小学校英語をどうやって教える? ~科学的に考えた効果的な教え方~ 第2回【どうやって小学生に英語を教えれば効果的なのか?】
第2回目の今回は「どうやって小学生に英語を教えれば効果的なのか?」ということについて書いていきたいと思います。
前回も書きましたが、絶対に必要となるのが「大量の理解できるインプット(聞く、読む)」です。その場合に大切なことは3つあります。
①生徒が興味のある内容であること
②8割程度は理解できる内容であること
③明示的知識ではなく暗示的知識が蓄積できるように教えることです。
(①と②は年齢に関わらず重要なポイントです。)
①興味のある内容であること
当たり前のことですが、興味のある内容だと集中して内容を知ろうとしますし、強い動機づけになります。また、すでに知っている内容が多いので背景知識で内容理解につながり、知らない単語や表現についても推測することができます。
②8割程度は理解できる内容であること
第二言語習得の研究結果に「言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。」という原則があります。(ちなみに、意味のわからない英文を音読するのは効果が非常に薄いと言われています。音読するならば意味を理解している状態でしないといけません。) 必ず内容が8割程度以上はわかる教材を使うことがポイントです。
しかし、文法などが未履修などの理由で100%内容がわからなくてもよく、だいたい意味がわかればOKです。こどもの持つ言語習得の大きな力に「あいまいさに耐える力」があります。母語であっても、幼児からすると大人が話していることの大半がわからないことですが、わからないことを状況などから類推することで意味を理解していきますよね。
そして、「少しわからないくらいの内容」を努力して聞いたり読んだりすることによって、足りない部分の語彙や表現が増えていくので、今の実力よりも少しだけ難しいものを教材として選ぶのが効果的です。
③明示的知識ではなく暗示的知識が蓄積できるように教えること
「明示的知識」「暗示的知識」という言葉について少し説明しておきます。「明示的知識」というのはその内容についてメタ認知的に説明できるもの、「暗示的」というのは説明できないけれどもなぜか直感的にわかる、ということです。
例えば「英語の過去形には動詞に-edをつけるということを知っている」というのは明示的知識です。「日本語の『~は』と『~が』の使い分けがうまく説明できないが違いがわかる」のが暗示的知識です。テニスで例えると、テニスのルールやラケットの持ち方などを習った上でプレイするのが明示的、とりあえずラケットを持ったらボールを打てる、というのが暗示的でしょうか。
メタ認知の力がつくのが中学校入学頃、と言われているので小学校段階では暗示的に教える方が効果的だとされています。これを反映してか、小学校英語の教科書にはほとんど「文法ルール」は明記されていません。どちらかというとセットフレーズで覚えるような内容が多い印象です。
実際の授業では、「これが主語で・・・」などたくさん説明するよりも、実際に英語でのやり取りなどを見せて使い方を推測させながら教える方がよいということです。(ですが、個性に合わせて、どうしてもルールが気になるような生徒さんでしたら教えても特に問題はないと思います。)
前回にも少し書きましたが、実は大量のインプットだけでは不十分です。ではあと何が必要なのか、そして授業ではどんな取り組みができるのか、ということについて次回は書いていきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました!
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