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資本論では説明出来ない生産性の向上

筆者は昨今ブームになっている資本論懐古主義に反対の立場である。

社会の救済を叫んだマルクス主義は生産性の向上になんら寄与をしなかったからである。

結局プロレタリアは生涯ろくな医療や教育受けることができなかった。

生産性の向上について初めて注目したのが、今は科学的管理法の祖とされるフレデリック・テイラーである。

肉体労働者の仕事の研究や分析を通じて、生産性なるものを科学的体系としてとらえた初の人物である。

テイラーは生産性の果実を享受するべき者は資本家ではなく、労働者であると考えた。

マルクスのような資本家と労働者の対立を構造とするのではなく、生産性の向上に共通の利益を作り、彼らが調和した社会を作ることを目的とした。

ちなみにこれは後の第二次敗戦後の日本において日本の経営者と労働組合が目指したものである。

しかしテイラーの考えは、その当時の常識では反感を買う考えが多かった。

例えば作業の標準化の問題である。

当時の技術は数年から数十年の訓練を経て習得される秘伝とされており、それが技術を学ぶ上での常識とされていた。

しかしテイラーは、作業を分解し誰でも短期間で作業を会得できるようにした。

こうしてテイラーは労働組合と対立をした。

また労働というものは卑しい事であり、資本家は働くべきではないとされていた。

テイラーはその考えにも反発し、資本家と対立をした。

現場の意見を聞き、知識の優越性を良しとしたのである。

今や常識であるこれらの考えであるが、テイラーの科学的管理は、その時代には邪道であり異端であったのである。

教育生産による生産性の爆発的向上

しかしテイラーの考えは現在には至極当然のこととなっている。

この考えを一気に広げたのが2度の世界大戦である。

ドイツは兵器開発や鋳造において、熟練工を育成するために数年を要した。

しかしテイラーの理念を規範としたアメリカは兵器開発の期間を数か月に短縮をでき、戦果を挙げたのである。

以降、このテイラーの方法論は新技術にわたる応用をされ、多くの国が勃興した。無論日本もである。

今日肉体労働者の生産性は、テイラー以前の50倍の生産性と見積もらている。

その結果、労働者は労働の対価を得ることができ、生活の質の向上と自由時間の増大をもたらした。

こうして医療費や教育費という観念がなかった時代から、先進国ではGNPの10%を超える成果をもたらすようになった。

重要なポイントは、テイラーが成したことは仕事への知識の応用である。

技術力の発展や資本の多さが成果をもたらしたわけでは無いし、今後もそれは間違いない。

むしろ機械と資本を注入しただけでは生産性をあげるどころか、阻害要因になる。

今後は非肉体労働者の生産性の向上にも知識の応用が必要不可欠であり、これが知識のマネジメントである。

今後は知識にかかわるマネジメント革命が社会の主要テーマである。

知識はマネジメントに応用され、「いかなる新しい知識が必要か」

「その知識は実現可能か」「その知識を効果的にするためには何が必要か」を明らかにさせる。

これは体系的なイノベーションを生み出す。



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