2022年8月15日、韓国と日本の間にいる私は。
今日は2022年8月15日。
日本では77回目の「終戦記念日」
そして韓国では77回目の「光復節」を迎えました。
以前、こちらの記事にも書いた通り、私は、日韓の間にいる者としてこの8月15日という日が1年の中で1番複雑な心境になる日です。
日本では追悼モード、しんみりした日である反面、韓国ではお祭りモード、わいわいする日であり、そのギャップに混乱します。
私はこれまでずっと日本でこの日を過ごしてきました。
先の大戦で亡くなってしまった方々(というよりかは犠牲になってしまった方々という方が私の心情には近いかもしれない)に想いを馳せ、また、同時に戦争と平和について深く考える、そんなしんみりとした時間を過ごしてきたわけです。
しかし、今年は初めてこの日を韓国で迎えることになりました。
人生で初めてです。
韓国では8月15日は国民の祝日となっていて、国旗を掲揚する日となっています。また、10日くらいから光復節関連イベントがたくさん開催されて街はわいわいと盛り上がる雰囲気です。
Googleも光復節一色でこれには流石に驚きました。
せっかく人生で初めて韓国で迎えた8月15日。
今日は少し遠出してこんな場所に行ってきました。
「独立記念館」@천안
この記念館はソウルから汽車(日本で言う新幹線)に乗って1時間くらい下った場所にあります。
ホームページのURLに「815」と入っているように、1945年8月15日に韓国(朝鮮半島)が日本から独立するまでの過程や韓国(朝鮮半島)の歴史について学ぶことができる記念館です。
まずは日本で言うと新幹線のこだまみたいな感じでゆっくりと進むムグンファ(韓国の国花)号に乗り、천안駅へと向かいます。(この車両だけボロボロでびっくりしました…)
ちなみに車内はこんな感じで清潔でした。
そしてさらにちなみに韓国の汽車はなんと改札もなくチケットの確認も一切ありません。
日本では考えられませんよね…(笑)
言ってみれば無賃乗車やりたい放題のシステムな訳なのですが…。
というわけでそんな違いに驚いているうちに천안に到着。
知人と合流し、タクシーで独立記念館へと向かいます。(記念館は駅からかなり離れていてタクシーに乗っても20分くらいかかります)
そして、記念館に着いたのですが…
ものすごい人。車。
さすが光復節(祝日)、しかも今年は連休になっていたので尚更です。
最初は日韓の歴史に関する記念館や博物館に行く時はやはり「怖い」や「不安」で頭がいっぱいだったのですが、いろいろな場所に訪れてみて、勉強していく中で少しずつその感情は消えていきました。もちろん今も日本にルーツを持つ者としてどう思われるだろうかという不安は無くはないですが、それよりも好奇心や学びたいという想いの方が大きいです。
中にどんどん入っていくと、子供連れの家族が大多数を占めていました。
記念館の周りは大きな公園になっているのでそこで遊んでいる子供たちもたくさんいました。
また、軍人さんもちょこちょこいらっしゃって、知人に聞いたところ、軍人さんはこのような施設に行くとなると休暇が取れるそうです。きちんと行ったよという証明のスタンプを貰えばそれでOKらしく、休暇をとりたいがためにこのような施設に訪れている軍人さんが多いのだとか。
そして、今日は光復節ということで、記念公演を行なっていたり、屋台のようにいろんなブースが出ていたりして完全にお祭りのようなムードでした。
かなり日本と雰囲気が違う。
記念館自体は1号館から7号館までに分かれていて、1号館では新石器時代などの韓国(朝鮮半島)の歴史、2号館からは일제강점기(日本統治時代)の韓国内での出来事や独立運動などについて詳しく学ぶことができます。
(7号館では特別展示を見ることができます)
ちなみに今は6号館がリニューアルに向けて工事中で見ることができなかったのですが、そこまでじっくり見なくてもトータル2時間ほど時間がかかりました…(本人たちもびっくりです)!もし行かれる場合は時間に余裕を持っていく方がいいかと思います。
そして、当然のごとくこちらの施設も観覧料は無料。
韓国はほとんどの博物館や記念館が無料で観覧することができます。とてもいいなと思います。
記念館の中は見ることに集中しすぎてあまり写真を撮れませんでしたが、基本的には韓国の独立・抗日運動についての説明がずっと続きます。
ただ、韓国の博物館・記念館はなんというか展示の仕方がすごく上手で、美術館のように写真を撮りたくなるような綺麗な展示が多かったり、自分で体験できるゾーンが多かったりして興味をそそる展示が多いです。
日本育ちの私からすると博物館や記念館って静かにしないといけなくてなんとなくつまらない場所というイメージが強いのですが、韓国は真逆で子供がきゃっきゃっ楽しみながら、記念写真をたくさん撮りながら観覧しているイメージです。
(分かる人にしか分からないと思いますが)大阪市立科学館みたいな雰囲気の場所が多いイメージです。
実際に今日もみんな至る所で記念写真を撮りまくりながら観覧していました。
また、みんな手には태극기(韓国の国旗🇰🇷)を持っていて、なんというか日本とは根本的に愛国心というか国への親しみが違うのだろうなと感じました。
(もちろん今日は国旗を掲揚する日ですので、普通に道路や街は태극기でいっぱいです)
デジタル大国らしく、自分が描いた絵がスクリーンに反映されるコーナーがあったので、私も描いてみました。
"대한독립만세"などと書かれている中に流石に「日韓平和」とダイレクトに書く勇気は私にはなかったので(場違いな気もします…)、世界平和の願いも込めて「平和」と書いておきました。
想像していたよりもかなり大きく表示されてすこし戸惑いましたが…(笑)このように自分で何か体験できるようなコーナーがたくさんあるのは子どもにとってもとても楽しいだろうなと思いました。
こういうところ、韓国は本当に上手だと思います。
私の「平和」という字を見て、過去だけでは無く、これからの日韓平和について少しでも考えてくれた子どもがいたらいいな。
記念館の外(前)には大量の태극기があり、フォトスポットになっています。
圧巻です。
もしこれが日本国旗だったら…と考えてみると想像もできないですね。
やはり国旗に対する考えというか意識というか、日韓ではかなり違うように思います。
韓国では本当によく街中で国旗を見かけます。
確か東京に遊びに行った時に渋谷の近くの大きい道路にずーっと日本国旗が掲揚されていたような気がするのですが(皇居の近くだったでしょうか…?)、それが標準という感じです。
これは最近始まったものだそうなのですが、無戸籍の独立運動家の方々に戸籍を与えるために、独立記念館内に住所を作り、戸籍登録をしているそうです。
住所の板の下にあるものは、국가유공자(国の為に功績を上げた人)の家であることを証明するもので、韓国では、국가유공자の方はいろんな施設等で割引を受けたりできるようになっています。
という感じで2022年の8月15日は韓国、独立記念館で過ごしました。
日本ではお盆の時期と被っているということもあってすごくしんみりとしたイメージなのですが、韓国は本当にお祭りムードで差を感じました。
(もちろん気にせず連休ということでお出かけする人もいらっしゃるかと思いますが)
また、このような日にこのような施設を家族で訪れる方々が多いことにも差を感じました。
さらに、このような施設に訪れること自体もそうですが、태극기に対する意識の違いからなんというか愛国心のようなものがかなり日本とは異なることを実感しました。
韓国において8月15日という日がどのように捉えられているのか、よく理解することができた1日になったと思います。
私は留学に来た目的が「韓国の価値観や考えを理解する」ということなのもあって、割といろんな施設に積極的に足を運んでいますし、韓国のドキュメンタリーもよく見ています。
しかしながら、未だに今日初めて知ることもちょこちょこあって、改めてまだまだ勉強していくことがたくさんあるのだなと感じました。
今日一緒に行ってくれた知人に今一度感謝したいと思います。
このような場所には明らかに1人で行くよりも、韓国で育った人に説明をしてもらいながら周る方が有意義な時間になりますし、理解も深まります。
実際に韓国の国民の価値観に触れることもできますしね。
韓国に来て6ヶ月。かなり韓国の価値観や考え方を理解できるようになったと思っています。
もちろん、日本と韓国にルーツを持つ者として複雑な気持ちになることも多くあります。
ただ、私なりに両方の国の価値観や考えを理解し、真の日韓の架け橋になることができたらと思います。
8月15日。
これからもきっと複雑な気持ちで迎えることになるのだろうけど、ハルマンと約束したように、新たな日韓の未来を作っていける人になりたいと思います。
おばあちゃんと済州島に行きたい!