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対応できない相談は抱え込まないで

職場のパワハラなど、ハラスメントに関する相談を受けられる体制にしておくことは企業の義務です。

【参考】厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
職場における ・パワーハラスメント対策 ・セクシュアルハラスメント対策 ・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策 は事業主の義務です!https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001019259.pdf

とはいっても、特別な【相談窓口】を設置できていない企業もたくさんあります。その場合は、社内のだれかが【相談相手】になることもあります。
相談相手は、管理職であることも多い。

例えば、部長が「課長のハラスメントに悩んでいる」という社員の悩みを聞くこともあるでしょう。男性上司が「女性部下から同僚のセクハラに耐えられない」と訴えを受けることもあると思います。

相談された上司の皆さんは「何とかしないと」と思うでしょう。
だからといって、カウンセリングのプロではありません。自分ではどうしたらよいか分からないことはあるでしょう。異性や年齢が離れている社員の気持ちが理解しにくいこともあるかもしれません。

そのようなときに、自分のところで相談を止めてしまうと、状況が改善しなかったり悪化することも考えられます。

2つの実例を挙げます。

1つめは、数十名規模の会社で起きたことです。
この会社は事業拡大のため、シナジーを生み出せそうな会社と合併しました。合併後、2つの会社の社員が一つの事務所で働くようになったときのことです。
買った側の元A社の総務部の女性社員が「(買われた会社の)元B社の営業社員が嫌味を毎日言ってくる」と合併後の会社の副社長に相談がありました。
この会社は家族経営で、副社長は、この合併を機に役員になった会長の息子の方。彼はマネジメント経験がありませんでした。
総務部の女性社員が相談しても、副社長は話を聞くことしかできませんでした。
文字通り話を聞くだけで、営業社員に注意することもできず、状況も改善せずに半年以上この状況が続きました。
女性は「辞めても狭い地域で絶対に男性社員と会ってしまう。辞めても辛い思いをするならどうしたら良いのか」と思い悩み、八方ふさがりでした。副社長も一緒に八方ふさがりとなり、2人してメンタルヘルスを崩してしまいました。

2つ目の例です。これは上場企業の子会社で起きたことです。

役員のAさんに「部長のBさんのパワハラに耐えられない」と部下のCさんが訴えてきました。
役員のAさんは、部長のBさんの仕事ぶりは問題ないし、パワハラの素振りを見たこともなかったので、部下のCさんには「わかった。おれが何とかする。B部長と話しておくから」と言ったまま、そのまま2か月が経ちました。
部下のCさんは役員のAさんに「あの件どうなりましたか?」と尋ねました。
役員のAさんは相談を受けたことも忘れていました。「タイミングがまだ合わなくて、すまない」とCさんに伝え、さらに数週間が経ちました。
今度は、Cさんと、同じ部署のDさん・Eさん・Fさんも一緒に役員のAさんに何とかしてほしいと訴えてきました。
同じく、役員のAさんは「何とかする」とメンバーに伝え、結果部長のBさんを処分したのは、Cさんの最初の訴えから1年以上が経ったときでした。
その間に、中心メンバーのCさんとDさんは退職、部署は解体になってしまいました。この部署は稼ぎ頭であったので、そのまま会社の売り上げも目減りし、親会社に吸収されました。役員のAさんは会社がなくなったので退職しました。

上記2社とも、組織の内外に相談先はありました。
推測ですが、1つ目の事例の副社長も、2つ目の事例の役員も責任感によって「自分が相談されたのだから自分がなんとかしなくては」と思ってしまったのでしょう。

これは好ましくない考え方です。
餅は餅屋。人事のことやメンタルヘルスに明るくないのであれば、専門家を頼ってください。
専門家に引き継ぐことを「リファー」と言います。
これは責任放棄ではありませんし、後ろめたいことはありません。

相談窓口を会社で外部と契約することも一つです。

いろいろな手段を持っておくと、相談を受ける側の心理的な負担も軽減されるでしょう。

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