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ハードエッジの落選俳句館

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各種公募展、涙の落選作
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2020年9月の記事一覧

NHK 文芸選評 2020「月」落選作/榮猿丸選

薄絹を脱ぐべし月は上るべし ハードエッジ 月こよひ行き交ふ舟の灯さず ハードエッジ 海底に月の光の届かざる ハードエッジ   ※ 選の中に「昼の月」があって少々違和感 【参考】 一応、俳句業界の有季定型エリアでは、 「昼の月」は秋の季語ではなく、 公認の季語と併用される一般名詞扱いが基本 春: 長閑さや浅間のけぶり昼の月 小林一茶 きさらぎや若草山に昼の月 藤野古白 屋根替の埃の上の昼の月 高濱虚子 花人は知るやかゝれる昼の月 井上哲王 白梅をはなれてありぬ

NHK俳句 2020「蟷螂」落選作/西村和子選

西部劇なら二丁拳銃いぼむしり ハードエッジ 草にゐて草より青しいぼむしり ハードエッジ 蟷螂の怒りに燃ゆる緑色 ハードエッジ 蜘蛛にあり蟷螂になき女郎かな ハードエッジ 斧舐めて月に挿頭しぬ蟷螂(いぼむしり) ハードエッジ 蟷螂の食はれて生を全うす ハードエッジ

NHK俳句 2020「葡萄」落選作/対馬康子選

友だちと葡萄畑に昼寝して ハードエッジ 紫も緑も黒も葡萄なり ハードエッジ 紫の雨に煙れる葡萄園 ハードエッジ 冷蔵庫を出でし葡萄の露まみれ ハードエッジ 角のごとく骨のごとくに葡萄の柄 ハードエッジ 夜空より葡萄の露の一雫 ハードエッジ

NHK 文芸選評 2020「葡萄」落選作/神野紗希選

二三粒葡萄沈みし洗桶 ハードエッジ 灯を少し暗くして食ふ葡萄かな ハードエッジ

NHK俳句 2020「鰍」落選作/小澤實選

穴釣の穴より大き鰍かな ハードエッジ 小兵なれども揚げ鰍焼き鰍 ハードエッジ