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Vol.3 理想の集団(2008/12/8)

私たちは、社会で生活していく中で、意識的或いは無意識的に常に何かの集団に所属しています。
最も身近な集団は「家族」です。「職場」「サークル活動」「クラブ活動」「勉強会」「地域のソフトボールチーム」・・・。
大小を問わず、集団には原則的に成長段階があります。

第一段階は「帰属」することです。
たとえば野球チームのユニフォームやチームのロゴマーク。話を聞く時の姿勢やミーティング時のスタイルの統一。クラスのスローガン、社訓などは、帰属意識を高めるものです。
「自分は今日からこの仲間たちと共にやっていく。役割はまだよくわからないけど、とりあえずこの集団にいるのは楽しい」と感じている段階です。この心地よい「帰属段階」を過ぎると、集団内の個々が「主張」し始めます。

第二段階の「自己主張」です。
心地よいので、それぞれが自分の個性を出しても大丈夫だろう、と感じ、わがままとも取れる意見・行動が目立ち始めます。個人の主張を通すことばかりを考えるので、他人を批判する、足をひっぱる、ひどくなるとケンカ、また深刻な「いじめ」の原因になったりもします。
この「自己主張段階」を、「見間違わない」ことが大切です。個々が意見を出すことは、元気で活発であるという良い面を持っています。しかし、よく観察すれば、そこに「他人の意見に耳を貸す」という態度が欠けていることに気づくはずです。この「マイナスの自己主張段階」を乗り越えない限り、「理想の集団」にはなれません。最初、楽しく、居心地の良かったはずの集団が、途中からぎくしゃくした感じになってしまうのは、この段階を迎えているからです。そのことに気づき、対処しなくてはいけません。もつれた糸をほどくように、根気よくひとつずつ解決していくのです。この過程の中で、集団には、それまでにはなかった「正しい価値観とルール」が必ず生まれていきます。根気よく、コツコツ、が大切です。

この段階を乗り越えれば、最終段階は「協力」です。
意見の食い違いや個性の違いを乗り越え、認め合う価値観=文化が生まれ、お互いの意見に耳を傾け、足らない所をカバーし合う、という協力の姿勢が生まれます。良いことは良い、悪いことは悪い、とお互いがはっきりと言いあうことができます。そして、失敗を笑ったりあげ足を取ったりは絶対にしません。自分の個性を認める「自己肯定感」と、他人の個性を認める「思いやり、本当のやさしさ」が生まれます。「理想の集団」ではシニシズム*(冷笑、皮肉な態度)は消え去ります。自分ができていないことも自ら開示でき、誰も格好をつけません。

以上の観点を持ち、日々、自らが所属する「集団」を見れば、さまざまな対応策や、自分の役割といったものが見えてくるはずです。
さあ、実践あるのみ、です。誰かを助け、誰かに助けられる、「ありがとう」と「おかげさまです」のスピリットを持ちましょう。
                                                                 (感謝・原田隆史)2008年12月8日発行

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