緊張のメカニズムとその対策

こんにちは、ギタリスト・アレンジャーの原田です。
今回の動画では「何故緊張するのか」という話をしていこうと思います。

1:挨拶
改めましてこんにちは、ギタリストの原田です。
自分はもう20年くらい音楽の仕事をしているのですが、今まで色んな人とライブをやってきた中で、何となく緊張する人と緊張しない人の差みたいなものが分かってきたので、今回動画を撮ってみています。
ミュージシャンというのは、人より高い所からスポットライトを浴びて人前で演奏すると言うのが仕事なので、まぁ普通に考えて結構心にグッと来るモノがあるわけです。
そんな状況なので、中には緊張に押しつぶされて本来出来るであろうパフォーマンスの半分も出来ない人ってのも良く居ます。
そんな人を沢山見てきた訳なんですけど、そうなると実は緊張ってある程度パターンがあるなって思うわけです。
それを意識してやる事で大事な場面で緊張せずに済みますし、その技術は音楽に限らず、例えばプレゼンだったり研究発表だったりの場でもきっと役に立つと思うので、今回も是非最後まで宜しくお願いします。

2:2種類の緊張
一言に緊張と言っても、実は良い緊張と悪い緊張の2種類あるんです。
良い緊張ってのはその緊張によってパフォーマンスが向上するモノ、逆に悪い緊張ってのはその緊張によってパフォーマンスが低下するモノって事ですね。
何をするにも一定量の緊張ってのは必要で、それが足りてないとミスが増えたり、なんだったら眠たくなっちゃったりする訳で。
逆に緊張が暴走した状態ってのが緊張に押しつぶされた状態って事ですね。
つまり何が言いたいかって言うと、ジャンルを問わずに良いパフォーマンスを出す為には緊張のマネジメントってのが大事だよって事なんですよ。

3:緊張の理由
さて、ここから本題に入っていく訳なんですが、僕が今まで沢山のミュージシャンを観てきた中で、緊張に押しつぶされてしまう人って大体3つの原因があると思うんです。
その二つってのは「準備不足」と「期待しすぎ」、そして「場慣れしてない」の3つですね。
「そんなの当たり前じゃん」って思った人も居るかも知れないですけど、でもね、意外とこれらと緊張の相関関係をきちんと意識出来ている人って少ないんですよね。
フワッとそれを理解していてもあまり意味は無くて、きちんと言語化して意識出来てないと意味が無いので、この「言語化」という作業は滅茶苦茶大事です。
それではこの3つについて詳しく話していきます。

4:「準備不足」
まず一つ目、準備不足です。
これはもう説明するまでもなくイメージが湧くかなぁと思うんですけども、自分がそのパフォーマンスをするのに充分な準備・練習をしてきたと言う自負を持てていない状態ですね。
この場合の準備量や練習量ってのは絶対的なものではなく、自分の心がちゃんと満足出来たかって事が一番大事です。
そう言う練習を積み重ねて来れていれば、「ミスをするかも…」って言う不安が生まれなくなるので必然的に緊張が遠くなる、という事です。
ただ、ここがとても厄介な所なんですけど、これって例えば「〇時間やったから大丈夫」って言う事でもないんですよね。
自分が「あんだけ練習したんだから大丈夫」って思えるか、つまり主観的な満足を得られたかが重要なんです。
なので、確かに普段の練習の中で「まだ足りない、まだ足りない」って思いながら練習する事はとても大事な事ではあるんですけど、あまりそこに自分を追い込みすぎると、いざ本番の時にその事が自分に刃を向けてくる場合も有るので注意です。
なので、普段の練習の時からあまり自分を追い込みすぎない様に、とは言え質的にも量的にもきちんとした練習を積んでおくって事が大事と言う事です。

5:自分に期待しすぎ
そして2つ目、「期待しすぎ」ですね。
これはちょっと分かりにくいかも知れないんですが、簡単に言えば自分の実力以上に大きく見せようとすると失敗するよって話なんです。
先日別の動画で「よい集中力を得られた時には120%150%のパフォーマンスを出す事が出来る」なんて話をしたんですが、とはいえそれは例外的な話で、基本的には当日本番前になって突然あなたの能力が上がる事はまずないです。
でもね、いざ本番前になった時に「ちゃんとやらなきゃ」って意識が暴走しちゃって実力以上のパフォーマンスを自分に期待しちゃう事って多いんですよ。
ただまぁさっきも言った通り、本番前にいきなり実力が伸びるなんて事はほぼほぼ起きえないんで、結果的に自分の期待に自分が押しつぶされて緊張に繋がるってパターンは結構多いんです。
自分の経験で言うと本番前に「上手くやらなきゃ」とか「ちゃんとやらなきゃ」って考えてる人は、その時点で大抵緊張してます。
そもそも論ですけど、実際に蓋を開けてみるまで良い結果になるか悪い結果になるかなんて分かる訳もないので、そんな事を不安に思う意味ってあまりないんですよね。
なので、そう言う人は良い意味で諦めを持って本番に臨む事をお薦めします。
例え悪い結果になってしまったとしても、自分の実力がそこまでだったと言う事を受け入れる覚悟を持って本番に臨むと言う事がとても大事ですね。
結果、もしそうなっちゃったとしたらもっと練習を頑張りましょうって事です。
6:場慣れ不足
最後に3つ目、コレが一番コントロールが難しいかも知れないんですが「場慣れしてない」ですね。
音楽で言えば、初めてのライブ、初めての大きなホール、初めての大勢のお客さんとか、皆さんに馴染みが深い所で言えば初めての職場、初めてのプレゼン、初めての校内スピーチって言う感じで、自分があまり慣れてない場で緊張せずにパフォーマンスをちゃんと組み上げるってのは実はとても難しい事なんです。
と言うのも、人間って基本的に変化を嫌う生き物なので、自分が知らない所に足を踏み入れるという行為自体に緊張を生む様にプログラムされてるんですよね。
言ってしまえばお化け屋敷とか心霊スポットとかと同じで、知らない所は危ない所って本能的が感じてしまうので、必然的に心身共に緊張が走ってしまいます。
この緊張はとても強くて、しかもかなり強制力が強いので、対処法を知らないと結構簡単に飲まれちゃったりします。

でも、こうやって掘り下げて考えればその原因が「自分が知らない所だ」という意識にあるという事が分かるので、だとすれば、どの場でも自分が知ってる場所に変えてしまえば良いんです。
また音楽の話で恐縮なんですが、例えばギタリストのアンプの上にマスコットのぬいぐるみが置いてあったり、足下に絨毯が敷かれていたり、あとは例えばボーカリストのマイクスタンドに装飾がなされていたり、そう言ったのを観た事はないですか?
それってもちろん自分たちの世界観を拡張するための装置だったりもするんですが、同時に、自分のパーソナルスペースをステージ上に作っていると言う側面もあったりします。
イチローが打席に入る時には、決まったルーチンで入るって話は有名ですが、あれもまた自分を自分の心地よい所に置くための儀式の1つです。
そう言う形で、例え自分が知らない場所でも自分が安心できる場所を作ってあげる事で場慣れを作る事で緊張を防ぐ事が出来たりします。
とは言え、一般的にこれらをそのままやるのは難しいでしょうから、例えばそう言う場に立つ時にはお気に入りのハンカチ、できたらそれに好きな匂いとかついてたらベストなんですけども、そういうものを忍ばせておくとかしておくと、自分のパーソナルスペースを作る助けになるので良いかなと思います。
そう、大事なのは「ここは俺の場だ」って自分に言い聞かせる事ですね。
これは場慣れがあってもなくても必要なマインドセットなので是非覚えといてください。

7:終わりに
はい、ここまでお付き合いありがとうございました。

ここまでの話をまとめると、あなたが緊張してしまう理由は「練習不足」「期待しすぎ」「場慣れ不足」だよねって話でした。
それぞれについての対処法も軽くお話ししましたけども、それでも人は緊張する時は緊張してしまうもんですよね。
本当は、じゃあ実際に緊張しちゃったらどうすれば良いのかって所まで話をしようと思っていたんですけども、さすがにちょっと動画として長くなりすぎた感があるので、ちょっとここで一旦区切って、緊張対策編としてもう1本動画を作ろうと思います。

緊張って上手く使いこなせると凄く便利なんですけど、ちょっとじゃじゃ馬な所があって、それを飼い慣らすってひとつの技術だと思います。
もちろんね、世の中には天才もいる訳なんですが、そうでない大多数の方々に向けて今回の動画は作っています。

ただ、今回お話した話って言うのは自分が考えている一般論の1つであって、これが唯一の正解だと言う訳ではないし、一般の枠を大きく超えた緊張をしてしまう人にはあまり効果が無い可能性はあると思います。
それでもそのメカニズムに目を向けて理解をすることはきっと意味のあることだろうと思うので、こうして動画にしてみました。
今回の動画が少しでも役に立ったら嬉しいなと思います。

今後もまたちょっと役に立つ話とかを動画にしてあげていきたいなと思っているので、この動画が役に立ったよとか面白かったと思って頂けたら、グッドボタンとかチャンネル登録とかしてくれたら嬉しいです。

また「こんなことを取り上げて欲しい」とか「ここが良く分からなかった」という事がありましたら、下の方のコメント欄に残しといて貰えたらありがたいです。

ではではここまでお付き合い頂きありがとうございました。
また別の動画でお会いしましょう。

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