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わたしのだいじなもの


2020年の3月、大学2年生の終わりを締めくくる春休みの真っただ中に、世界中がコロナウイルスの感染拡大の被害を受けていた。それに伴って、私のキモチも“せっかくの大学生の春休みなんだから遊んじゃえ!”と“最悪のことを考えて家にいるべきだよ”なんて天使と悪魔が共存していた。とはいっても遊びたい欲が強かった当時の私は圧倒的に悪魔が優勢で、行かない方がいいっていうのはわかってる、、、わかってるんだけど、、、って結局遊びに行ってしまう日々。3月後半にゼミの緊急会議(3/22)や合宿(3/30-31)がZoomで行われ、先生の言葉を受けた時にもう1度考えてやっと自粛しようと思えた。その後友達と「今回はやめて、コロナが収まったら遊ぼ(;;)」なんてやり取りを繰り返して予定はすべてキャンセル。

コロナを恨みはしたものの、この自粛は遊ぼうと思えば遊べてしまう、なんて誘惑が断ち切れていいじゃん!もうたくさん遊んで満足でしょ!と思う自分もいた。


そしてこのゼミ緊急会議からオンライン生活は始まった。オンラインで誰かと顔を見合わせて話すなんてLINE電話しか経験がなかったし、Zoomという言葉すら知らなかった。使ってみると、ここ押すとこれができるのかとか知れるのが楽しい。だんだん使う機会が増えていくのは良いんだけど、使うほど私の画面が他の人よりも暗く映ることが気になっていた(メイクしてなくてもばれないことは良いんだけどな笑)。写真撮るときに結構悲しくなるから、何とかしようと思ってパソコンの角度を変えてみることからやってみた。そうするとカーテンの開けっ放しが原因だとわかって、閉めた途端にだいぶ顔が分かるようにはなった(まだ暗いけど)。ライトが必要だということにも気づいて、何年も使っていなかった机のライトをつけてみるとびっくりするくらいまた明るくなって、これだ!と確信した。周りの人からも「ずいぶん明るくなったね」と言ってもらえて「そうなの!」なんて返せるのが嬉しかった。みんなはサラッと光のことを気にして明るくしてたのかと思うとすごいなぁ。

Zoomが使われていくようになると、オンラインでのイベントも増えていった。私が初めて参加したのはゼミ生が共有してくれたもので、リディラバが主催する[リディズバ]というオンラインイベントだった。4月5日から1か月間毎日、“社会の無関心を打破する”をテーマに社会問題についてラジオ風に安部さんとゲストの方がトークしているのを、私たちは視聴者となってTwitterに#リディズバをつけて思ったことをつぶやく。参加者全員の拍手から始まって子供の貧困や地域コミュニティ、コロナ下での医療現場や飲食業の実態など、様々な角度から社会問題を取り上げていて、ツイートはあまりできなかったけど私にとってすべての話が新鮮でどんどん聞きたいと思えたし、リディズバを聞くことが日々の日課となっていった。1か月の期間が終了した後は月額制の部活という体制を取ることになったらしく、私は諦めてほかのイベントに参加していくことを決めた。


4月6日に大学から春学期の授業はオンラインで行うという知らせがあった。その知らせがある前からオンラインなんだろうな~とは思っていたし、他大学で既にオンラインでやるという知らせが来ているところもあったから何も驚きはなかった。でもそれと同時に、今までのキャンパスライフを送れないという現実をはっきりと突きつけられた気がした。大学構内でばったり会った友達と立ち話したり、帰り道スタバに寄ってフラペチーノ飲みながら談笑したり、毎週の空きコマに神楽坂でランチしたり、、、今まで当たり前だった日常が急に恋しくなってくる。何回もスマホのカメラロールを見返しては心にぽっかり穴が開いたようなキモチになった。

でも頑張るぞ~なんて意気込んで4月21日からオンライン授業がスタート。オンデマンドの授業とZoomの授業、割合は私の場合半々くらい。Zoomの授業は通信が重くて途中で先生が落ちてしまったり声が聞き取りにくくなったりすることが何度かあった。それでも、Zoomの双方向感やオンデマンドの自由感は個人的に好き。毎週の課題はしんどいけど、オフラインより確実に集中して聞いてる。
どちらにせよ授業を受けるのに大事なのは先生がいつも言っている「自分で集中できる環境を整える」ことだと思うけど、オフラインは周りの音が気になったり隣にいる友達とつい話しちゃうし、オンラインは自由すぎて何しながらでも聞けちゃうところがある。それでも、オンラインの方が自分1人しか周りにはいないから集中できる環境は自分の意志で整えやすい。足置きを用意したって、椅子の上に片足乗せたり体育すわりをしたって、そんな変な恰好は画面に映らないから誰にも不快な思いをさせないし、迷惑だってかけていないのがオンラインの良いところ(これは直したほうがいいのかもしれないけど)。

でもひたすら1人で黙々と授業を受けるのは何か虚しい。隣に友達がいればちょっとした質問もできるけど、オンライン生活だとわざわざLINEをしないといけない。そこまでのことじゃないんだけどちょっと聞きたいな、なんてことが聞きにくい。それに、会えないならZoomで話したいと思ってもただ雑談するために時間を決めようというのはなんとなくハードルが高い。それでも話したいと思った子がいたから「誕生日お祝いしたいからZoomしよ!」なんて理由をつけた。実際4月29日の23:30くらいにその子と2カ月ぶりに顔を合わせた。サークルで出来た学科が同じ友達でよく一緒に授業も受ける。何かと好みが合う大好きな友達の1人だ。いつ話しても楽しいけど、久しぶりだからか余計に楽しい。ホワイトボードで訳わからない絵しりとりしてお腹がよじれるほど笑ってるし、気づいたらもう朝の5:00くらいになってるし。自粛してから初めてこんなに笑ったと思った。でもZoomをしたのはそれっきりだし、ほかの友達とZoomをしても2回目につながることはなかった。結局好きな時間に返せるLINEがいいのだ、友達も私も。

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こうして、私の新しい日常は朝起きてからご飯とパソコンの行き来、たまにバイトしたり本読んだり、というサイクルが出来上がる。その中で自分なりに一生懸命いろんなことできて楽しめたこの生活が好きになった。今までの生活から一変したときの寂しいキモチを否定することはないけど、そのキモチが吹っ飛ぶくらいにこの春学期は充実感に溢れている。

それも全部、この生活の中に“わたしのだいじなもの”があったおかげ。それは人との関わり。Zoomじゃ続かなかったけどLINEは続けられる友達、毎週月曜日に集まって話せるゼミ生、毎週火曜日と木曜日にアツい言葉をくださる長岡先生、くりのさん、ゼミに来てくださるゲストの方、イベント先で一緒に対話してくれる方、インターン先で同じグループになる同い年の子、暇なときにおしゃべりするバイトの方、夜によくおしゃべりする両親。この期間私に関わってくれた人がこんなにもいたから、今の私がいるし、孤独だと思っていたオンライン生活を楽しく過ごすことができたと思っている。
画面が暗いのだって誰かと写真を撮ったり会話したりしなかったら多分直してないし、授業だって先生のアツい言葉がなかったら集中して頑張れたし、ゼミ生が頑張ってるから私も頑張ろうと思えた。だから私を動かしてくれたのは私と関わってくれた人。でも今は夏休みゼミもお休みだから、話す機会が減って実は寂しい。笑だからこれからはいろんなイベントに参加して新しい人と会話して関われる人を増やしたいな。これからもみんなで頑張っていきたいし、今度は自分も誰かのキモチを動かせるような人間になりたい。



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