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日本工芸ってアイデンティティ

一番伝えたいこと
私は日本の伝統工芸を守り未来に残していきたい。なぜなら工芸は海外に向けて日本のアイデンティティを伝えるのに最も有効だと思うから。

47都道府県にそれぞれの風土・風習・文化があり、そこで何百年ものあいだ受け継がれてきた日本の工芸品には(磨き抜かれたプロダクトとしての使用感の良さはもちろん)地域のストーリーが染み付いている。
工芸品にはそのストーリーが凝縮されていて、使い続けることで私達のアイデンティティは未来へと引き継がれていくんじゃないかな。

2023年11月の初旬に大阪の万博記念公園にて開催された日本工芸産地博覧会を見てきた。全国各地から職人が集まり、55のブースで物品販売やワークショップによって職人とお客さんが工芸品に触れながら交流が交わされるなど、体験型の魅力発信が盛んに行われていたのが印象的だった。

当日は暑すぎて半分くらい休憩所のテントで休みながらステージでの講演を聞いていた

主催の日本工芸産地協会会長(株式会社能作代表取締役) 能作克治氏が登壇し、
「モノがあふれている現代で工芸は絶対に必要なものではないが、使わなければ無くなってしまう」とおっしゃった。至極当然のことだったけど私の心にはグサッと刺さった。
日本のアイデンティティが後継者不足や需要の変化によって、ひとつまたひとつと消失していくのかと考えると、こんなに尊いものを私達は手放しで失う訳にはいかないと思った。
能作氏は「購入し使ってその良さを伝えてほしい」と仰った。そうしようと思いステージ前からブースの方へ戻った。

会場の様子(それぞれのテントでワークショップに参加する人達)

ということで工芸品のご紹介
数あるブースの中で、ちょうど新生活を始める私の目に三とく鍋が留まった。
「かもしか道具店」は萬古焼の産地である三重県三重郡菰野町(こものちょう)の有限会社山口陶器のオリジナルブランドで、温かみある道具を使って調理することで感じる幸福感を伝えることに力を入れている。手触りの良いシンプルなデザインの調理器具や器がラインナップしている。
ブースに居たお姉さんがお店のことや商品について教えてくれた。当然だけどとっても詳しくて色々聞いてしまう。
三とく鍋とは「煮る、焼く、蒸す」の三役を1台でこなす優れもの。鍋本体と蓋の間にいくつか小さな穴の開いた中蓋が付いている。中蓋で鶏肉を蒸して下の鍋でスープを作れたり、蓋は裏返してフライパンとしても使える。またその特性として食材にゆっくりと熱が通ることで甘みが存分に引き出される。
この三とく鍋が私に料理を教えてくれる気がした。共に料理に向き合い、どうすればもっと美味しく作れるのかを考える機会をくれる相棒。長く使い続け継ことで得れるコツや道具の特性を知れる喜びが伝統工芸にはあるんじゃないかと、いまからワクワクしている。

かもしか道具店オンラインショップより参照

他にもたくさんの「使ってみたい」「体験してみたい」魅力的な工芸品があったけど、
今回は購入させてもらった商品をピックアップ。
イベントは終了したけど、全国の熱い想いがこもった工芸品をチェックしてみて欲しい。
日本工芸産地博覧会 公式サイト(https://kougei-sunchi.or.jp/expo/

工芸や日本への興味のきっかけ
私が工芸に対して日本のアイデンティティだと考え始めたきっかけは、地方のモノづくりの現場を知る機会があったからだ。
人通りの少ない商店街と高齢化が進む古い家が軒を連ねた小さな町。
町中にぽつぽつと佇むいくつかの老舗店のひとつに糀店がある。レンガ造りの牟呂、山積みの木箱、使い込まれた作業台、立ち上る熱気と糀の香りの中に汗だくの作り手。百年以上の歴史を持つその店で作られる糀は近隣の醬油屋に卸されたり、甘酒やお味噌になって店先で販売される。売切れ必至の商品を日々作るのは今やひとり、跡継ぎはいない。
糀店と町との長い歴史、親しみやすい店主の人柄、楽しみに訪れる常連さん、作業場に張り付いた無数の糀菌、そこにはこの店だけが持っているストーリーがある。百年の重みがある。どれだけお金を掛けてもこれは二度と作れない。そんな全国にある老舗店が町を作り文化を作る。
幸運にもそんなことを体感する経験をしたから、私は工芸を始め地域のお祭りや習わしや建築などの「地域特有の伝統」といえるものに魅かれるのだ。

「かもしか道具店」についてもう少し
紹介したように「かもしか道具店」は三重県三重郡菰野町にある有限会社山口陶器のオリジナルブランドだ。
山口陶器が掲げるミッションは「新しい地場産業のカタチを創る」こと。
製造販売だけでなく雇用を生み地域経済をまわすことで、消費する経済研ではなく育む経済圏を創ることを目指し、購入者や担い手や町の関係人口になりうる社外や地域外の人とのコミュニティを形成するためのビレッジや宿、地産地消の推進、域内移動網を創っているそう。またこれらのミッションが公式HPに明記されており宣言されている。
詳しくはこちらをどうぞ。
山口陶器公式サイト 
https://yamaguchi-p.jp/idea/

ちなみに2023年11月18日19日には年に一度の
「窯出市」がカモシカビレッジで開催されるそうで東海地方を中心とした他の陶器屋さんも多数出店するそう。
かもしか道具店インスタイベント告知ページ(https://www.instagram.com/p/CyfDCfvv8BF/?igshid=MzRlODBiNWFlZA==)
現地に足を運ぶ絶好のチャンス。

まとめ
少し話がずれたけど、工芸だけでなく私は「地域特有の伝統」に魅力を感じていて、
それらは日本のアイデンティティであり、未来に残していきたいと考えている。

SNSを始め海外との距離感が近くなった現代だからこそ、海外の方に日本のアイデンティティはこんなに素晴らしくて美しいと語れるようになりたい。その為に現地に赴き話を聞いてよく知り、大事に使うことで工芸を残していくその一助になれたらと思う。

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