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「君たちはどう生きるか」を見て

※ネタバレ含みます。何も情報を入れないで見た方がよいと思いますので未見の方は、まわれ右推奨です。











※一回見ただけでは細部がよく分からない掴みにくい話なので、感想もうまく言語化できないのだけど、公開日見てとりあえず書けるとこまで書いてみた次第です。

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見ましたわ。全体としては「千と千尋の神隠し」みたいだし、飛行石みたいなのは出てくるし、出てくる自動車は「カリオストロの城」で、作っている飛行機は「風立ちぬ」のようでもある。主人公が弓を引く様は「もののけ姫」を思い出させるし、宮崎駿の集大成的というコメントが出てるのは分かる気がする。

一方で、久石譲の劇伴のトーンはずっと暗くてキャッチな感じには作られていないし、主人公の眞人をはじめ父親もちょっといけ好かないし、アオサギも虫の好く奴じゃないしと登場する人物がみなちょっとずつ屈折してるとかこれまでの宮崎アニメとの毛色の違いも各所で感じる(主人公が屈折してるのは珍しいのではないか)。異世界に行って帰ってという物語の骨格こそ「千と千尋の神隠し」に似ているが(異世界に行きそうで行かないので「早く肉圓食え」と見ててヤキモキしたが)、そこでの成長が主眼となっている感じでもなく、帰ってきてからもあっさりと終わるので見る人によってかなり解釈の幅が出るように思った。

いちおう自分の感じた見方を記しておくと、終盤では大叔父と主人公の対話が話の軸となるのだけど、そのどちらも宮崎駿本人なのだろうなと思った。アニメーターとして質・量ともに前人未踏のものを生み出してきた宮崎駿と、そして一度引退宣言をしたにも関わらず80歳を超えていまなお世間を少年のような目で見て新たに物語を紡ごうとしている宮崎駿。自らが作品として創造してきた世界を石の積み木に見立てて「こうやって創るモノだ」と示しつつも、少年の心の宮崎駿はそれをただ押し黙って受け取るわけではない。

主人公がなぜ移動したのかシーンの繋がりがよく分からない部分とかが散見され、「特にこれ」という押し出した主張もなく、とはいえ神話や寓話のような感じでもなく分かりにくい映画だと思う。昨今、SNSやマーケティング的なことを考慮してかストーリー展開が明確な映画が多くなり、「よく分からない」「意味不明」な映画は少なくなった(そもそも作らせてもらえなくなった)。そんななか、意味不明だが妙にエネルギッシュという本来なら若いクリエイターがつくっちゃいそうな作品を80越えた宮崎駿が作っているというのは中年男性として非常に勇気づけられる内容であった。

追記1

樋口真嗣のツイートを見たら、「ハヤオがハヤオに向かって語っている映画」という見立てはあながち間違っていないなと思えてきた。

追記2

そもそもポスターの変な鳥みたいなヤツが出てくるのかどうかとか、すべて謎なのでどう感想を言ってもネタバレというか、情報なしで見るのが一番いい楽しみ方だとは思うのだが、見ればいろいろ言いたくもなるだろうし難しいとこだなと思った。とりあえず私は「もののけ姫」をおさらいしたくなったが宮崎アニメは配信がない。どうしたものかと思ったら来週の金曜ロードショーでやるんだな。やるなら今日でしょ、と思うけど。

宣伝はまったくないという異例の体制だが内容的にもそれで正解だと思う。宣伝予算を某プロデューサーが噂のタイ人に使ってしまったから・・・でないことは祈っている。

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