顧客明確化の必要性

「誰にこの商品を売るのですか」「あなたの顧客はどこにいますか」

という問いにしたいして、”全ての顧客”と応える経営者では、その企業の先はもはや風前の灯である。

2000年前後から消費文化は、資材からサービスに大きく変化した。

高度経済成長期から長らく資材の消費・販売に携わった多くの老人たちは

90年代からその社会的な変化に苦慮をしてきた。

この消費文化のサービスに占める割合は、今後も増加の一途をたどる。

何故なら、食料品や工業品の価値は1900年から約半分に下がっているものの

教育関連費用や知識への投資の額は20倍以上の価格を要するものに変わっているからである。

そしてそれは今後も継続をする。

人間の胃袋は昔と変わらないが、知識を満たすための脳の容量はまだまだ余剰がある。

そして、1937年MITのクロード・シャノンが2進法をデジタル回路へ応用したことから始まった、インターネットによる情報革命に原因がある。

これは古代エジプトでのヒエログリフ、グーテンベルグの活版印刷に匹敵する価値の変化を誘発している。

情報を制限することはもはや不可能である。

これはマスコミ・マスメディアなど、マス媒体による文化の形成が起こらないことを意味する。

入手される情報は複雑化を極め、同一な価値観は近所に住む者同士ですら形成されえない。

この2つの社会変化は、マーケットの細分化と消費者行動の複雑化を促す。

企業は、これらの細分化されたマーケットの顧客に対して、単一のプロダクトを提供することであろうか。

いや、それは不可能である。

企業の使命は、複雑化するマーケットに対して、自らのプロダクトを通じ、マーケットを創出することである。

成長マーケットは年々細分化され、高度に複雑になっている。

そこで自らが顧客を創出できるとすれば、顧客をより知ることである。

ターゲットし、セグメントし、ポジショニングするという基本動作の繰り返しである。

しかるに「私たちの商品を買ってくれる客を探す」ことをしていはいけない。

「あななたたちのために、この商品を提案します」と言わなくてはいけない。

すなわち全ての顧客をするということは、企業として自らの存在意義の放棄であり、怠慢である。

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