「シャーロック・ホームズの冒険」感想

ゆっくり文庫原作履修として、「シャーロック・ホームズの冒険」出典4エピソードの感想を書いてきました。


いちおう「シャーロック・ホームズの冒険」はぜんぶ読んだので、全体の感想と、気に入った3エピソードの感想も書いておきたいと思います。
ネタバレあり!

「シャーロック・ホームズの冒険」全体について

12本も収録された盛りだくさん短編集!
バリエーションが豊かなので、一本くらいは好みに合う作品が見つかるだろうという点でも最初の1冊にお勧めと言えるかもしれません。

ただ、「娘に所有権のある財産が手元を離れるのが嫌で、娘の結婚を妨害する父親」が12本中3本に出てくるのはどうかと思いました(花婿、まだら、橅の木)。当時の社会問題だったとしても動機がワンパターンすぎる。

あと、ホームズはベイカー街211B に犯人とか危険人物を呼び出しすぎだなって…。ハドソン夫人や下宿のメイドさんは迷惑料や危険手当をもらうべき。


くちびるのねじれた男

あの短時間で人相がわからなくなるメイクをするのはは無理があるだろと今でも思ってます。醜い乞食だからシンクレア夫人がブーンをまじまじと見なかったのは仕方ないけど…。
後味はさわやかで、雰囲気だけなら結構好き。不幸になっている人がとくにいないし、奥さんの人柄が気持ちいいからかな。
それはそれとしてシンクレア氏は舞台メイクアーティストになったほうがいいと思います。


まだらの紐

タイトルはもちろん知ってたし紐の正体も聞いたことがありました。
こちらも後味が良いですね。極悪人がぶっ殺され、依頼人は救われて終わるので。
ステッキをふるってまだらの紐に対峙するホームズもかっこいい。

当時の検死技術がどの程度だったのかはわかりませんが、毒による死であることが見抜けないのは仕方ないとしても、噛み痕はホームズじゃなくても発見してほしいなって思いました。たぶん肌が見えてる部分を嚙んでると思うし…。

あ、でもジュリア(被害者)も依頼人と同じようにロイロット氏に日常的に暴力を振るわれていたのなら、その傷に隠れた可能性がありますね。嫌な話だ。

検死審問の制度は良い面もありますが、専門家の科学的知見がちゃんとしてないと隠ぺいの温床になっちゃうから悩ましいっすね。


緑柱石の宝冠

社会人が読んだら一番怖いエピソード。コンプライアンス研修の教材ビデオを見ている気持ちになりました。
頭取さんが宝冠を銀行から持ち出したあたりで「インシデント」という言葉が頭をブンブンと駆け巡ったのが忘れられません。

家に持ち帰るのは頭取自身が説明していた通り妥当な判断の範囲だったとしても、家族に話すのはアウトでしょ(真顔)。口の堅い家族でもよくないのに、ギャンブルでしょっちゅう金をせびってくる息子にまでなぜ話した。
大丈夫?守秘義務とか守れてる?インサイダー案件起こしてない?(※19世紀にそんな概念はない)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?