角2019_ペア中央

角川俳句賞 2019 落選作抄 40句

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背が伸びて細き手足や雛祭 ハードエッジ
桜貝永遠に幼き桜色 ハードエッジ
畑中に小便もらふ桜の木 ハードエッジ
味見するやうに子猫を舐めてをる ハードエッジ
壺焼の壺を貰つて帰りけり ハードエッジ
山葵田の水全幅で奏でをる ハードエッジ
虚子の忌の棒を継ぎ足し継ぎ足して ハードエッジ
電柱は刺さるレガッタは進む ハードエッジ
誤用また楽しからずや五月晴 ハードエッジ
毒だみや夜遊びに行く五六人 ハードエッジ

子宝のこぼれむばかり燕の巣 ハードエッジ
馬車飾る鈴になるべし花南瓜 ハードエッジ
宿浴衣きのふは絣けふは縞 ハードエッジ
石と木と鉄の道あり炎天下 ハードエッジ
冷房のなき本堂の太柱 ハードエッジ
丼は涼しと猫の子が眠る ハードエッジ
胡瓜揉み塩辛き手となりにけり ハードエッジ
ひまはりは雪の深さを知らざりき ハードエッジ
番号や団地の壁の夕焼けて ハードエッジ
みづからも骸となりし蚊遣香 ハードエッジ

冷蔵庫バタンと閉めてまた明日 ハードエッジ
八月の赤字九月の黒字かな ハードエッジ
曲りつつ青き稲穂は金色に ハードエッジ
稲は日に芋は土中に太りをる ハードエッジ
縦書は塔婆に良けれ曼珠沙華 ハードエッジ
これよりぞ秋刀魚祭が火を噴いて ハードエッジ
下駄箱の中の長靴秋の暮 ハードエッジ
屋上に駐車場あり今日の月 ハードエッジ
蜂蜜のとろりと夜学果つる頃 ハードエッジ
毛糸玉子猫のために買ふことも ハードエッジ

健気なりコンクリートも大根も ハードエッジ
葱買うてパン屋の前を通りけり ハードエッジ
湯ざめするまでは湯ざめでなかりけり ハードエッジ
買ひ替へし鍋に始まる年用意 ハードエッジ
行く年に息を凝らしてゐたりけり ハードエッジ
山寺のあたりが赤し除夜の鐘 ハードエッジ
泣初の赤子の舌の短さよ ハードエッジ
瓶に入れ流してみたき宝船 ハードエッジ
着飾りて詩歌の国の歌留多会 ハードエッジ
もう一度子猫になつて会ひに来よ ハードエッジ

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