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「自立活動」大好き!

特別支援学級には,「自立活動」という時間があります。

特別支援学級では「障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るため、自立活動を取り入れること」と学習指導要領で定められています。自立活動の内容が示されているので,それらを参考に具体的な目標や内容を決めて行うことになっています。

私はこの自立活動の時間が大好きです。子どもたちももちろん大好き!
はやく自立活動の時間が来ないかな~と楽しみにしてくれています。
どんなことをしているのか,何回かに分けて紹介していきますね。

その1 おりぞめ

とても人気のある自立活動です。
「おりぞめ」はどの子も大好きです。
通常学級の担任をしていたころからしていますが,特別支援学級を担任するようになって,よりおりぞめの素敵さ,素晴らしさを実感しています。
そう感じたきっかけにもなった,以前の学校で担任していた子どもたちのことを書いた資料を紹介します。
 リュッくん(小2 自閉症の診断 自閉・情緒学級) 
 アーくん (小2 ADHDの診断 3学期から自閉・情緒学級に在籍変更)
 3学期からアーくんが入級したことで,トラブル多発の毎日のことを記した資料の一部です。

○ 不思議な魅力~おりぞめ
そして,昨日のこと。アーくんは,金曜日の5時間目とあってもう疲れていたのでしょう。なんだか急に怒り出し,いつものようにリュッくんのせいにし「リュッくん,謝れ。」と言いだしました。
リュッくんは,「ぼくなにも悪いことしてないよ」と取り合わずにいました。アーくんは,怒りながら廊下に出て行ってしまいました。5時間目は,折り染めだったので,廊下にいるアーくんには,「機嫌が直ったら,入ってきて一緒にやろうねー」と声をかけ,
先に始めることにしました。リュッくんには「5時間目だから,アーくん,きっと疲れているんだよ。いつもごめんね」などと話しながらたのしく染めていると,そのうちにアーくんも教室に入ってきて,最初からそこにいたかのように普通におりぞめを始めました。
私が,折ってあげて渡すと次々に染めていきます。いつものように「わー,素敵だね~。いい色だね~」と声をかけると嬉しそう。最初は,「リュッくんとは,もう絶対話さない」とか言っていたのに,いつの間にか普通に話しています。それに気づいたリュッくんが「もう仲直りしたね」と言うと「まだ,してねーよ。」と一言。ハハハ,素直じゃないな~。それでも,たくさんの折り染めを完成させ,和やかな空気が流れだし5時間目は無事に終了し,長い1週間も終わりました。
来週,自分たちで作った作品を売る「市内合同展示即売会」というものがあり,それに向けておりぞめ紙袋をたくさん作りました。3学期に入ってからは,毎日5時間目は「自立活動」にしてこの作業をしてきました。アーくんは,紙をうまく折れないといらいらするので,私が折ってあげてそれを染めるというやり方でやってきました。染めるのは,大好きで何枚でも染めます。とても楽しいようです。リュッくんは,ある程度自分で折ることができるので自分で折ってから染めます。
染めた後,紙を開く時に二人ともなんともいい顔をします。開いた後,染めた作品を見て,自然と「きれい!その色いいね~」などお互いの作品を褒めあう言葉が出てきます。今までの学級でも,何度もおり染めをして子どもたちがはまるのを経験してきましたが,今回ほどおりぞめの素晴らしさを感じたことはありません。
おりぞめには不思議な魅力があります。怒っていたアーくんがいつの間にか笑顔になったり,お互いに自然と褒めあう言葉が,出てきたり。おりぞめがこんなに心を癒してくれるとは知りませんでした。

アーくんが入級してから,気を使うことが多く今までと比べると,すごく疲れます。それでも,こうやって一日のうちに,みんなで一緒に確実に楽しめる時間があるというのは嬉しいことです。
アーくんは,今のところ「自立活動」=おりぞめだと思っていて,「やったー。自立活動大好き」と言って喜んでいます。

リュッくんとアーくんとの日々 より一部抜粋

 特別支援学級を初めて担任した当時の資料です。本当にどうしていいかわからなくなることもたくさんあったのですが,おりぞめが私と子どもたちを救ってくれました。
 もちろん,このあと担任した子どもたちとも,おりぞめはずーっと続けています。自立活動の時間におりぞめ,みなさんもぜひしてみてください。
 おりぞめの詳しいやり方などは,「7.たのしいおりぞめ」の記事を見てください。


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