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短歌入れれます(2020.02~全首評)⑦

四首アップです。

くわいさん

結句の相手に対して、主体の心の動きが見える一首だと思います。景自体が良さを持っている分、結句の助詞によって関係性が垣間見える状況そのものよりも、相手自体に焦点が強くあたっているように見えるのが気になりました。また下の句へとつなぎわたす役目を持たせるには、三句目の接続助詞に少し負荷を感じました。個人的には一字あけによる飛躍の作用でつなげるか、論理性を導くタイプの接続詞を入れた方が意味はとりやすくなるかと思います。

織紙千鶴さん

難しい語彙や表現はありませんが、抽象的な語の多さが意味内容をすぐにはとらせない方向に作用していると思いました。四句目で提示される別れの言葉は、別れるまでの時間に焦点を当てる働きがあると思いました。一首としては相手とともにいる時間をやわらかな雰囲気とともに表現していると解釈しましたが、結句の名詞がもつイメージの幅が、解釈の幅を広げるほうに向かわせるので、歌で言わんとすることを定めるのは難しかったです。

ほのふわりさん

三句目の名詞は、結句の名詞の意味をすでに含んでいるため、四句目の副詞的に働く形容詞の連用形は、形容詞として結句の名詞を修飾することで意味することが明らかになると思います。この一首が観念的なのは、内容を抽象的にして一般化することによるものだと思うのですが、この内容が個別のエピソード(状況や場面)によって具体的に描かれるとどのようになるんだろうと思いました。

花房香枝さん

下の句の比喩が一首の歌意を決定づけると思うのですが、それがひとり取り残された様子なのか、最後まで残り続ける矜恃を示すのか、一つの読み筋へ確定づけるには複数の解釈があるように思いました。初句二句では一種の特別性の喪失が示されますが、三句目が「〜しまう」ではないところから、それでもなお長らえることへの意思もどこか感じられました。

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