【バトル】我武者羅
長編バトル漫画もの。壮絶な復讐劇。
世界観
日本の政治家上層部が、地球外生命体のエイリアンに乗っ取られた世界。
エイリアンのために法が作られ、エイリアンのために日本国民は生きねばならない。
そうした独裁国家になった上に、アメリカですらも無闇に攻撃できない状況の中、日本国民は苦渋を強いられていた。
そんな国家を転覆させようと、とある組織が動き出す。
それが、非公式特殊戦闘部隊『我武者羅』であった。
キャラクター
『白神 明(しろがみ あきら)』
17歳の少年。主人公。髪が白く、鋭い目付きをしている。
のどかな田舎の出身だったが、村をエイリアンに殲滅されてから、復讐を誓った。
非常に合理的で冷たい性格。それは、愛されることを拒絶しているから。人から愛されると、自分が非情でいられなくなる気がするためである。
我武者羅部隊を結成し、自らも改造人間となる。
血が流れれば流れるほど、身体能力が飛躍する特殊能力を持ち、逆境の時ほど力を発揮する。
『松井 聖子(まつい しょうこ)』
17歳の少女。もう一人の主人公。能天気で明るく、「今が楽しければ良い」、「今が幸せであれば良い」というのが信条の性格。
自分の通っていた学校がエイリアンによって襲撃されて崩壊したため、「今を楽しく生きるために、戦わなきゃいけないんだ」と心に決めてから、我武者羅部隊に入隊し、改造人間となった。
また、明のことをいつも気にかけており、邪険にされても必ずそばにいる。
自分の体を細かい粒子にまで分解することができ、その能力で壁をすり抜けたり、空気にとけて体を見えなくしたりと、スパイ向きの能力。
『鬼塚 狂吉(おにづか きょうきち)』
明が見つけたマッドサイエンティスト。我武者羅部隊に入隊してきた者を改造人間にしている。
「イカれたエイリアンが相手なら、こちらもイカれてなければ勝てない!」という言葉が口ぐせ。
大まかなストーリー
起
主人公 白神 明は、復讐のために我武者羅部隊を結成。国家転覆を狙う。
承
エイリアンもまた、我武者羅部隊を殲滅しようと部隊を結成。
両者の激戦が繰り広げられる。
転
そんな戦闘の最中、聖子が敵にやられて戦死する。
聖子は死ぬ間際、明に告げる。
「私の復讐はしなくていい。あなたのそばにいたかったから、この部隊にいた。自分でそう決めたから、後悔はない」
明はそれでも、敵に対する怒りを押さえられなかった。
復讐のために今まで生きてきた明。聖子の分まで復讐せずして、どうするか!
そんな思いが彼を支配した。
しかし、復讐してほしくないという聖子の願いを無視する訳にもいかなかった。
彼もまた、彼女を愛してしまっていたのだから。
結
ついに敵の親玉と対峙した明。
今まで復讐のために戦い、敵を殺してきた明。
だが、この局面にきて、大きく心境が変わった。
「俺はもう、復讐のために戦わない」
それは、聖子の願いを受け入れたためだった。
自分で覚悟し、死んでいった者に対する、彼なりの誠意の現れだった。
「復讐でお前を殺さない。お前は、俺の大事な者を傷つけようとするから、殺すだけだ」
その気持ちに、感情はない。
恨みや憎しみを超えた先に、彼はいた。
そうして、明は親玉を殺した。
その後、彼自身が政治家となり、国を治めた。
「今を幸せであるために、共に強く生きよう」
彼はその信条を国民へ伝える。
その胸の中には、いつまでも聖子の姿があった。
作品のテーマ
「復讐は何も産み出さない」とよく語られるが、それは違うというアンチテーゼである。
憎悪によって、人は心を熱くする。生きようと奮闘する。
その「生きようとする力」を、復讐心は産む。
だが、それのみに囚われても、結局はむなしくなる(復讐を終えた後に無気力になるため)。
そこから先に生きる力を見い出して、この物語を締めくくる。