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いやあ、なんかもう、めっちゃうれしかった話し/関西シクロクロス 桂川

勝ちました。

もうね、めっちゃうれしかった。

あとで詩人の高田くんとも話してたんだけれども、このうれしさというのは「勝った」ということだけじゃなくて、それをみんなが一緒になって喜んでくれてるということの方が大きいんだろうなぁ。それにしても、俺の中に、こんなに喜びとかの感情を表に出す引き出しがあるなんて思ってなかった。

ほんと、ありがとうございます。

桂川は毎年そのシーズンで一番いいリザルトが出せてるコースなので、今シーズンのここまでのリザルトを考えると、自分でもものすごく期待してたレースだった。ただ「勝てそう」「勝ってもおかしくない」を「勝つ」「勝ち切る」に持っていくのはそんなにたやすくないということも、いろんな選手があとちょっとのところで苦労を続けていた様子を見て思っていた。

日吉のあと、桂川に向かって立てていた戦略というか仮説は3つ。

(仮説1)
周りを走っている選手に比べると地脚がないと感じる。なので今回みたいに削りあいみたいになると不利。もう少しスタート突っ込んで前に入って、展開によるインターバルの影響を受けにくくすると良いのではないか。無理にでも突っ込んでおくと、後ろが削りあいしてくれたりもするのではないか。
(仮説2)
帰ってデータを見てみると、今回はいつもより10拍くらい心拍が低かった。アップの時に上がりきらないなあとは思っていたのだけれど。低温の影響? もっとしっかりアップをしておくとよいのではないか。ただまあ、スタート時間によってはそれも難しいのだが。試走とアップの配分の見直し。
(仮説3)
あとは、とにかく気力!!

日吉からの準備期間は2週間。具体的なトレーニングの指標としては、チームメイトであさにろゆうマスター・イケッチに、5本芦有を上がると宣言して逃げないように。だが1週目に3本、月曜に4本目を登ったあと、風邪っぽくなったのと出張が入ってしまったので結局は1本足りなかった。また、火曜から体を動かしてなかったので、カネゴンにアドバイスもらった前日アップをやっておきたかったけど、これも悩んだ末やめておいた。

さて、スタートである。

若干残った不調と、思ったほど泥じゃなくてむしろドライ気味のコンディション、というちょっとした想定外のことはあったものの、スタートラインに立ったら、あとはやることやるだけ。

スタートに向かうときにCL3の女王ミナちゃんから、今日の商品がビールだと教えてもらう。「俺の日やな」と声に出して返す。声に出して、自分に言い聞かせる。

だいぶそわそわもしなくなったけどやっぱり緊張はしてしまう1列目に並んでいると、堺で先に勝った園田さんがあったかいお茶をくれはった。寒かったので体に沁みる。と同時に、園田さんのように落ち着いて走ろうという意識も体に沁みた。

最初にやることは、スタートの長いダート直線と折り返しての舗装の直線が終わるまでになるべく前にいて、コース後半のコーナー・キャンバー区間に入ること。なのでスタートは上げていくけど無理しすぎずに、最初のコーナーに入る。突っ込みすぎで舗装でスピードが乗らない選手、焦ってコーナーの処理でミスした選手をかわして、後半に入るときには2番手だった。上々の滑り出し。

先頭とは結構離れている2番手で、後ろに何人も着かれている。けれど、長めの泥の直線を踏んでいくと、前は近づき、後ろはちょっと離れた。

ドライ気味とはいえ、ヌチョッと残った泥は俺に味方している。「今日は俺の日やな」と、ここでも言い聞かせた。

前を走るゼッケン9番の選手はうまい。コーナーやキャンバーが特に。身のこなしを見るとダート系の選手だろう。俺の後ろは、竹辻選手。今年ちょこちょこお話しするようになったけど、その前から何年も近くを走っている選手。優勝争いは3人か、後ろからさらに来るのか。さて、どうやって勝とう?

まずは、ミスをしないこと。ミスをして焦るとまたミスが重なってしまう。今日に限っては直線は俺が速いはず。ゴール前スプリント、今日なら勝てる。なので、キャンバー区間では勝負をかけるのではなく、割り切って慎重にいく。とにかく今日はノーミスでいこう。そのかわり、つなぎの直線は思いっきり踏む。そのリズム。3人着いたり離れたりでレースは進む。

コース脇の662田口さんから「今日はいける!今日勝って上がろう!」と何度もゲキをもらう。これは効いた。そう、今日はいけるのだ。俺が思ってるだけじゃなくて、客観的にもそうなのだ、とポジティブに真に受けた。

感覚的には詰将棋に似ていた。最善手を連続して指せれば、必ず勝てるという感覚。錯覚かもしれないけど、信じ切る。

チームメイト和尚からは、ひたすら「出し惜しみすんな!」。これも効いた。体感でこんなに楽なのにいい位置を走れてることがなかったので、調子がいいとこういう感覚なのか、まだ楽をしてるのか、垂れるほどのペースか、まだいけるのか結論は出ないが、とにかくコーナー出口でガツっと惜しまず踏んで乗せたそのスピードを維持する、を徹底的に実行した。

長いストレートで一度9番の選手を抜いたが、キャンバー区間で抜き返される。やっぱりうまい。またコントロールライン手前で抜き返し、踏んで少し差を広げる。が、今度はキャンバー区間で竹辻選手に抜かれる。

勝負の分かれ目は、その直後のキャンバー区間だった。攻めてた竹辻選手がスリップダウン。さらに続いて登り返しでトラクションが抜けて足つき。1度目では無理せず自分のライン自分のペースを守ったが、2度目はグイと踏んで一気に差をつける。

独走は難しい。ペースがわからない。が、メリハリとリズムを意識して、オンの時には出し惜しみせず行く。後ろからはまだ竹辻選手が粘り強くきているが、最悪スプリントで勝てばいいと割り切ってそれまでは自分のペースでいく。

そして、独走は楽しい。こんなに名前を呼ばれたのは初めてだ。桂川のレイアウトもあり、あちこちで、仲間が声をかけてくれる。それだけでなく、顔だけ知ってる人もどんどん声をかけてくれる。知らない人も、モジャモジャ〜(これは知ってる人だけど)とか、髭〜!とか声をかけてくれる。

もうね、全員抱きしめたい感じ。

でも、気を散らしてはならん気を抜いてはならんと、集中し直して残りの手を詰めた。

さいこうやったね。

ゴールでガッツポーズするなんて思ってなかったし、ゴールして、エスキーナレーシング、662、仲間のみんなが、続々と寄ってきてくれて、叫ぶなんて思ってなかった。こんなに祝福されるなんて思ってなかった。

なんか、もう、ひたすら、めっちゃうれしかった。

振り返ってみると、立てていた仮説3つを実行できていた。(1)のスタートからの前での展開。(2)のアップ、これは和尚のアドバイスがすごく役立った。体感は楽だったけど、ログを見ると数字的にはけっこう追い込めていた。(3)の気力は、気迫という意味だけでなく、気力をコントロールしながら信じきるというところまで。

なんて書いているけれど、まだまだこれはカテゴリー4のお話し。来週からはカテゴリー3でまた新しいスタートが待っているし、伸び代だって充分すぎるくらいあるはずだ。楽しいね。

最後に、試走アップのアドバイスやらレース中の子供の面倒やら日々のモチベーションやら何から何まで、お世話になりながら一緒に楽しめるエスキーナレーシングのみんな、なかなか行けないけど行くと必ず身になる練習会まぜてくれたりキャラクター豊富でライバル多い662はじめ、仲間のみなさん、それぞれに真剣で競り合いを楽しめるC4ライバル(特に白澤さん!焦らず治して復帰まってますよ〜)のみなさんに感謝をささげつつ、終わります。

ありがとうーほんまみんな最高や〜。

というわけで次回「昇格後初レース、C3の猛者達からの手荒い洗礼」お楽しみに!

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'17-18 関西シクロクロス #10 桂川 カテゴリ:C4B
1位/52人出走
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