ゆっくり文庫の原作を読もう「赤毛組合(赤毛連盟)」「花婿の正体(花婿失踪事件)」
ゆっくり文庫原作履修シリーズ。今回は2本感想を書きます。
赤毛組合(赤毛連盟)
まずテンションが上がったのは、このエピソードでホームズが「ワトソンが発表した原稿には脚色がある」と明言したことです。(「橅の木屋敷の怪」でも同様の言及あり)
『物語の裏側』の存在を公式が認めてるの、考察好きのオタクの大好物じゃないですか。そりゃシャーロキアンが世紀をまたいでこすり続けるわ…。
本作とは直接関係ないですけど、私もたった2冊(緋色と冒険)読んだだけで「この描写と別のエピソードの○○という描写を紐づけると…」とかやり始めてるので怖い。シャーロック・ホームズは読者を考察厨にする魔力がある。
クレイたちを捕まえるために銀行の地下で暗闇の中じっと待つシーンの緊張感もとても良かったです。
コナン・ドイル、緊張と緩和をつくるのがうまいんですよね。
地味にびっくりしたのが、ジョン・クレイ(スポールディング)がエリートだったことですね。イートン校⇒オックスフォードなんて、上澄み中の上澄みですよ。お爺さんは王族の公爵なので、親の金だけでなく血筋もガチです。
そんな人がなんで犯罪者やってんだろう、というのがある意味「赤毛連盟」最大の謎ですね。
押し込み強盗から詐欺までいろいろやってるみたいなんですが、頭の切れるエリートがやることか…?
ホームズがからんだ事件のいくつかにも関与してて「赤毛」の事件まで捕まっていないのは結構すごい奴だと思うんですが。なぜ4ポンドをケチったの。
花婿の正体(花婿失踪事件)
文庫さんも編集後記で書いてましたが、シンプルに後味が悪いです。
ホームズが「依頼人に真実を話したところで信じないだろう。古いことわざにあるとおり『女性から幻想を奪おうとする者に危険あり』」
とかなんとか言いながら依頼人を実質見捨てるのもかなり嫌。ワトソンも何も言わないし…。
ホームズは「ウィンディバンクのような男はいずれ次から次へと犯罪に手を染めてゆき、最後には絞首刑になるタイプ」とも言ってるので、いずれサザランド嬢が自由になると思っているのかもしれませんが、そのとき彼女は何歳になっちゃってるか…。結婚願望があるのにあんまりだ。
この話から、ゆっくり文庫でも指折りのやべー女を創造した文庫さんには脱帽です。ホームズの予測を斜め上にかっ飛んでいくのがいいですよね。
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