tsujichiro

辻一郎という筆名で短歌や俳句を作っています。

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最近の記事

カニ戦記

猫歌人の仁尾智氏が北海道にやってきて、最終日が暇になってしまったという。におみくじ、を引くだけでは物足りないぞ、と思っていたので昼飯に招待した。そして考えた、これはワタリガニだな、と。前日に子どもと散歩していたら、なぜか近所の魚屋に入っていったので、意味なく2周くらいした。そしてワタリガニが安かった、ワンコインでちょっと足りないくらい。カニをさばいた経験はないが、何とかなるさ。ここでややまじめな話、最近は俳句についてよく考えているので、季語の扱いと同じように考えていた。使いや

    • うずまきぐるぐる

      幼少期の最初の記憶はたぶん、母に手首をつかまれながら 幼児用ドリルをしている場面だ。 薄く書かれた渦巻きを鉛筆でなぞっていく。 僕がいちどドリルを拒否したものだから、母は僕の右手をつかんで渦巻きを書かせる。 納得がいかないので渦巻きとは別の方向に進んでみたりもするが、 手首を持った母に素早く戻される。 途中から何だか可笑しくなってしまって、僕は笑いだした。 母もつられて笑いだした。 しかし鉛筆の動きは止まらない。 中心に向かって鉛筆はゆっくり、ぐるぐると進んだ。

      • 歯磨きできるかな(2)

        僕がまだそれなりに熱心な高校のバスケットボール部員だった時のことだ。 頼んでないのに父が大量に買って来たバスケ入門書のなかに、 普段から左手をなるべく使うこと、という項目があった。 僕は箸を左手で使う練習をし、また歯磨きを左手でするように心がけた。 そして半年くらい経った頃。歯が痛いのだ。それも両側。 もともと右手でもかなり適当だった歯磨きが、 左手で磨く(清める)ことでより適当になり、 虫歯はすごい勢いで広がっていた。 結局、近所の歯医者で5、6本の歯に銀歯を詰めることに

        • 歯磨きできるかな

          歯磨きの意味が僕はちゃんとわかっていなかったという話をしたい。 歯の汚れというもののイメージが、岩についている砂、に近いものだった。 水で洗い流せば落ちるものだと思っていたのだ。 まあ油汚れ的なものもあるだろうが、それは(よくわからないが)歯磨き粉に界面活性剤的なものが入っていて、やはり洗い流せば落ちるのだろう。 そういう考えであったからして、歯磨きというのは口の中で歯ブラシにより水と歯磨き粉を撹拌する以上の意味はあまりなかった。 それでうがいをすればいいんでしょう? 虫

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