書評『四肢奮迅』チームの群像と乙武さんが自分の体と向き合うこと


たぶん、日本で一番はやい書評だろう、昔から本を読むのは早いのだ(´・ω・`)

理学療法士として、そしてたまたま偶然、株式会社geneのリハノメチャンネルで対談した有難いご縁もあり、すぐに買って一気に読んだ。

さて、ご存知、乙武洋匡さんの『乙武義足プロジェクト』のお話である。

チームメンバーのそれぞれの人生の過程を丁寧になぞっている、司馬遼太郎みたいだ。

プロジェクトリーダーの遠藤謙さんが義足に関わるようになった経緯

義肢装具士の沖野敦朗さんがアスリートの義足に関わる熱量

デザイナーの小西哲哉さんが義手の新しい可能性をデザインで広げたこと

そして、理学療法士の内山直生さんとの練習の日々

乙武さんのチームメンバーの紹介文章の掘り下げ方の上手さはスポーツライターとして活躍してきたときに養われたか、もしくは、自分自身がADLを制限された状態で培われた観察眼か、おそらくは両方なのだろう。

余談だが、内田さんはセンスのいい理学療法士に入ると僕は思う、センスとは素直さも含まれている。

自分の経験に固執せず、年長者に相談し柔軟に適応している。

理学療法士として非常に有効な資質だ、20年やっているので、それくらいの観察は許して欲しい。

まあ、理学療法士の僕が読むので、どうしても理学療法士の関りを取り上げたくなるが、まあ、これを読んでいるのは理学療法士等が多いので、自分で買って読んでくださいませ(´・ω・`)

チームメンバーの話もすごく面白い、というのか、なんかすごい濃いメンバー集まってますよね、梁山泊みたいになっていますね。

これなら、多少の難関は超えられますね。

さて、乙武さん自身の話である。

僕も小児を担当することが多かったので、理解できることは沢山ある。

幼少期に乙武さんが義足を履いて歩行練習しているお話がある、おそらく担当していた方々は実用歩行までは至らなくても、一度でも歩行を獲得することができたら、それに引っ張られて色々な運動能力の獲得に有効だと判断して行っていたのだろう。

この本は日本の小児リハビリテーションの歴史としても非常に意義がある。

おそらく、乙武さんは大人になって、健常者とおなじ身体能力の獲得、僕は『普通の強制』と呼んでいるけど、その壁にぶち当たっているのだ。

電動車椅子のほうがはるかに効率はよいが、歩くことを諦めている人に選択肢を増やすという目的のために歩いている。

もしもこれを読んでいる人は、熊谷 晋一郎先生のリハビリの夜も一緒に読むといいかもしれない。


乙武さんが自分で選択した、二足歩行への挑戦がどういったものかよくわかる。

子供と一緒に立つ練習を繰り返しているときによく考えていた。100mを9秒で走ることと、この子が立ち上がることができること、どちらも優劣をつけることなどできないと。

最後に、文章の熱量を一番感じたのは、義手をはじめてはめた話である。もしも自分に手があったのならという感情にはじめてであった乙武さんの感情が揺らいでいるのがよくわかる。

それでも、色々なものを抱えて生きて行かなくてはならない。

そうか、彼は今、自分の意思で自分の決定で行っている、リハビリテーション(全人間的復権)の真っただ中なのか。

このプロジェクトを最後まで確認したい。








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