見出し画像

歩きはじめた君の背中を追いかける

北風が頬を冷たくさせる。
手の先がじんじんと悴む季節。
冬の訪れとともに娘の二足歩行が始まった。

日々寒さが増す中、朝携帯で天気を確認しては
寒いのも暑いのも苦手な我が儘なわたしは、
「今日も寒い。家にいたい。」
と毎日思っているのだけれど、  
娘は自分の身支度が終われば玄関に直行。
寒さなんて関係ない。わたしは歩きたい。と。
そう、「歩くために歩く」シーズンの到来だ。

玄関で一生懸命靴を履こうとする後ろ姿に
急かされ、大急ぎで支度をし公園へ。
どんなに寒くても、どんなに頬が冷えても
娘は楽しそうに歩いている。
両手を広げ、大股で、声を上げながら。
娘の背中を追いかけ、ともに季節を感じる。
あぁ、空が広い。空気が澄んでいる。冬だ。
鼻の奥がツーンと痛くなって来た。
娘は寒くないのかな?あれ?じんわり汗。
小さい体でよく歩いているなあ。

娘は素敵なものを見つけることも得意。
おしろい花やどんぐり、落ち葉に木の枝。
見つけたものを拾っては得意げに見せてくれる。
街中の公園にもこんなにも自然があったんだ。
季節の植物に触れて、心が洗われた気がした。

毎日1時間程度公園で歩くことが日課になって
いるわたしと娘。
毎日同じ公園に通っていても、季節の移り変わり
のおかげで毎日違う発見がある。
そしてその発見は娘が見つけて来てくれる。
わたし、娘を育てているはずなのに娘から
教えてもらったことのほうが多いなぁ。

来年はどんな遊びをするんだろう?
この子の背中を追いかけていられるのは
いつまでなんだろう?
小さな背中。大きくなった小さな背中。
これからどんどん大きくなる背中。

君の背中を追いかける日々。
限りある日々。
寒いけれどふわっとあたたかい日々。

今日もやれやれと重い腰をあげながら、
防寒に徹し早足で玄関へ向かう。
「わたし、なんだかんだ公園遊び好きじゃん」
そんな自分にクスッと笑みが溢れる。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集