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第46回(2021年)伊奈信男賞受賞しました。

昨年(2021年)の6月に開催した私の写真展『まちのねにすむ』第46回伊奈信男賞を受賞しました。
伊奈信男賞は、ニコンサロンで1年間に開催された写真展の中からもっと無優秀な写真展に贈られる賞で、1976年から続く権威ある賞です。

『まちのねにすむ』は、東京の繁華街に棲むネズミたちを被写体にネズミたちの目線で見た彼らの日常を表現した写真展です。
害獣とされ、一般的にあまり好ましく思われないネズミたちが主役の写真展が伊奈信男賞を受賞できたことはとてもうれしいことです。

街中に居るネズミたちを撮り始めた頃は、ネズミたちを撮った写真が他人に見せられるモノになるとは思ってもいませんでした。ましてやそれが写真展になるなんて想像もしていませんでした。
良いイメージの無いネズミですし、純粋に興味と情熱だけで撮影していました。そして夢中でネズミたちを撮り続けるうち、気付くとネズミたちに肩入れし始める自分に気付きました。
害獣と呼ばれるネズミたち。しかしそういうレッテルを貼ったのは人間であり一方的に駆除の対象とする。
ネズミたちの立場になれば「駆除」とは、とても恐ろしい言葉だ。
ただそこに生まれただけで、悪いものとされてしまう。
そのことが判っているのか、ネズミは人間を見れば物陰に隠れてしまう。彼らはなぜ人間が害をなす事を判っているのだろう。
ネズミたちと観察すればするほど疑問が湧いて来た。
いつのまにか、わたしはネズミたちの目線で彼らの世界を眺めるようになっていました。
自分が見ているこの景色を写真に収めたい。
それが私の目標になっていきました。

本番1-06

ニコンサロンで動物写真が賞を獲るのは難しいという話を聞いたことがあります。今回、伊奈信男賞をいただくあたり、ニコンイメージングの担当者に過去に動物写真で受賞した人がいるかどうか調べてもらいました。
すると第4回 (1979年度)栗林 慧さんの 「螢」から以降、動物写真の受賞は無いことがわかりました。
40年以上も受賞がなかった動物写真。そして蛍は昆虫ですから、脊椎動物としては初。
ニコンサロンでの伊奈信男賞を動物写真で受賞するという大きな壁をネズミたちの写真が突破したのは、不思議な気がします。
でも、もしかするとネズミたちの写真だから、この壁を突破できたのかもしれない。

ならば、私はネズミたちに御礼を言わなければなりません。
ありがとう、街のネズミたち。

本番1-35

なおニコンサロンでは、伊奈信男賞受賞記念として写真展が開催されます。

第46回(2021年度)伊奈信男賞写真展ページ
開催期間:2022年3月22日(火)~2022年4月4日(月) 日曜休館
     10:30~18:30(最終日は15:00まで) 

ぜひ来場下さい。

最後に、こんな本も出してますので、ぜひ一度ご覧ください

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街のネズミ (月刊たくさんのふしぎ2020年7月号)

Amazon「街のネズミ」ページ 

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