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ノンデザイナーが全社にAdobeXDを布教した話

この記事は Adobe XD Advent Calendar 2020 19日目の記事です!

弊社は専門家マッチング事業、オウンドメディア運用支援、ECなどを展開している社員数約40名程度の事業会社です。
約1/3程度がエンジニアやデザイナーといったクリエイティブ系職種で、さらにそのうち3名がデザイナー。そんな中、社内唯一の「マークアップエンジニア」が、全社にAdobeXDを広めた経緯とそのためにやったことを徒然と書きます。

突然のディレクター業。あるあるに悩む

2018年ころ、受託開発のチームに異動になり、ディレクター的な仕事をすることが増えて、ワイヤーフレームを作るようになり、多くの人が直面するであろう課題に私も直面しました。

・「Excel方眼紙」と「PowerPoint」は縦長のサイトレイアウトにむいてない
・丸と四角とダミーテキストでは雰囲気が上司やクライアントに伝わらない
・PhotoShopでつくるにはスケジュールがタイトすぎる&変更が多すぎる
・デザインをする必要はないので、デザイン系ツールは機能過多

そんな時、ベータ版がデザイナーさんに刺さらなかったこともあり、忘却の彼方に追いやっていたXDをふと思い出したのです。

まずは一人で使ってみる

AdobeCCライセンスがあったので、追加の稟議や許可も不要とあって、とりあえず使ってみることに。
大きく操作に迷うこともなく直感的に使え、それまで悩んでいた「Officeソフトは縦長レイアウトに向いてない」「スケジュールがタイトすぎる&修正が多すぎる」がさっくりと解決。

ワイヤーフレームの提出に(場合によっては)数日かかっていたところが、概ね翌日には出せるようになり、「作業が早くなった秘訣はXD」というイメージがチーム内に刷り込まれました。

非クリエイティブ職に使わせてみる

その頃一緒に仕事している人の中に、非クリエイティブ職ながらシステム要件の整理とUI設計を担当するディレクターがいました。彼は緻密な作業によってExcelで管理画面を再現し、動かないプロトタイプを作り上げていたのですが、メニューなど全画面共通の変更があったり、ページ間の整合性をとったりするのに苦慮していました。

そんな彼に気軽な感じでXDを紹介し、特に操作法を説明することもなくスターターキットを与えて数時間。
それまでExcelで作っていたプロトタイプがXD上に完全移植されました。

「Officeソフトが使えれば誰でも簡単に使える」というアナウンスが、実体験を伴って社内で使えるようになりました。

デザイナーを籠絡

「作業が早くなる」「導入コストが低い」を実際の事例として提示できるようになったことで、それまで及び腰だったデザイナーやエンジニアも興味を示すようになりました。

まずは自然に触ってもらうことと、面倒くさいと思わせないことに注力しました。

・写真加工やイラストは今まで通りPhotoShop/Illustratorで、UI/UX設計やレイアウトの検討はXDと最初から使い分けを提案
 → あれができない、これができない、とならないように
・私からのワイヤーフレームや指示書をXDにする
 → XDを触る機会を増やすことで操作に慣れてもらう
・頻繁に行われるアップデートに関する情報はできるだけ早く共有する
 → 情報を追っかけるのが大変という負担をなくす
・ユーザーグループの勉強会でTIPSを仕入れては伝える
 → つまづきポイントや使いにくさを解消する

ちょうどサービス開発を進めている部署があったこともあって、徐々にレイアウトをXDで作成する、というのがデザイナーの中で当たり前になっていきました。

強制的にエンジニアもXDを使う世界へ

デザイナーがデザインデータをXDで作るようになると、必然的にそれを実装するエンジニアもXDデータを参照せざるを得ません。XDには無料版(スタータープラン)があるので、費用を気にせず全エンジニアにXDをインストールしてもらうこともできましたし、抵抗感があるエンジニアには開発者共有を提供することも可能です。

・コーディング指示書の作成をする手間がなくなった
・指示書待ちの時間が減って開発着手がスムーズになった

エンジニアがXDの操作に慣れてくると、エンジニア側からXDのデータを修正してUI/UXの提案がされるようになり、デザイナーとエンジニアの意思疎通がスムーズにもなりました。

全社MTGでAdobeXDをPR

エンジニアもXDを普通に使うようになったので、デザイナー向けに行っていた「XD最新動向」の情報共有を全社向けに行うようにしました。
当時はあまり社内向けに「学習してますよ」「これ便利ですよ」を無差別に垂れ流す人がいなかったこともあって、無事(?)社長の目に留まり、全社MTGの場で「AdobeXDを使いませんか?」のLTをさせてもらえることになりました。

ここまでの経緯で刺さった「操作が簡単」「デザイン以外にも使える」「軽い」「機能追加が頻繁」「無料でも使える」を全力アピール。ディレクションに近い仕事をしているクリエイティブ以外のメンバーにも興味を持ってもらうことができました。

社内勉強会を開催してより身近に

弊社には社内勉強会をするとお昼ご飯代が支給される制度があるのでそれを活用して、いろんな切り口で勉強会を実施しました。タダ飯狙い上等です。

勉強会の狙いはXDを使ってもらうことではなく、抵抗感をなくすこと。
なので、基礎的な操作方法をベースに、ちょっと楽しくなるような小技を入れる構成で繰り返し行っています。

・操作パネルをひたすら紹介する
・スターターキット初級編をみんなで順番にやってみよう
・超プロトタイプ(静止画のデザインが・・・動く・・・だと・・・?)
・XDでプレゼン資料を作ろう
・XDを使ってスクラム開発(公開セミナーの動画視聴&解説)
・XDTrailにトライ

業務で直接触る機会が少なくても、デザイナーやエンジニアと共通のツールが使え、話が通じるという状態が作れたことが良かったかなと思っています。

いまではデザイナーが作成したテンプレートを活用して、編集/運用チームメンバーや外部パートナーがテキストと写真を入れ替えてバナーを量産するといったこともできるようになりました。
・・・カラーマネージメントが残念なのでそこが改良されることを切に願っています。

ノンデザイナーが全社にAdobeXDを布教するためにやったこと

発信し続ける
→ 良さを伝える、情報を伝える、事例を共有する
→ 興味のきっかけを与え続ける

味方を増やす
→ 一緒に「これいいよ!」っていってくれる人をつくる
→ 別職種で好きそうな人をターゲットにするとよい

社内の第一人者になる
→ 新しいものを取り入れる「コスト」を肩代わりする
→ すぐに疑問が解決できるという安心感を提供する
→ 勉強会で最初の一歩を踏み出すハードルを下げる

既存の業務を置き換える
→ 業務が楽になれば誰だって嬉しい

まとめ

全社向けLPで一番XDに食いついたのは実は経理担当でした。全社向けに毎月行っている数値報告の資料を簡単作れないかなと思ったのがきっかけだったようです。残念ながら彼の要望には応えられなかったのですが、広くしつこく発信することで、仲間は増えます。

Adobe XDは1人で使っても十分便利ですが、共同編集やAdobeCCライブラリの強化などチームで使うための機能も充実してきており、みんなで使うとより役に立つツールです。

Officeソフトにも、PhotoShopやIllustratorにも、FigmaやSketchにも、それぞれの得意な分野があり、適材適所で使えるようにしていくことこそが大切です。食わず嫌いにならず、みんなが適材適所を選べるようになったらいいなと思っています。




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