性が無機質になる瞬間
テレビをつけるとミヤネ屋がはじまった。
広末涼子とキャンドルさんの不倫ネタ報道。
深刻そうな表情のコメンテーター。
世間は不倫だらけなのに、
有名人の不倫でこんなに遊ぶのは、
滑稽だなと思う。
リモコンをぽちぽちして、Amazonプライムをつける。
30分ドラマを2本見る。
終了ボタンを押す。地上波に戻る画面。
映るキャンドル氏の泣き顔。
なんとまぁ、
他人の不倫をテレビは1時間以上も報じていたのか。
それを見ている日本人が何万人といるのか。
馬鹿だなぁと思う。
でも私もゴシップが好きだ。
こんなことをNOTE+に書いている暇人である。
「世間は不倫だらけなのに、芸能人の不倫だけやたら揶揄されるって変よね?」と言っても、
正直、それは退屈な正論だと思う。
ただ、
Netflix、アマゾンプライム、知的な本に、Youtube。
性的な描写の連続するふしだらな漫画、
多数のアダルトビデオ。
新進気鋭の起業家の演説映像、
人間心理を知り尽くしたオンラインゲームに、
一生かけても見つくせない数のアニメ。
他方、リアルな現実には、
焼き鳥屋、イタリアンバル、クラブ、
キャバクラ、毎日うまいうどんを提供している丸亀製麺。
日本各地、世界各地の絶景。
ありとあらゆる、暇つぶしがこの世に存在しているのに、
1時間も他人の不倫情報に時間を費やすのは、ちょっともったいないかなぁと思う。
「そっとしておいて」と声を上げるキャンドルさんに、視線を降り注がなくてもいいじゃない。
私は今日も意味もなく、全裸監督を見る。
半分アダルトビデオの様な作品を見ているうちに、
性が無機質に見えてくる。
なぜ若くて綺麗で、演技力もある女優が
素っ裸が世界にさらされる作品にでるのか。
その体をパソコンの画面で拝みながら、
赤の他人のくせに、女優の心情を思う。
20代でこんなにも色気を出し、
人間が隠したくてたまらない欲望をカメラの前で出し、
きっと大勢のおじさんが見守る中で、
裸になり、
セクシーな声を出す。
恥ずかしさとか、恐怖とか、
服より脱ぐのが難しい、
いろんな見えない衣を抜いで、
何度も泣きながら、
この人たちは、女優というお仕事してはるのかなぁ。
とか勝手に想像する。
そして、それが残酷とか、かわいそうとかじゃなく、
たくましく美しい、と感じる。
突然言葉の流れ弾に当たったり、
勝手に疎まれたり、
予想外に誤解されたり、
悲しいな、苦しいなってことが、平凡に生きていてもある。
でも、そのたびに美しくなっているのなら、逆にそれはうれしいこと。
だからこれからは、嫌だなぁ、へこむなぁってことが起こったら、
「この瞬間を味わうことで、森田望智に少し近づいたな」と思えばいい。
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