企業は売上や利益中心であってはいけない理由

売上や業界シェアでしか、自らの業績を判断できない企業は早晩立ちいかなくなるはずである。

同じく、利益のみを中心とした企業価値は意味をなさなくなる。

売上や利益は企業の体力を測る重要な指標であることは疑いが無い。

しかしそれらは、顧客の創造の結果産出されたものであり、指標である。

だからそれらは企業の目的とは足りえない。

売上追及にのみ走った企業はその結果、誤った目的を目指す企業風土が出来上がり、存在が許されなくなる。

90年代は、売上をつくるためのシステムが乱舞した。

FCや箱もの導入により、安易に売上が作られた。

交通量調査だけで、売上や利益が算出され、CVSの陣地取り合戦が始まった。

資金提供者はその仕組みを丸ごと買うことで、経営者気どりをすることができた。

しかし、システムは早くも摩耗した。

数年後には本部とオーナーとの責任のなすりつけ合いが起こり、いまも解決されていない。

売上追求を目指せば、システムを導入することが一番手っ取り早い方法である。

空白マーケットのインフラ整備を行うことは、利益を最大化できる。

しかし日々激化する競争社会において、模倣されやすいシステムの導入ほど陳腐化が早いものはない。

おそらくは、この5年以内に大企業の製造業が深刻な立場に置かれる。

大量生産、大量消費の頃に出来上がった現在の多くの生産システムは

大企業の資金力や資本力によって、高い参入障壁をつくり、独自の流通チャネルを育成した。

しかし、社会が複雑化、高度化することにより、マスの消費財市場は存在しなくなる。

高度な資本力を必要とする大企業が、ほとんど魅力を感じない、小さなマーケットの集合体へと社会が変化する。

そうして生まれた小粒なマーケットは、参入障壁は低く、しかも同一マーケット内で2〜3年でその存在の意味が変化をする。トップダウンを基本とする、巨体な組織体ではその変化に対応できず、存在価値を許されなくなりうる。

そんな時代において、売上やシェアを目標とするほどばかばかしいものはない。

マーケットにおいての顧客の(1)創出(2)満足(3)変化への対応に力点が置かれるべきだ。

しかしこれは何も新しい理論ではない。

渋沢栄一、岩崎弥太郎、福沢諭吉、松下幸之助が常日頃口にしたり書物に残していたことである。

これからはシステムの摩耗するスピードは速くなる。

成功した企業は翌日には模倣され、しばらくのちに一般に広がり、1年後にはその手法が陳腐化している。

その際に必要なのは社会の変化と顧客の変化に対応であり、未来を拓く事である。

財務表のファンダメンタルズをいくら眺めて分析しても、古くなっていく時の流れを観察するだけである。

しかるに

売上や業界シェアでしか、自らの業績を判断できない企業は存在できなくなる。

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