見出し画像

義理の妹がアイドルだった話

僕の名前は布施○○

ただのしがない公務員

今日はそんな僕のお話を少し...

○: 痛!?

理: そんなのじゃ読者も面白くないと思う

○: 酷いね!?

理: ってことで、りーのお話です!

ではでは

-----

-----

-----

アラームの音と同時に目を覚ます

理: ふわぁ...

アイドルになってからというもの、毎日のスケジュールが不規則だ

けど、そんな日々も苦じゃない

理: ん...またおにぃツイートしてる...笑

アイドルがエゴサしないなんてのは嘘の話で

気になるのは気になる

そんな訳で、色々な人のツイートを見ているわけですが

「祝花、僕だけリアルネームなんだ〜」

理: 分かってるってば笑

義理のお兄ちゃんのツイートを見て1人で笑う

理: 今日も頑張るぞー!


-----

-----

-----


理: 疲れたぁ〜

今日の分のレッスンが終わって、今は帰宅している途中

ただ今日は...

「理子〜」

理: この声は...!

駅を下りると、一目散に名前を呼んでくれた人のところに駆け寄る

理: おにぃ...!

ぎゅっ

○: ちょ、恥ずかしいってば笑

理: だってぇ、久しぶりじゃん!

○: まあそうだけどさ

この人は義理のお兄ちゃんの布施○○君

りーがアイドルになるちょっと前に、色々事情があってお義兄ちゃんになった

埼玉出身の私と、福岡出身のお義兄ちゃんは血縁関係は無いけど

そんなの関係無しに、りーはおにぃのことが大好きなんです!

理: 今日家来るの〜?

○: うん、ちゃんとコレ、貰ってるしね!

見せてきたのは、いつ週刊誌の記者が現れてもいいようの、会社から渡されている書類

これを見せれば、スキャンダルにはならない魔法のアイテム

ただ、

理: べつに、おにぃとなら撮られてもいいけど...

○: こら、大人をからかうんじゃありません!

理: 本気だもんー!

○: はいはい、理子は可愛いねぇ

理: むぅ(⑉・̆-・̆⑉)

てことで、今日はりーの家にご招待!


-----

-----

-----


理: いつも思うんだけどさ

○: どうしたの?

理: なんでおにぃの家には行っちゃダメなの?

前々から思ってる疑問

仕事が早く終わった時に行こうとしても、死ぬ気で止められた

○: 別に、なんでもいいでしょ、僕が乃木坂のあーやのフード付きタオル椅子にかけたままだとか言えないし

理: ん、あーやって、小川彩ちゃん?

○: そうそう!やっぱり僕、妹感強い子が好...あ、やべ

理: (⑉・̆н・̆⑉)むぅ…もう知らない!

○: ちょっと待って誤解だァ!?

浮気をするおにぃは悪い子です

○: ゆ、許して...

理: ........じゃあ、ご飯作って!

りーはメンヘラじゃないから、心は寛容です

○: 任せて!

理: よしっ♪


-----

-----

-----


一緒に寝てって言ったのはいいけど

理: おにぃ、明日も仕事じゃないの?

○: そう言うと思って、明日はテレワーク!部屋、借りるね?

理: やった〜!

嬉しすぎて、思わずりーはおにぃの胸に飛び込みました

○: ちょ、デュフ...照れるって...///

理: う〜ん....ん?この匂い....

大好きなおにぃの匂いのはずなのに、ちょっと変な匂いが混じってます

理: おにぃ...また煙草吸ったでしょ!

○: ま、まさか〜

理: .........くさい

○: そ、そんなことないよ

理: マルメンの臭いがする

○: アイドルがそんなこと言っちゃいけません!!

理: おにぃとコンビニ行った時にこっそり買ってるの見えたもん

○: う...

理: .........煙草、なんて吸ってるの?

○: 癖っていうか、口寂しいっていうか

理: ........やめたら、りーが寂しいお口は満たしてあげるよ?

○: ふ、煙草吸う人の神経が分からねえな、こんなのもうゴミだゴミ

多分、さっき買ったばかりのマルメンをゴミ箱にポイしてました

理: おにぃえらいねぇ〜

ソファで膝枕して、よしよししてあげると、凄く嬉しそうです

○: 最っ高...このまま授○手○キを...

理: ふぇ...///

理: 調子乗らないで...!

思わず頭を引っぱたいてしまいました

○: 痛ァ!?

理: 全く...えっちバカ変態兄貴!

○: 言い過ぎでしょ!?

これくらい言わなきゃ、この人は反省しません



-----

-----

-----



理: んゅ...トイレ...

今日は寝つきが悪く、夜中に起きてトイレに行くことに

理: あれ...おにぃは...?

周りを見渡すと、兄がいません

理: 寂しぃよぉ...

と思って移動していると、何やらキッチンの明かりがついています

理: おにぃ...あ!今度はiQOS...

臭い対策だろうか、オアシスパールを吸っているみたい

glowは取り上げたのに、隠れて新しいのを買ったみたいだ

叱るしかない、と思い開けようとすると何やら声が聞こえてきました

○: 〜〜〜でさ〜〜〜なんよね

理: そーっと、そーっと

耳を澄ませてみると、グループ通話をしているみたいでした

「やっぱ3期はりかねぇがたまんないよなぁ」

○「そうやね、でも小田倉先生もいいよね」

『確かに、、、』

○「「ようこそ」」

理: (む、またりー以外の子の話だ)

○: でも、やっぱり1番は理子やけん?

理: .......っ!!

○: 理子がおるけん僕も頑張れるっちゃねぇ

理: おにぃ...///

「そんなに理子ちゃん好きなんだ」

○: 今度生写真のフォルダ見る? アニラのやつとサンタまじやばいけん、全面理子のヨリよ?

理: そうなんだ...///

先に言っておくと、おにぃが私と従兄妹の関係ってのは秘密らしい

だから、りーの過激派オタに見えるのかな?

嬉しい

「もう一生理子ちゃん推しだね」

その期待に応えられるよう、私ももっと頑張らなきゃ!

と心に決めた時

○: でも...もうそんな長くはないんよね

理: え...?



『ねぇ、おにぃは、ずっと理子派でいてくれる?』

「もちろん!理子だけだよ!」

『じゃあ、りーの傍から離れないでね...』

「.............当たり前じゃん!」



ふと、数ヶ月前に話していたことを思い出した

理: 「長くない」って、どういうこと...

さらに耳を澄ませると

○: 僕、来年には転勤するんすよね

「え、凄いじゃん!」

また、違う人の声がする

でも、転勤くらいなら大丈夫

りーだけって強い子だもん

ツアーとかミーグリとか、会う手段はいっぱいあるもん

「えー、どこの地方に行くの?」

『...........海外っすね』

理: え.....

海外....?

「凄いね、大変なお仕事だけど頑張らなきゃ!」

○: 「そうなんすよね、だから、今のうちに悔いのないように理子を推していこうって」


理: ..........嘘つき!!!

○: え、理子!?

気づけば、キッチンのドアを開けて、怒鳴ってしまった

理: 嘘つき...一生理子派って言ってたのに...ずっと傍にいてくれるって言ってたのに...おにぃの嘘つき!

吐き捨てるように言葉を投げた後、思わず外に飛び出してしまった

○: ちょ、理子!

「え、理子って、え、え、?」

○: ごめん、スペース閉じるわ...



-----

-----

-----



理: うぅ...グスン

夜中の公園に1人

涙が止まらない

理: ばか...おにぃのばか...うぁぁ...グスン

知らなかった

転勤があることも

それが、海外だってことも

ずっと、ずーっとおにぃは1番近くで応援してくれるもんだとばかり思ってた

理: ........約束したのに....



-----

-----

-----



最初は、少しだけ怖かった

目つきが悪くて

でも



「理子ちゃん、アイドルになったの!?凄いね」

「ずっと、推すから!」

「どんなに仕事が大変でも、理子のおかげで頑張れてるよ」



その言葉の一つ一つが優しくて

包み込んでくれるようで

大好きだった

つらい時に話を聞いてくれて

それが深夜だったとしても、来てくれて

そんなおにぃを見て不安になったこともあったけど

「理子の頑張りが、僕の癒しだからさ」


そんな言葉貰っちゃったら、頑張るしかないよね

私の原動力はお兄ちゃん

まだ私は、恋愛の好きとか、家族の好きとかは分かんない

分かんない、けど



『大好き』



この気持ちに嘘は無い

だからこそ



理: 嫌だよぉ...グスン

涙が止まらない

○: 理子!

遠くから、私を呼ぶ声が聴こえてくる

理: おにぃ...

○: びっくりしたよ、急に家から飛び出して行くんだから、早く傘入りな?

理: 傘...

いつの間にか、雨が降っていたみたい

涙で気づかなかった

理: .......ごめん、勝手に

謝ろうとすると、おにぃが首を横に振った

○: 理子は悪くない、悪いのは僕だよ

理: おにぃ...

○: だからこそ、今全部話す、聞いてくれる?

黙ったまま頷くと、おにぃはゆっくりと話し出した

○: 理子にずっと黙ってたけど、来年には海外に行くんよ

理: ......うん

○: でもこれは、理子と出会う前から決まってたことで、それも分かってて今の仕事に就いた

理: そう...だったんだ

○: でも、せっかく出逢えた理子との縁を無駄にしたくなかった

理: お兄ちゃん...

○: 我儘だよね、それなら最初からこんな風に

理: ...しないで

○: 理子...?

理: 否定しないで...りーと過ごした日々を、おにぃが否定しないで...!

○: っっっ

理: たしかに、りーがおにぃと出逢わなかったら、こんなに苦しい思いをしなくて良かったかもしれない

理: でも、この苦しい気持ち以上のものを、りーは○○兄ちゃんから貰ってきたの

理: 辛い時も、苦しい時も、○○兄ちゃんがいたから頑張れた、その日々を否定しないで...ぅ...

1度枯れたはずの涙がもう一度溢れ出しそうになる

○: .......理子!

気づけば、お兄ちゃんは傘を放り投げ、私を抱きしめていた

○: 理子、ごめん! 僕が間違ってた...

理: ○○兄ちゃん...

雨の中、お互いを抱きしめ合うこと数分

○: ........分かった

理: 何が分かったの?

○: 理子、僕は、理子の事を信じる

理: うん...?

ゆっくりと○○が口を開く

○: JAPAN EXPO

理: それがどうしたの...?

○: 僕が行く国で、毎年行われているイベント

理: それは知ってるけど...え、まさか...

○: そう、そのまさか

理: でもアレは、選抜メンバーだけで...

○: 僕は信じてる

真っ直ぐな目で、○○は理子を見つめる

○: 理子がグループの先頭に立って、国境を越え、活躍する姿が見れるって

理: おにぃ...

○: だから約束! 僕が待っている場所に、今度は理子が来ること!

○○は本気の顔で理子を見つめている

理: っ.....

○: どうかな?

大好きな人にここまで言わせちゃ、やるしかないよね

理: やる...りー、やってみせる...!

○: よし!その意気!

理: うん!

○○と理子は、それまでの暗い雰囲気と打って変わって、笑顔で指切りげんまんをした

理: 来年、だよね...?

○: うん

理: それまでは、ライブもミーグリも来てくれる...?

○: 当たり前だろ! 積んで積んで積みまくるよ?

本気の目でそう言う○○に、思わず笑ってしまう

理: 分かった! ならりーも頑張る!

○: おう!

理: だから...ね?




○: うん......っ!?




理: .........ぷはっ





○: え、ちょ、り、理子!?

理: それまでは、りーだけを、見てくれなきゃヤダよ....?



-----

-----

-----



〜数年後〜



とある国でのイベントにて

仕事で○○は日本と海外とを繋ぐ役職に

○: 最近忙しくて曲聴けてないしなぁ、Xも開いてないし...

でもね

【それでは、次のアーティストは櫻坂46です】

僕は信じてる

Overtureが始まり沢山の歓声の中からメンバーが続々と出て来る

その先頭に立つのは...



〜Fin〜


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?