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「万雷ファンタジア」 週刊少年マガジン原作大賞・企画書

キャッチコピー
過去と未来が交錯するSNSサイトが、15年前に謎の死を遂げた
天才ミュージシャンの運命を変える!

あらすじ

2008年8月15日。
天才ミュージシャンと言われた吉田奏(27)が謎の死を遂げる。
吉田の訃報は世間を大きく騒がせ、
吉田がこの世を去る直前にリリースした「万雷ファンタジア」は空前の
大ヒットとなり、後世に歌い継がる楽曲となる。
時は流れ2023年。桜井アカネ(15)は、YouTubeのおススメ動画で
「万雷ファンタジア」のMVを見て吉田奏に魅了される。
が、吉田奏は15年前に他界していると知り衝撃を受け、想いの丈を自分のSNSに綴った。すると、その投稿に吉田奏からコメントがつく。
投稿日は2007年8月15日。ここから、2023年にいるアカネと2007年にいる
吉田奏が繋がり、吉田の運命が変わり始める。

1話 時空を超えた繋がり

夏休みの昼下がり。自室のベッドに寝転がり、暇つぶしにYouTubeを
見ていた桜井アカネ(15歳)は、おススメで流れてきた、吉田奏の
「万雷ファンタジア」に心を奪われる。
ノスタルジックな曲調、クールさと淋しさが入り交じる歌い方、
真っ直ぐな瞳、なによりイケメン。
吉田奏のMV動画を繰り返し再生するアカネは、「推し、見っけ!」
とばかりに、吉田のことをスマホで検索。
すると、彼は2008年に27歳で謎の死を遂げた天才ミュージシャン
だったと知る。
「万雷ファンタジア」はリリース直後に吉田が急死したこと、
しかも死因が謎に包まれていたこと、楽曲の素晴らしさとが相まって、
後世に残る名曲だった。
こうして、15年の月日を経て、アカネは吉田奏と出会ったのだった。

吉田のことを調べるほどに、吉田に魅かれていくアカネ。
「こんなに才能があってカッコいい人の新曲を聴くことも、ライブに行くこともできないなんて残念すぎる」
アカネは自分のSNSを開き、想いの丈を綴る。
最後の一文に「あなたが亡くなって15年、新しい曲に出会えないことが残念です」と締めくくった。

翌朝、アカネは眠い目を擦りながらベッドから身体を起こし、スマホを
開くと、「投稿にコメントがつきました」という知らせが届いていた。
ほとんど誰の目にも触れることのない、独り言のようなSNSに誰が?と
戸惑うアカネ。いぶかし気にサイトを開くと、吉田奏と万雷ファンタジアの投稿にコメントがついていた。
「亡くなって15年ってどういうこと?オレ生きてますけど」
投稿日は2007年8月15日。

「えっ?何これ?こっちこそ、どういうこと?なんですけど」
何かの悪戯?2007年?ネットに詳しい人なら投稿日まで変えられる
のだろうか?
しかも、オレ生きてますけどって、オレ?吉田奏?本人?
いや、そんなわけはなく、なりすまし……何がなんだかわからず、
頭の中がパニックになるアカネ。しばらく逡巡し、記事ごと削除
しようとしたそのとき、2007年の吉田奏(かもしれない)からまた
コメントが届いた。

2話 天才ミュージシャンの秘密

2007年8月。人気ミュージシャンの吉田奏は、PCの前で曲作りをしながら
ミント味の喉飴を舐めていた。
これはアマチュア時代、ライブ終わりに出待ちのファンからもらい、
ずっと気に入っている、もはや必需品。
以来、定期的に送られてくる。
喉に良いからだとか、味が好きだとかなんて理由ではない。
曲作りをしていたある日のこと。気分転換にこの飴を舐めてみたら、
突然、脳裏にイメージ映像が浮かび、メロディーが流れてきた。
それはまるで、映画でも観ているかのような感覚であり、
いつもとは違う不思議な体験だった。
それからというもの、この喉飴は、吉田の曲作りに欠かせない代物。
そして、もう一つ、曲作りのときに吉田はあることをする。
吉田は天才と言われてはいるが、自分に対しての自信がなく、
創作活動をしている最中は自己肯定感が爆下がりしてしまう。
そんなとき、吉田は自分を褒めたたえるファンのブログや
mixiを片っ端から流し読みし、自分を保つのだった。

この日も、吉田は携帯を片手にファンと思しき人たちのサイトを
高速で流し読みし、満足気に笑みを浮かべていた。
が、画面をスクロールする吉田の手が不意に止まる。
おかしなブログを目にしたのだ。
「あなたが亡くなって15年、新しい曲に出会えないことが残念です」
投稿日は2023年8月15日。
「なんだこれ?薄気味悪い悪戯だな」無性に腹が立った吉田は
コメント欄を開き、
「亡くなって15年ってどういうこと?オレ生きてますけど」と送信。

1日経っても返信はなく、吉田はさらにコメントをする。
「こんな未来設定の記事、どうやって公開してんのか知らんけど、
いや、そんなことはどうでもいい、
人の生死を冗談でも扱うな!」

抑えられぬ腹立ちのまま携帯を放り投げ、ミント味の喉飴を口にする
吉田。そして、いつものように浮かび上がる楽曲の世界に身をゆだねていた。吉田の脳裏に浮かんでいるのは、懐かしい故郷の駅前商店街を
行き交う人々。夕刻を知らせるチャイムの音色。
子どもたちがじゃれ合い、走り去る姿。後悔と希望の狭間で揺れる想いを
感じながらギターを鳴らし、ハミングをしていたその時、
吉田の携帯が鳴った。

#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門

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