解凍・変化・再凍結モデルの起源、発展の過程:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、クルト・レヴィンの「解凍・変化・再凍結モデル」に関する論文です。
解凍・変化・再凍結モデル:
クルト・レヴィンが提唱した変革プロセスを説明するフレームワーク。解凍 (Unfreezing): 現在の状況や行動パターンを崩し、変革の必要性を認識させる段階→変化 (Changing/Moving): 新しい行動や考え方を導入し、変革を実行する段階→再凍結 (Refreezing): 変革が定着するように、新しい行動や考え方を安定させる段階の3つの段階から成り立っている。
レヴィンの「解凍・変化・再凍結モデル」(CATS)は、変革管理の基礎として長い間受け入れられてきたが、近年ではこのモデルが過度に単純化されているとの批判もあることから、レヴィンの原典に戻って、このモデルの真の起源を明らかにすることを目指している論文です。
今日の論文
Unfreezing Change as Three Steps: Rethinking Kurt Lewin's Legacy for Change Management
クルト・レヴィンの遺産としての3ステップモデルを再考する
Human Relations, 2016年
Stephen Cummings, Todd Bridgman, Kenneth G. Brown
サマリ
クルト・レヴィンの「変革の3ステップモデル」(解凍 → 変化 → 再凍結)、別名「解凍・変化・再凍結モデル」(CATS)、変革管理の基本的なアプローチとして広く認識されている
本論文では、このモデルが実際にはレヴィンの著作に基づいていないこと、そして彼の死後に形成されたものであることを主張
また、この誤解が変革管理の発展に与えた影響を分析し、今後の変革管理の研究と教育に向けた2つの新しい方向性を提案
方法
レヴィンの著作と、それを引用した後の研究を比較するフォレンジックな文献分析(過去の文献やデータを詳細に検証し、その信憑性や起源、発展の過程を徹底的に分析すること)を行い、CATSモデルの誤解の形成過程を追跡
また、フーコーの視点を用いて、変革管理の基盤となるこのフレームワークがどのようにして形成され、発展したかを検討
わかったこと:
CATSはどのようにして他の変革モデルや理論に影響を与えてきたか
CATSが変革管理の「基礎」として扱われ、そこからさらに複雑なモデルが派生していった
レヴィンのモデルは、ScheinやKotterなどの影響力のある研究者により改編・発展され、現代の変革管理理論に影響を与えている
Lippitt et al. (1958)の7段階モデル
Schein and Bennis (1965)による態度変容のモデル
Kolb and Frohman (1970)の計画的変革モデル
Tichy and Devanna (1986)の3つの変革行動(3 Acts of Transformation)
JP Kotter (1995)の8段階の変革ステップ
論文から得た学び
レヴィンは、実際には「解凍・変化・再凍結モデル」を公式化しておらず、このモデルが発展し、変革管理の分野で重要なフレームワークとして広まったことが確認されました。
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