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短歌入れれます(2020.02~全首評)①

まえおき

先日募集しました「短歌入れれます」に、34首の作品をいただきました。みなさま、ありがとうございました。

今回は、告知していたとおり、作品を一切引用せず、投稿者名と評のみ掲載いたします。できるだけわかりやすく丁寧に書くことを心がけていきますが、制約上どうしても読みづらい箇所があるかもしれません。なんとかがんばります。
また評の方向性としては、「歌の構造や表現から読み取れた歌意(解釈)」「表現の効果について感じた点」を重点的に書きます(特に後者に割く文量が多くなると思います)。「読み取れた歌=いい歌」、「表現が技巧的な歌=いい歌」とは特に考えていないので、「この人(=のつ)は、こんなふうに読んだんだなー」って思っていただけると幸いです。

なお少しお時間いただきますが、評は4首ずつにわけてアップしていきます。評の順は完全にランダムとなりますので、ご了承ください。

ささくれさん

初二句・下の句で示される情景は、「なんだこれ」というような面白い光景にとどまる可能性もあったと思いました。ですが三句目のオノマトペが効果的に置かれたことで、直接的に形容する語句にとどまらず、ちょっとした違和感を与えながらも、一首のトーンをはしゃぐでもなく、しかしからっとしたものへ定めているように思います。ちょっと不思議なものを見つけてとりあえず手にしてしまう感覚に訴えるものがありました。

春名柊夜さん

作中主体の想念が一方通行な様子を思い浮かべました。上の句も下の句も主体の願望が心的な発話として提示されており、それは一見、上から下へ強度が高まる構造のようにも思えました。ですが、このふたつの願望は延長線上にあるようで、この願望を投げかけうる距離感はそれぞれ異なる気がします。そのため、一首において主体と相手との関係性の深さが見えづらくなっていて、情景が定まりきれないところがあるように感じました。

紫さん

生活のささやかな喜びを端的に述べた歌だと思います。韻律が76756で、句跨がりの一首となっていますが、この音の跨がり方は読み下していく上で苦しさを感じます。この苦しさは、3つに分かれた意味のまとまりをうまく接続するように跨ってはいかないことが理由のように思います。思いつき→行動→感情という流れのなか、表現上重なっている部分も多いので、どこに焦点をあてるか明らかになると見え方が変化するように思います。

首級さん

二句目の名詞+三句目の表現から想像できるシチュエーションがいくつかあり、そこからの方向性が下の句で明確に描写されていないので、情景はイメージしきれませんでした。多分、作中主体のまなざしは、相手の振る舞いやそこから滲み出る相手のキャラクターを描こうとしているのではないかと思うのですが。また四句目の相手と並列された名詞も、突如挿入されたように見えて、どのようなつながりを持って置かれているか気になるところでした。

以上4首、ありがとうございました。次回は2/22に更新予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

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