2023年12月の記事一覧
【第十二話】涙の事故報告書。
突然のギックリ腰に襲われ、介護士にもかかわらず要介護状態を体験した僕はあれから1週間後の今日、ようやく職場復帰していた。
なった者のみぞ知るあの地獄の痛みから解放された喜び。に、満ち溢れているはずの僕の心はドンヨリと曇っていた。
ウラハラにって言うのはこういう時の為にあるんだな。
何であんな事言っちゃったんだろう。
そう、あの時─。
【第十一話】天使、それとも。
「カモちゃん!どうしたのっ!」
誰かがウワサでもしてるのかアレルギーなのか今日は朝からクシャミが止まらなかった。
屋上で洗濯物を干しながら何度目かの大きなクシャミをしたその時、稲妻のような痛みが僕の腰を襲い、僕は動けなくなっていた。
待てよ?
どうしたらいいんだ?
1ミリも動けないぞ?
【第十話】明けない夜勤。
「二人ともオッツカレさま〜!夜勤どうだった?何ごともなく?」
「ウィっす。全然余裕っす。何ごともなくっす。」
平然と言ってのけたおサルさんに僕は出来るだけの呪いをこめた視線を向ける。
あぁもうダメだ。クタクタだ。怒る元気がない。
「はい…夜間、特変なしです」
絞り出すようにそう言うと、何かを察した施設長は
「そ、そっかそっか…。良かった。じ、じゃまたよろしく〜」と逃げるように事務所を出
【第九話】NIGHT OF THE LIVING MONKEY
「明日の朝は全国的に強い冷え込みとなるでしょう。それではまた明日のこの時間に。」
こっちはこれからおサルさんと夜勤だというのに、気象予報士は勝手に一日をシメている。
テレビを消して家を出ると、その役目を終えかけた太陽が反対の空に浮かぶ細い雲をオレンジ色に染めていた。
【第八話】その肩に触れる手は本当に優しいか?
「おいカモ、施設長が二人で事務所に来いってよ」
ある日の午後。
昼食をすませた入居者さん達もほとんど居室に戻り閑散としたフロア。
肩こりのひどいお爺さんはマッサージをするうちにウトウトし始めていた。
と、忙しい昼どきに突然いなくなったかと思えばフロアの喧騒が落ち着いた頃を見計らったようにひょっこり窓から入ってきたおサルさん。
「あ!先輩どこ行ってたんすか。忙しくなるといなくなるのやめてもらえ