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短歌入れれます 6/16-6/28

ご投稿いただいたみなさま、ありがとうございました。今回はぐっときた歌1首とりあげます。

今月の生理は重い 犬を飼う提案にまだ抵抗がある / えんどうけいこ

生理が重たいのは主体だとして読みました。一字空けが接続のねじれ、というか省略のはたらきとして、
今月の生理は重い(ので気分が晴れず)犬を飼う提案にまだ抵抗がある
と補って読解しました。
ただ、ここで説明を補ってしまうことがこの歌の味わい方としてはダサくて、初句二句における身体の重たさからくる精神の憂鬱さを保ったまま、一字空けをはさんで結句に着地するダイナミクス(ガツンとくる感じ)がこの歌の強さのように思います。

また抵抗があるものとして、〈犬を飼う提案〉というのも巧みで、まず〈犬〉からは生殖に関連する生理と動物的な身体性のイメージの重なりを感じました。
加えて「飼うこと」ではなくて「飼う提案」であるのもポイントで、ここに主体とは別の誰かの存在が現れること、そしてその存在が主体にとって(どうやら)ままならないような振る舞いをすることも、それ自体憂鬱なことだし、ある意味生理のままならなさと重複するようで非常に密だと思いました。
単に主体が犬嫌いなのかもしれませんが、この一首では、身体に精神が左右されていることをはじめ、ままならなさを基軸に、複数のポイントから憂鬱さが立ち込めてくる密度がぐっとくるなあと思いました。

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以上で「短歌入れれます」第二弾は終わりです!みなさまありがとうございました。
来月は新しい評の企画を始動します。こちら参加希望者募集中ですので、どうぞよろしくお願いいたします。


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