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蒜山へ行った2018.11/11

家族で家を出発して約ニ時間、勾配の強い道を上がって、上がって、ちょっと下ってまた上がって、たどり着いたのは蒜山スカイライン。車から降りると冷ややかな空気で隙間なく埋め尽くされていた。辺りを見回すと高齢の夫婦、もしくは、初老に片足の親指をちょこんと突っ込んだくらいの夫婦でいっぱいだった。俺と弟のような若者はまるで居なかった。居たのは一組のカップルで、彼氏の方が満面のしたり顔で見きた。ような気がしたのでそのカップルから逃げて撮ったのがこの写真である。

わーお、絶景。
一番奥に映る存在感垂れ流しの白い山が大山。

小学生の頃スキーの学習かなんかで訪れ、男子チームはリフトで雪山のてっぺんへ行き、スキー場の先生が「止まるときは八の字で〜」と説明しているうちに俺はズルズルと一人、自分の意思とは関係なく滑り始めてしまった。誰も気付かず、一人焦りながらみるみるスピードが加速していく。いつの間にかとんでもないスピードになってしまい、八の字を描いても斜面では全く止まらない。そんな事情は知らない途中いた女子チームが「え?あれタカ君?早い!」と言っていたのが高速で耳を通過していった。奇跡的にリフト乗り場まで無事に到着し、それ以来スキーの先生になんだかとんでもない鬼才の少年として覚えられる、という事があった。

霞みなくはっきりと見える景色が素晴らしく綺麗。
高いなぁ、という小学生当時も思ったようなシンプルな感情でいっぱいになって忘れていたが、我々は紅葉を見に来たのだ。だが、辺りの木々の枝はまる見えだ。ハ、ハゲている………。そう言ってしまいそうだった。しかしそう言ってしまうと周りのご老人達が勘違いしてしまい、視線の矢が四方八方から放たれ体がずぼずぼになる。俺は木々のことを言っているのであって、頭皮の話はしていない。

どうやら岡山の一番てっぺんに来てしまいすぎて、散ってしまったらしい。
しょぼくれて、この旅の目的を見失って注文したのがこれ。

蒜山なら蒜山焼きそばじゃろ、という俺の強い願望で叶ったもの。美味い。普通に美味い。

この写真は食事処の外にあった小さな丘に白樺の木を見つけて撮影。テレビで見たことがあるだけだったけど、ホントに白くて綺麗。「パンダって白だと思ったじゃん?意外とね、黄ばんでた。」みたいな事を聞いたこともあるが、白樺の白はホントに白だった。

帰りに牧場的な場所に寄った。ジャージー牛が五頭。久しぶりに大型犬以上の生き物を見た。壮大で静かな牧場にはジャージー牛が草を貪るボリボリまたはモリモリという音だけしか聞こえない。よく見ると意外と目がかわいかったりする。例えばヤギの目なんかは直視すると複数のヤギ達が暗闇の中、二本足で立ち上がりヤギ同士が手を取り合い、焚き火をぐるっと囲って気味の悪い鳴き声と共に珍奇なダンスする訳の分からぬ悪夢を見る、というヤギの呪いのようなものがかかりそうで、胸の奥からぞぞぞっとわけの分からない恐怖が駆け足で現れそうな気がするが、ジャージー牛の目はくりんとしてかわいい。というかヤギの目、瞳孔は地面に対して常に水平を保っているらしくて恐ろしい。頭ごと下を向けば、眼球がグリンと回転し、瞳孔が地面に対し水平になるのだ。驚異である。そんな感じで見入っていると、突然ボロボロと尻の辺りから消化器官を通り栄養を搾り取られた食物のかす、つまりは糞を落とし始めた。

その直前の写真である。
こうして、蒜山への旅は終わった。
2018.11/11