小学校英語をどうやって教える? ~科学的に考えた効果的な教え方~ 第6回【もしあなたが小学校の先生で英語が苦手なのにいきなり教えて下さいと言われたら その3】
実はこの半年ほど小学校の先生方に英語の教え方や英語力アップのためのレッスンをしておりました。この3月でレッスンを卒業されるので、その先生方に向けたエールのメッセージを書きたいと思います。この記事が他の先生方への応援メッセージともなれば嬉しいです。
① 小学校の先生方は小学生を教えるプロです!
~目の前のこども達に合わせて題材を用意する~
多くの小学校の先生方が感じておられるのが「英語が苦手だから教えるのが不安・・・」という点だと思います。ですが、中学校勤務が長かった私からすると、先生方の授業案には私には持ち合わせていなかった視点がたくさんありました。
先生方には「Let’s Try!」の各単元導入のティーチャートークを用意して模擬授業をしていただいていました。その際、さすが現場の先生方だなあと思う授業案がたくさんありました。
効果的なインプットのポイントは
1. 生徒が興味のある内容であること
2. 8割程度は理解できる内容であること
3. 明示的知識ではなく暗示的知識が蓄積できるように教えること
でしたが、特に1点目についてはこども達と毎日過ごしておられるからこそ浮かぶ題材がたくさんあると思います。
例えばA先生は「What time is it?」の単元で面白い動物の生態について一日の流れを英語で紹介されていました。キリンは一日に4時間しか眠らないらしいんです。みなさん、知ってました!?
また、B先生は「What do you want?」の単元でいろんな先生の買い物の様子を紹介し、そこからどんな料理ができるのかクイズ形式にしていました。
英語だから・・・と難しくとらえず、日ごろの授業で扱っておられる内容を英語に広げる、という視点で授業していただいたらとても素敵なオリジナルの教材ができると思います。
② Practice makes perfect!(継続は力なり)
~中高の教員も最初から完璧に授業ができたわけではありません~
私も数々の失敗を繰り返してきました。生徒に難しすぎる教材を用意してしまったり、うまく英語で伝えられなかったり・・・。中高の教員でも英語のスピーキングが苦手な先生もいます。また、教員経験の年数を重ねていても、失敗することはあります。私はできるだけ他の先生の授業を見せていただいたり、書籍を読んだりして研究をしていました。
小学校の先生は朝から夕方までこども達と一緒なので他の先生の授業見学がなかなか難しいと思うのですが、できれば中学校に行ったりALTの先生のやり方を見たりして英語の授業法を学んでいただけたらなあと思います。
また、小学校英語で大切なキーポイントの一つが「英語学習への動機づけ」です。そして動機づけという点で一番大切なのが、教えている教員自身が教えている内容について興味を持っていることだと思います。(これは親子関係も同じだと思います。お父さん、お母さんが好きなことをこども達は模倣します。)
英語力をつけるには、継続した学習が必要です。例えば毎日通勤時間の30分だけでもいいので、英語で何かを聞いたり読むだけでも効果があります。ぜひ、興味のある内容で楽しんで英語学習をしていただけたらと思います。
そして、英語力は一朝一夕には身につきません。第二言語習得で有名な「U-shaped learning curve(U字型発達曲線)」という理論があります。英語学習は階段を上るように上達するのではありません。ある事項を習いたての時はきちんと使えていても、間違いが多くなる時期があり、それを経てまた正確に使えるようになるのです。
英語に苦手意識のある先生方が多いかもしれませんが、もし学習し続けていても伸び悩んでいる時は脳内で英語の知識を再構築しているのだな、と考えて下さいね。すぐには結果が出ないかもしれませんが、見えないところで力はついていきます。Practice makes perfect!
ここまで読んで下さりありがとうございました!
もうすぐ新学期、また新しいスタートですね。みなさんにとって素晴らしい春が訪れますように!