見出し画像

あの日見た暴走汽車の名前を僕達はまだ知らない

銀河鉄道の父。
原作(門井慶喜さん)を読んでから映画も見てきました。泣いた。

映画は、原作よりもハートフルになっていましたが
見て良かったなぁ……🎥

映画の賢治像と、原作の賢治像が混ざってしまっているのですが感想です🐑
(ネタバレ厳禁な方は、ここで下車〜)
(あちこちに停車してるから長旅🐑)


なりたいな、なりたいな、救世主になりたいな

私から見た賢治像は、救世主になりたいメサイアコンプレックスがあるな〜という感じ。
(メサイアコンプレックスは、他者を救うことで自らの劣等感を補おうとする心理のこと)
実家の質屋の仕事体験をして、客にお金を騙し取られて
「良かった〜。病人がいなくて〜」という発言に
(ん?)と違和感。
質屋のことをボロクソに言って、自分は違う形で農民を助けたいと宣言しながらも、
夢みたいな人工鉱石ビジネスにハマりそうになる危うさとか、手付金を親に出してもらおうとする考えの甘さとか……。
汚れ仕事をせずに、自分は洗練潔白のままでいたいところがホラーかな?とゾッとした。
地に足つけろ!ってツッコミそうになる。

体よりも頭が動く男、賢治

「何もできない!」と言ってパニックに陥る賢治を見て、(考えるな!動け!)と思った🤔
後日、よしもとばななさんのエッセイを読んで腑に落ちた。
ばななさんの友人たちが、「主婦辞めたい〜」と言いながらも
旅行先でも率先してお茶を沸かしたり、テキパキ動いていたらしい。
それを見て、ばななさんは(え〜!みんな主婦やりたいんじゃーん)と思っていたけれど
自分も主婦になって、何年もたったある時に
体が勝手に動くようになっていて、オートモードに何度も助けられた
、というエピソード。

賢治!これだ!
お前、救世主になろうとしなくていいから
主婦を見習え!

海外の哲学を早期に学びすぎたんじゃないかな。

型がないのに型破りしようとするマン

SOUL CATCHER(S)にもあったぞ……(ジャンプで連載していた吹奏楽マンガです🎷)
基礎が身についているから、型破りであって
基礎が身についてないのは形無しだ

って名言。
賢治は基礎が身につく前に、生き方に疑問を持ってしまったのでは?

映画の『日々是好日』🍵を視聴した時に、作法は体に覚え込ませるのが先なのだと知る。
考えすぎない。身につくまでやる。
身について初めて、お湯と水の音の違いに気づけたり、
日々の繰り返しが、実は同じではないと気づける。
悟りに近い感覚。
でも、賢治は質屋の表面だけ見て
わかった気になったから怖い。
マニュアルばっかり習得していて、現場の楽しさとか誇りを知らないやつ、怖い!!!!!
若さって怖い!!!!(若いでまとめないでください🙊)

そもそも海外の哲学には、その地域文化と繋がっていたはずだから
突然、東北の文化に海外思想をぶち込んでしまうと
うまくいかないんじゃないか?(共通点があって改善されるものもあれば、うちはうち、よそはよそな面もあるし)

車輪の下🚙

ストーリーとしては、賢治の父に感情移入しやすかった。
原作を読みながら、ため息・脱力・涙の連続。
こんな子育てしたくないなと絶望的な気分になる。
くそが!!(毒づく)

そしてヘッセの『車輪の下』を読まなきゃ!!!!って衝動がわく。
車輪の下のストーリーは、ヘッセ自身の学生時代の体験が元になっていて
感受性の強い思春期の少年ハンスが、周囲の期待や学校の制度や社会に押しつぶされてしまう話。
(はらは、BAD ENDだと思ってる……)
ハンス=賢治のイメージだったけど
銀河鉄道の父を読みながら、車輪の下に押しつぶされてたのは、父の方じゃないかな?って思った。

調べてみたら、ヘッセ (1877生)と賢治の父(1874生)は同時代で

少年時代に勉強や人間関係の車輪に押しつぶされることもあれば
壮年になった頃、家族内の人間関係で押しつぶされそうになることもある。
生きるって闘いだなぁ。

ただ、自分を悩ます存在を肯定的にとらえているのが『わたし、定時で帰ります。2』(ドラマにもなったよ)
自分と考えが合わない部下がいることで、自分の考えは本当に正しいのか問いかけるようにしている。生きる上で自分はこれでいいと自信を持つことも大事。
でも自分の考え方が本当に正しいのか疑問を投げかけるきっかけになるのが、考えが合わない人の存在。

相性を活用して、傲慢にならないように、自分の短所をコントロールしていた話を思い出した。

親を悩ます子どもって、凝り固まった価値観とか視野を広げてくれる存在なんだなぁ。

明治の父になろうと努力した父の奮闘むなしく、
賢治の反抗心は凄まじい。
絶対に思い通りになってやらないという意志がある。

臨終の時も。
原作と映画は違うので、確認してもろて。

原作は、どこまでも反抗心。
映画は、こいつ……どこまで自分を神聖化するんだ……って思ってしまった😂
自分に不都合な記憶がないじゃないか、コノヤロー!!!!!
賢治の主観は、親に褒められず、理解されず、死を前にしても弱者の味方の僕、なんだな🤔
そのためなら、自分へのプロデュースに全力。

理解者になろうとして、試行錯誤した父の思いやりは無視!
(我を忘れそうなほど泣ける)


さっき、怪物を観てきたんだけど
怪物は、銀河鉄道の夜がチラつくらしい。

はらにとっての怪物は、原作の賢治でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?