義理の妹がアイドルだった話
僕の名前は布施○○
ただのしがない公務員
今日はそんな僕のお話を少し...
○: 痛!?
理: そんなのじゃ読者も面白くないと思う
○: 酷いね!?
理: ってことで、りーのお話です!
ではでは
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アラームの音と同時に目を覚ます
理: ふわぁ...
アイドルになってからというもの、毎日のスケジュールが不規則だ
けど、そんな日々も苦じゃない
理: ん...またおにぃツイートしてる...笑
アイドルがエゴサしないなんてのは嘘の話で
気になるのは気になる
そんな訳で、色々な人のツイートを見ているわけですが
「祝花、僕だけリアルネームなんだ〜」
理: 分かってるってば笑
義理のお兄ちゃんのツイートを見て1人で笑う
理: 今日も頑張るぞー!
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理: 疲れたぁ〜
今日の分のレッスンが終わって、今は帰宅している途中
ただ今日は...
「理子〜」
理: この声は...!
駅を下りると、一目散に名前を呼んでくれた人のところに駆け寄る
理: おにぃ...!
ぎゅっ
○: ちょ、恥ずかしいってば笑
理: だってぇ、久しぶりじゃん!
○: まあそうだけどさ
この人は義理のお兄ちゃんの布施○○君
りーがアイドルになるちょっと前に、色々事情があってお義兄ちゃんになった
埼玉出身の私と、福岡出身のお義兄ちゃんは血縁関係は無いけど
そんなの関係無しに、りーはおにぃのことが大好きなんです!
理: 今日家来るの〜?
○: うん、ちゃんとコレ、貰ってるしね!
見せてきたのは、いつ週刊誌の記者が現れてもいいようの、会社から渡されている書類
これを見せれば、スキャンダルにはならない魔法のアイテム
ただ、
理: べつに、おにぃとなら撮られてもいいけど...
○: こら、大人をからかうんじゃありません!
理: 本気だもんー!
○: はいはい、理子は可愛いねぇ
理: むぅ(⑉・̆-・̆⑉)
てことで、今日はりーの家にご招待!
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理: いつも思うんだけどさ
○: どうしたの?
理: なんでおにぃの家には行っちゃダメなの?
前々から思ってる疑問
仕事が早く終わった時に行こうとしても、死ぬ気で止められた
○: 別に、なんでもいいでしょ、僕が乃木坂のあーやのフード付きタオル椅子にかけたままだとか言えないし
理: ん、あーやって、小川彩ちゃん?
○: そうそう!やっぱり僕、妹感強い子が好...あ、やべ
理: (⑉・̆н・̆⑉)むぅ…もう知らない!
○: ちょっと待って誤解だァ!?
浮気をするおにぃは悪い子です
○: ゆ、許して...
理: ........じゃあ、ご飯作って!
りーはメンヘラじゃないから、心は寛容です
○: 任せて!
理: よしっ♪
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一緒に寝てって言ったのはいいけど
理: おにぃ、明日も仕事じゃないの?
○: そう言うと思って、明日はテレワーク!部屋、借りるね?
理: やった〜!
嬉しすぎて、思わずりーはおにぃの胸に飛び込みました
○: ちょ、デュフ...照れるって...///
理: う〜ん....ん?この匂い....
大好きなおにぃの匂いのはずなのに、ちょっと変な匂いが混じってます
理: おにぃ...また煙草吸ったでしょ!
○: ま、まさか〜
理: .........くさい
○: そ、そんなことないよ
理: マルメンの臭いがする
○: アイドルがそんなこと言っちゃいけません!!
理: おにぃとコンビニ行った時にこっそり買ってるの見えたもん
○: う...
理: .........煙草、なんて吸ってるの?
○: 癖っていうか、口寂しいっていうか
理: ........やめたら、りーが寂しいお口は満たしてあげるよ?
○: ふ、煙草吸う人の神経が分からねえな、こんなのもうゴミだゴミ
多分、さっき買ったばかりのマルメンをゴミ箱にポイしてました
理: おにぃえらいねぇ〜
ソファで膝枕して、よしよししてあげると、凄く嬉しそうです
○: 最っ高...このまま授○手○キを...
理: ふぇ...///
理: 調子乗らないで...!
思わず頭を引っぱたいてしまいました
○: 痛ァ!?
理: 全く...えっちバカ変態兄貴!
○: 言い過ぎでしょ!?
これくらい言わなきゃ、この人は反省しません
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理: んゅ...トイレ...
今日は寝つきが悪く、夜中に起きてトイレに行くことに
理: あれ...おにぃは...?
周りを見渡すと、兄がいません
理: 寂しぃよぉ...
と思って移動していると、何やらキッチンの明かりがついています
理: おにぃ...あ!今度はiQOS...
臭い対策だろうか、オアシスパールを吸っているみたい
glowは取り上げたのに、隠れて新しいのを買ったみたいだ
叱るしかない、と思い開けようとすると何やら声が聞こえてきました
○: 〜〜〜でさ〜〜〜なんよね
理: そーっと、そーっと
耳を澄ませてみると、グループ通話をしているみたいでした
「やっぱ3期はりかねぇがたまんないよなぁ」
○「そうやね、でも小田倉先生もいいよね」
『確かに、、、』
○「「ようこそ」」
理: (む、またりー以外の子の話だ)
○: でも、やっぱり1番は理子やけん?
理: .......っ!!
○: 理子がおるけん僕も頑張れるっちゃねぇ
理: おにぃ...///
「そんなに理子ちゃん好きなんだ」
○: 今度生写真のフォルダ見る? アニラのやつとサンタまじやばいけん、全面理子のヨリよ?
理: そうなんだ...///
先に言っておくと、おにぃが私と従兄妹の関係ってのは秘密らしい
だから、りーの過激派オタに見えるのかな?
嬉しい
「もう一生理子ちゃん推しだね」
その期待に応えられるよう、私ももっと頑張らなきゃ!
と心に決めた時
○: でも...もうそんな長くはないんよね
理: え...?
『ねぇ、おにぃは、ずっと理子派でいてくれる?』
「もちろん!理子だけだよ!」
『じゃあ、りーの傍から離れないでね...』
「.............当たり前じゃん!」
ふと、数ヶ月前に話していたことを思い出した
理: 「長くない」って、どういうこと...
さらに耳を澄ませると
○: 僕、来年には転勤するんすよね
「え、凄いじゃん!」
また、違う人の声がする
でも、転勤くらいなら大丈夫
りーだけって強い子だもん
ツアーとかミーグリとか、会う手段はいっぱいあるもん
「えー、どこの地方に行くの?」
『...........海外っすね』
理: え.....
海外....?
「凄いね、大変なお仕事だけど頑張らなきゃ!」
○: 「そうなんすよね、だから、今のうちに悔いのないように理子を推していこうって」
理: ..........嘘つき!!!
○: え、理子!?
気づけば、キッチンのドアを開けて、怒鳴ってしまった
理: 嘘つき...一生理子派って言ってたのに...ずっと傍にいてくれるって言ってたのに...おにぃの嘘つき!
吐き捨てるように言葉を投げた後、思わず外に飛び出してしまった
○: ちょ、理子!
「え、理子って、え、え、?」
○: ごめん、スペース閉じるわ...
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理: うぅ...グスン
夜中の公園に1人
涙が止まらない
理: ばか...おにぃのばか...うぁぁ...グスン
知らなかった
転勤があることも
それが、海外だってことも
ずっと、ずーっとおにぃは1番近くで応援してくれるもんだとばかり思ってた
理: ........約束したのに....
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最初は、少しだけ怖かった
目つきが悪くて
でも
「理子ちゃん、アイドルになったの!?凄いね」
「ずっと、推すから!」
「どんなに仕事が大変でも、理子のおかげで頑張れてるよ」
その言葉の一つ一つが優しくて
包み込んでくれるようで
大好きだった
つらい時に話を聞いてくれて
それが深夜だったとしても、来てくれて
そんなおにぃを見て不安になったこともあったけど
「理子の頑張りが、僕の癒しだからさ」
そんな言葉貰っちゃったら、頑張るしかないよね
私の原動力はお兄ちゃん
まだ私は、恋愛の好きとか、家族の好きとかは分かんない
分かんない、けど
『大好き』
この気持ちに嘘は無い
だからこそ
理: 嫌だよぉ...グスン
涙が止まらない
○: 理子!
遠くから、私を呼ぶ声が聴こえてくる
理: おにぃ...
○: びっくりしたよ、急に家から飛び出して行くんだから、早く傘入りな?
理: 傘...
いつの間にか、雨が降っていたみたい
涙で気づかなかった
理: .......ごめん、勝手に
謝ろうとすると、おにぃが首を横に振った
○: 理子は悪くない、悪いのは僕だよ
理: おにぃ...
○: だからこそ、今全部話す、聞いてくれる?
黙ったまま頷くと、おにぃはゆっくりと話し出した
○: 理子にずっと黙ってたけど、来年には海外に行くんよ
理: ......うん
○: でもこれは、理子と出会う前から決まってたことで、それも分かってて今の仕事に就いた
理: そう...だったんだ
○: でも、せっかく出逢えた理子との縁を無駄にしたくなかった
理: お兄ちゃん...
○: 我儘だよね、それなら最初からこんな風に
理: ...しないで
○: 理子...?
理: 否定しないで...りーと過ごした日々を、おにぃが否定しないで...!
○: っっっ
理: たしかに、りーがおにぃと出逢わなかったら、こんなに苦しい思いをしなくて良かったかもしれない
理: でも、この苦しい気持ち以上のものを、りーは○○兄ちゃんから貰ってきたの
理: 辛い時も、苦しい時も、○○兄ちゃんがいたから頑張れた、その日々を否定しないで...ぅ...
1度枯れたはずの涙がもう一度溢れ出しそうになる
○: .......理子!
気づけば、お兄ちゃんは傘を放り投げ、私を抱きしめていた
○: 理子、ごめん! 僕が間違ってた...
理: ○○兄ちゃん...
雨の中、お互いを抱きしめ合うこと数分
○: ........分かった
理: 何が分かったの?
○: 理子、僕は、理子の事を信じる
理: うん...?
ゆっくりと○○が口を開く
○: JAPAN EXPO
理: それがどうしたの...?
○: 僕が行く国で、毎年行われているイベント
理: それは知ってるけど...え、まさか...
○: そう、そのまさか
理: でもアレは、選抜メンバーだけで...
○: 僕は信じてる
真っ直ぐな目で、○○は理子を見つめる
○: 理子がグループの先頭に立って、国境を越え、活躍する姿が見れるって
理: おにぃ...
○: だから約束! 僕が待っている場所に、今度は理子が来ること!
○○は本気の顔で理子を見つめている
理: っ.....
○: どうかな?
大好きな人にここまで言わせちゃ、やるしかないよね
理: やる...りー、やってみせる...!
○: よし!その意気!
理: うん!
○○と理子は、それまでの暗い雰囲気と打って変わって、笑顔で指切りげんまんをした
理: 来年、だよね...?
○: うん
理: それまでは、ライブもミーグリも来てくれる...?
○: 当たり前だろ! 積んで積んで積みまくるよ?
本気の目でそう言う○○に、思わず笑ってしまう
理: 分かった! ならりーも頑張る!
○: おう!
理: だから...ね?
○: うん......っ!?
理: .........ぷはっ
○: え、ちょ、り、理子!?
理: それまでは、りーだけを、見てくれなきゃヤダよ....?
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〜数年後〜
とある国でのイベントにて
仕事で○○は日本と海外とを繋ぐ役職に
○: 最近忙しくて曲聴けてないしなぁ、Xも開いてないし...
でもね
【それでは、次のアーティストは櫻坂46です】
僕は信じてる
Overtureが始まり沢山の歓声の中からメンバーが続々と出て来る
その先頭に立つのは...
〜Fin〜
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