小学校英語をどうやって教える? ~科学的に考えた効果的な教え方~ 第5回【もしあなたが小学校の先生で英語が苦手なのにいきなり教えて下さいと言われたら その2】

 第5回目は前回の続きです。上のタイトルのような状況の場合、鍛えるべき英語力は①スピーキング力 ②語彙力 ということでしたが、今回は②語彙力アップのために について書いてみたいと思います。

【もしあなたが小学校の先生で英語が苦手なのにいきなり教えて下さいと言われたら】

 ②語彙力アップのために

 まず、どんな語彙を覚えるかということが重要です。考えてみると当たり前のことですが、使われる頻度の高いもの(high frequency words)から覚えていきましょう。ポールネーション(Paul Nation)という第二言語習得の分野で有名な教授がいるのですが、(大学院では彼の授業を取っていました。とってもチャーミングなおじいちゃんでした!)語彙についてとても面白い発見をされています。

 それは、実際の生活の中で最も頻繁に使用される単語は1000語であり、英語のネイティブスピーカーの会話で使用される語彙の約85%をカバーしているということ。また、2000語ならば会話の約90%、新聞記事や小説の約80%~90%をカバーしているということです。

 つまり、high frequency wordsの2000語をマスターすれば、新聞記事や小説の8~9割の単語は知っているものになるんです!
 ポールネーション教授がhigh frequency words listをPaul Nation’s resourcesというサイトで公開していますので、もしよろしければご参照下さい。
 では、このhigh frequency words listに基づいた単語本はどこにあるのか、ということになると思いますが、私が調べた範囲内では日本語で適したものは見つかりませんでした。(もしあれば教えていただきたいです!)

 ですので、よく本屋さんで売っている単語本で十分だと思います。2010年代では、おおよそ中学卒業レベルで1200語、高校卒業レベルで1800語を履修すると言われています。(小学校英語が導入された2020年からはもう少し増えています。)
 中学校~高校生くらいの単語本をチェックして使いやすいものを選ばれるといいと思います。
 そこで選ぶ時のポイントが2つあります。1)例文がのっていること 2)例文の音声がついていること です。単語は意味がわかるだけでなく、使い方がわかることが重要です。例文の中に入れて覚えると効果的です。また、音声化できなればスピーキングにつながりません。そして、音声だけなら通勤途中などでながら勉強も可能です。
 私個人としてはアルクの「ユメタン」が使い勝手がよいかなあと思っています。もしよろしければチェックしてみて下さい。

 ポールネーション教授のボキャブラリーの授業では面白いお話がたくさんあったので、また記事にできたらなあと思っています。

  最後にですが、「毎日コツコツ」か「ある時に集中して」するのではどちらが効果的か、という研究ではどちらか一つを選ぶなら「ある時に集中」型の方がよいそうです。(もちろんどちらもできた方が効果的です!)

 もし集中できる環境にあれば、多少変な人と思われるかもしれませんが、ずっと独り言は英語で、日記も英語で、ドラマや歌やニュースも英語で聞いてみて下さい。私自身も英語漬けだった約一か月のアメリカ留学の後にTOEICが820点→895点に伸びた経験があります。ぜひトライしてみて下さい。
 
 では、ここまで読んで下さりありがとうございました!

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