見出し画像

スポーツ経営人材の育成

スポーツ産業成長のエンジンは人である
 スポーツ庁は、2015年に5.5兆円だった我が国のスポーツ産業を、2025年に3倍の15兆円にするという目標を立てました。このような実現可能性のハードルが高いKPIの達成には、今後多くの困難が予想されますが、少なくとも目標の設定自体が、イノベーションの惹起を促すことを考えると、3倍という数字上の結果(アウトプット)のみならず、それがもたらす成果(アウトカム)には大いなる期待を抱くことができます。
 政府が閣議決定した「未来投資戦略2018」では、この目標の達成に向けて、観光・スポーツ・文化芸術の分野において新たに講ずべき施策として、「ii)スポーツ産業の未来開拓」における「②スポーツの成長産業化の基盤形成」という項目の中で、スポーツ経営人材の育成について、以下のように述べられています。すなわち、「スポーツ経営人材を育成するため、スポーツビジネス特有のスキルを 身につけることができる学科(スポーツMBA)や教育プログラムの提供に向けて、カリキュラムや教材等の開発の支援を行うとともに、育成体制の在り方や専門人材等の外部人材の流入(マッチング)促進方策について、本年度中に結論を得る」(p.92)とあるように、今後のプログラムの実装に向けた指針を定めたのです。その後、2020年度もスポーツ庁は継続してスポーツ経営人材育成の補助事業を実施しており、早稲田大学が「実践的スポーツ経営人材育成カリキュラム開発支援」事業を受託し、私が責任者になりました。
 そこで以下では、スポーツ産業を3倍にするには、それを実行に移す人材の育成が不可欠であるという視点に立ち、今後のスポーツ経営人材の育成について、スポーツビジネス先進国であるアメリカの最新事例を紹介しましょう。

ここから先は

2,644字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?