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小確り推移したビットコイン、資金調達率上昇でリスクオフ時の投げには警戒

今週のビットコイン(BTC)対円は小確り。7日正午時点で、290万円周辺で推移している。

週前半のBTC相場は、①米長期金利の低下、②米製造業PMIとJOLTs求人件数といった経済指標の下振れによる米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派転換期待の台頭、③オーストラリア準備銀行(RBA)の予想外の利上げペース鈍化を受けて上昇し、2万ドル水準となる290万円に乗せた。一方、BTC対ドル相場は一目均衡表の基準線にタッチすると失速し上げ渋る展開となった。

週央には、欧州中央銀行(ECB)による伊国債の一部売却が明らかとなり、伊国債利回り主導で欧米金利が上昇し、BTCはやや上値を重くしたが、米株が押し目買いの様相で盛り返すと、2万ドル水準を挟み込み底堅さを印象付けた。ただ、4日高値の更新に苦戦していると、7日の米雇用統計を控え警戒ムードが広がり再び2万ドル割れをトライ。

そこにバイナンス・スマート・チェーン停止が発表され同水準を割り込んだ。ただ、足元では米株先物が下げ一服となり、BTC相場は2万ドル水準を僅かに回復している。


【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成
今週は複数のFRB関係者から利上げ継続を示唆する発言が相次いだが、景気減速の兆候から市場ではFRBのハト派ピボットを期待する動きが確認された。

8月の消費者物価指数(CPI)発表前にもこうした期待感が台頭したが、結果はCPI高止まりで米株もBTCも下げに転じた。足元でもFRBメンバーから利上げの手を緩める旨の発言は確認されておらず、雇用統計が上振れとなれば、市場の期待感は再び打ち砕かれる可能性に注意したい。

そもそも、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、国内総生産(GDP)成長率の見通しは引き下げられ、失業率見通しは大幅に引き上げており、ある程度の「痛み」を伴ってもFRBはインフレを抑制する覚悟があることは忘れてはならない。来週は9月分の米消費者物価指数(CPI)発表に加え、9月FOMCの議事要旨も公開される。

ジャクソンホールに続き9月のFOMCもかなりタカ派と捉えられただけに、議事要旨の内容もBTC相場には向かい風となる可能性が高いと言えよう。また、BTCは先物市場での取組高急増に資金調達率の上昇が伴っており、リスクオフ時のロングの投げにも警戒しておきたい。



寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

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