド」というシステムはユニオンアリーナの花形だ。
最大4体までしか攻撃可能なキャラを配置できない本ゲームにおいて、相手からライフを奪う方法は1体当たりの攻撃性能を如何に高められるかに集約される。
登場させてすぐに高パワーが攻撃できるレイドはこのゲームシステムに対して最も自然なアプローチであり、有効なレイドをどれだけプレイできるかはそのデッキの攻撃性能にそのまま結びつきやすい。
しかし、レイドキャラはレイド元に固有の名称を指定する都合上、採用しすぎるとレイド元が足りずレイドできないといった状況に陥りやすいため、3種類12枚のレイドを現実的なレベルで運用することは困難である…唯一【ゼロカレン】を除いて。
本デッキ最大の特徴は〈紅蓮〉のレイド元に4種の〈カレン〉を、そして〈ガウェイン〉のレイド元に〈ルルーシュ〉〈c.c.〉と2つの名称を用意できるからこそ可能なレイドによる飽和攻撃である。
またレイドキャラの効果が除去に寄っているため、「レイド元を消費するため返しのターンに自軍のブロッカーが減っており防御力が下がる」といったレイドの弱点を相手のアタッカーを減らすことによってカバーできている。
「たくさんレイドできるため攻撃力が高い」×「除去で弱点の防御力をカバーできる」という強固なロジックに支えられ、【ゼロカレン】は8月末のエリア予選において誰もがtier1と認める位置に登り詰めた。
9月環境(学園がナーフ後)
DECK11:紫銀魂(白夜叉)
![](https://assets.st-note.com/img/1694672695789-BqdlYYe8TX.png)
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そして季節は巡り、ユニオンアリーナ初の規制が執り行われる。〈1/1ナナリー〉の枚数制限は環境に大きな影響を与えた。
〈1/1ナナリー〉をキャッチするために採用していた3500BPキャラの優位性が落ち、全てのデッキが惜しみなく高BPを多投した。世はまさに4000BP横並び時代。
中でも展開力に長ける【白夜叉】が精力的な活躍を見せた。除去からビートダウンまであらゆるジャンルのカード効果を持っており、ドローの多さから安定感も高い。また〈2/1松陽〉によってピークもある万能デッキだ。
最古の王者が退いた環境では、新進気鋭の勢力が主導権を掴んだのである。
一方環境は展開系のデッキが増えたことを受けて、これを苦手とする【真人】や【ボンドモツオ】といった除去系のデッキが陰りを見せる。対照的に【宿儺】や【ランスロット】といった脅威形成系のデッキが再度脚光を浴びた。
8月までは速度・除去・展開の3すくみが中心だったのに対して、9月からは展開・脅威形成の2系統が目立つメタゲームになった。
終わりに
なぞるようになるが、ユニオンアリーナは比較的ゲームルールが簡単で、且つ自分の好きなキャラのデッキを使用してもある程度は勝てるように作られているため、普段カードゲームをやらない層も親しみやすいゲームになっている。
しかしそんな顔をしながら、所謂ガチ勢間のメタゲームは比較的シビアなものになっており、生粋のカードゲーマーから見てもカロリーの高い側面を持つ。
これに喰らいつくプレイヤーもプレイヤーだ。ノーマークだった【ボンドモツオ】が登ってきたように、無数に広がるコンセプトの中からtier1の背中を刺せる逸材を模索し続けている。正気の沙汰ではない。
エリア予選福岡会場を経て、環境は更なる変貌を遂げるだろう。
来月のユニオンアリーナにはどんな未来が待っているのか。今から楽しみで仕方がない。
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