反戦【不滅の花園】


少女は花が好きだった

家の庭にある花園が好きで、いつもそこを駆け回っていた

両親も、街の人たちも、そんな彼女を見るのが好きだった

そんなある日、戦争が起きて街が攻撃されてしまう

街の者たちが散り散りに他の国へ逃げる中、少女は家に帰りたいと懇願した

「花園のお花を守らなきゃ!」

両親の制止を振り払って、彼女は家へ戻ってしまった

その瞬間、大きな爆弾が落とされた

少女はその光の中に消え去った

それから10年、両親は酷く落ち込んでいた

少女のトラウマを抱えたせいで、戦争が終わった後も街に帰れなかった

だが、このままでは前に進めないと思い、二人は花をいくつか買って、少女を弔うため街へ戻った


二人は、街の現況に驚かされた

辺り一面が、花でいっぱいになっていた

街に戻ってきた人たちが、少女のために花を植えたのだ

「あの子の愛した花園を守るんだ」

街の人たちは、みな口々にそう言った

二人は街の人たちに感謝し、自分たちの持ってきた花を、花園の一部に加えた

その時、彼らは花園の中で駆け回る、一人の少女の幻影を見た

輝くような笑顔を見せる彼女の姿を、彼らはいつまでも見つめていた