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2022/10/29

上野は「児童虐待という社会問題の研究において、『相互依存』の概念と社会学的な『場』の概念を導入している」(1999: 17)。さらに石川は、上野の研究アプローチが、石川と同世代の方法論重視のフィールド研究とは「まったく異なる」「構成主義的」アプローチに基づくものであることを述べる。石川は、上野のアプローチは、「児童虐待という社会問題とその研究のあり方を構成主義的に読み解く」ことに基づいていると主張する(1999: 17)。石川は、上野が「児童虐待という社会問題を社会現象としてではなく、フィールドとして構想している」(1999:17)と主張する。また、上野の「構築主義社会学」的アプローチは、石川が1960年代にアメリカの社会科学で発展した「純粋社会学的アプローチ」と呼ぶものとは異なっている。石川は、上野の「構築主義的アプローチ」とアメリカの「純粋社会学的アプローチ」は社会科学において広く採用されているが、「純粋社会学的アプローチ」は「社会科学文献において広く用いられていない」(1999: 18)と論じている。石川は、上野の「構築主義的アプローチ」が、一部の著者が主張するような「純粋な社会学的アプローチ」ではないと考えている。石川はさらに、上野の「構築主義」は「社会問題は社会現象ではなく、イデオロギーや権力の問題というよりは行動の問題であるという前提に立っている」(1999: 17)と述べている。石川にとって、上野が採用する「構築主義的アプローチ」は、「純粋な社会学的アプローチではない」(1999: 17)のである。石川は、上野が「児童虐待という社会問題がなぜ社会問題なのかについての説明が十分でない」と結論づける(1999: 18)。石川は、上野の「構築主義社会学」的アプローチは、「純粋な社会学的アプローチと完全に異なるものではない」と主張する(1999: 18)。石川は、上野の「構築主義社会学的アプローチ」と「純粋社会学的アプローチ」は、"完全に異なるものではない "と考えている。しかし、石川は次のように強調する。

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