【ネタバレあり】ドラマ10「大奥」第3回感想
感想が遅くなってしまいました。
脚本の森下さんが「若紫」を広げたのが
本当に素晴らしかったです。
では、今回も第3回感想はじまります。(ネタバレありです)
猫の名前を「若紫」にした有功様。
原作では、猫の後に、この後前回出てきた
御中臈三人衆との対面や、素振りのくだりがあります。
原作とは変わっていても、流れが自然で
猫を介して少しずつ、有功様を意識し始めている
上様が描かれていました。
そして、上で紹介した記事にも書かれていましたが
上様が「春日、源氏物語とやらを持ってこい」と
春日局に命じ、村瀬と春日局はびっくり。
猫にも七色飯を出す春日局。
これは原作にないけれど
春日局の考える作戦は、ベースが全て七色飯
というのをうまく盛り込んでいたと思います。
有功様が上様に、家光公と上様のお母様の話を
知らないで振ってしまう。
でもね、ひどい話なんですよ…
源氏物語のことについてやり取りした後で
玉栄がとても失礼な発言を上様にしてしまう。
「つけあがるなよお万 お前の子も産まん」
と怒ってしまう上様。
原作では、上様は大奥を逃げ出そうとしたら
男につかまり、無理やり初めてを奪われてしまう。
その時に相手の男を上様が斬って
「将軍の身体に傷をつけた者は死罪」
となったのが、1話の「ご内証の方は死罪」と重なるわけです。
さらに上様は妊娠して、子どもを産むのですが
産まれてすぐに子どもは死んでしまいます。
この、子どもも亡くしているというエピソードがなくなったため
ドラマの上様は、世継ぎを生むため腹を貸す
子作りマシーンになりたくない!というのが強調されていたと感じます。
誰の子も産みたくなんかない。
そういう叫びに聞こえました。
畜生めが、と言われていたけど
まさに畜生なのよ…。
有功様が春日局に呼ばれます。
「上様をその気にさせて下さい」
いやいや、そう言われても…と戸惑う有功様に
「上様にとってのお薬は、子を持つことです」
それはたぶん、違うんだよね。
上に書いたような理由で、上様は誰の子も
産みたいと思っていないんだから。
ただ、春日局が前回言っていた
「上様こそこの世で一番救われぬお方」
その上様を救えるのは、有功なのではないか?と
春日局は考えているのです。
猫の若紫がいなくなってしまって
玉栄が探していました。
見つけたところで、御中臈三人衆のたくらみを盗み聞きします。
玉栄、抱いていた若紫に
「堪忍な…」と…。
翌朝、「お猫様が!」
若紫の無残な姿が見つかる。
御中臈の重郷の刀に血がついていて
本人は「違う!」と言うのだが
若紫殺しの罪をなすりつけられてしまう。
上様は激怒して、その場で斬り捨てようとするが
有功様が止める。
原作と違うのは、ここで有功様の後に春日局が
「ここはお任せください」と言って
重郷を切腹させていること。
ドラマの流れでスムーズだったので違和感ありませんでした。
その後、有功様は若紫のお墓を作り、弔ってやろうとします。
上様はめそめそとお経をあげていないで、
仇を取ればよかった、斬り捨てればよかったと。
ここはほぼ原作通りだけど、有功様が上様にお説教しました。
「人はみな己ではどうにもできぬ運命(さだめ)を受け入れて
生きているのでございます!
私だってそうや、あなたのために来ないなところに
連れてこられたんやないか!
ご自分お一人がつらい思いをしているとお思いならば
それは大間違いや!」
上様、激怒。
謹慎を命じられる有功様。
これは原作とちょっと違う流れですね。
春日局が「里に返すことはできないので、斬りましょう」と言うが
上様は納得がいかない様子です。
あれはやつあたりだった、という有功様。
玉栄が何をしたのか、もう気づいていた有功様は
確認しました。玉栄、正直に認めます。
この玉栄の、野心家であり自分の欲も捨てられない
実に人間的なところが、有功様との対比にもなっていて
この2人の今後の関係性にも影響しているんですよね。
(ネタバレになるので現時点では言えないけど)
有功様は
「修羅道やな 因果が巡り 絡まり
いけにえばかりが増えていく」
私、このセリフに感動しました。
これほどまでに、この大奥の本質を突いている言葉が
あるだろうか。脚本の森下さん、ありがとうございます。
上様からのお沙汰を伝えに来る稲葉正勝。
冥途のみやげに、上様の真実を教えて差し上げよとのことで
今までの地獄のような、上様の生い立ちを聞く有功様。
父・家光は、母を愛して結ばれたのではなかった。
打ち捨てられて、それでも必死に生きてきた
母と千恵(上様)は、家光公のご逝去で跡継ぎが必要!
となって、勝手な事情で千恵は江戸城に攫われた。
その時に母も身近にいた人も全員殺され
千恵は名を取り上げられ、髪も切られ、
男のなりをさせられた。
話を聞いた有功様は
「仏弟子なんてよう言うたもんや
一番身近な人の悲しみに気づかんと」
正勝から「沙汰は己で決めよと」とお達しが。
上には刀が置いてあったみたいだけど
下には女装の衣装があったのかな?
原作では、ちょっと懲らしめてやろうとのことで
有功様も女装して来るように言われます。
上様(千恵様)は、男衆が不細工な女装をして
踊るのを見て大笑い…しているようなのだけど、
目がまったく笑っていなかったのがすごかったです。
だんだん、笑い声が悲痛な泣き声に変わっていき、
有功様との今までのことが心に浮かぶ上様。
そこに現れる有功様。
原作では「女性より美しいかも」な有功様でしたが
ここでは普通に似合わない有功様になっていました。
でもそれでも十分。
福士蒼汰さんの透明感と包容力で
「似合わぬ」
有功様が、上様の方がずっとお似合いでございます、と。
そして、有功様が詠んできた歌。
これが源氏物語を読む上様と美しくつながって
上様が、この歌を受け取り、
「千恵様」と有功様から呼ばれた瞬間。
名を取り上げられ
女性の打掛を着ることも許されず
大奥という牢獄に囚われたもの同士が
傷ついた心を寄せ合うように
結びついたのでした。
なんと「名前」が効果的に使われている
脚本なのでしょう。
素晴らしい。
で、ここで!
ぎゃー!吉宗様っ😻😻😻
それは二羽の傷付き凍えた雛が
互いに身を寄せ合うように
始まった恋であった
ここ、村瀬が書いたことになってたんだね😅
ロマンチックすぎる、村瀬様。
これは、吉宗公じゃなくても
「褒めてはおらぬ」
って言いたくもなるよね。
でも、うまく原作のエッセンスを盛り込んでくれたな~と
本当に感謝なのです。
私は歴代の色恋のあれやこれやを
知りたいわけではないのだがのう…
という、吉宗公が可愛すぎるっ!
そして。
こんな風に始まった
有功様と千恵様の、お互いを愛おしく想う
素晴らしい関係だったのに。
「子が生まれぬ」
という理由で、春日局から
お褥すべりを申し渡されてしまったのでした…
第3回は、やっとのことで
僧から還俗させられ、大奥という牢獄に囚われた有功様と
母を取り上げられ、男装させられ、女としての自分を
全部奪われたのに「子を産め」と強要される千恵様が
立場やいろんなしがらみを超えて
心と心で結ばれました。
私、原作の有功様の
「何で気づかんかったのか
私が救えるのはたったおひとりやったんや
私の救わなければならないお方はずっと
目の前におられたんや
私の目の前で
こないに私にすがって
もがき苦しんではる方が
たったひとり
おられるやないか…!!」
ここが、大好きで。
御仏にお仕えして、衆生を救おうとしてきた有功様が
目の前にいる千恵様の苦しみに寄り添えるのは自分なのだ、
とこの運命を受け入れ、その上で自分の意志で
千恵様と2人、乗り越えて行こうとする瞬間です。
ドラマではちょっと違ってはいましたが
千恵様の悲しみ苦しみが、あの
「あはははは」
で表現されていました。
原作にも描かれているけれども
実際に演じて表現するのは難しい。
堀田真由さん、白熱の演技でした。
「上様こそこの世で一番救われぬお方」
やっと、千恵様が生きてきて良かったと
思える瞬間が来ました。
なのに、なのに…
次回の展開、しんどいわ。
土スタでは、堀田真由さんが
斉藤由貴さんの春日局との場面で
死んでるはずなのに目が合ってしまう
というエピソードを語っていて、爆笑でした。
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