タイミーのバイトにて。

真夏のクリーニング工場で。

今日も午後は家から車で1時間のクリーニング工場でのバイトだ。

最高気温33度の天気予報。
道の途中にある温度計も、33度。
以前、ここの温度計が38度の時は厳しかった。
それに比べれば今日は比較的暑さも緩いかもしれない。
よしよし。
クリーニング工場の夏は過酷だ。
行くなら気温は要チェック。
なんなら暑い日は、バイトは入れないと言う
作戦もあり。 タイミーのメリットの1つ。

今日は50度おばちゃんの50度節が聞けるか?少しばかり楽しみだ。などと思いながら相模原の緑を楽しみながら運転する。

50度オバチャンとは、私が初めてここのバイトに行った暑い日に、作業を教えてくれ、作業場の温度計をしばしば私に見せながら、
50度だよ!50度!と暑いというアピールの激しさが印象的な南国出身の中央アイロン担当のオバチャンである。

工場に到着し、いつもの通りタイミーのQRコードでチェックイン。この作業も慣れてきた…
つもりだったが、今日はなかなか読み込めず
ちょっと焦る。 顔ではクールに、内心焦りまくりで5.6.回トライしてやっと読み込む。
12:56 分。セーフ。4分前にようやくチェックイン。 タイムカードの方が楽チンだけど、タイミーのバイトの身なので仕方ない。 タイミーのデメリットの1つと言えるかもしれない。

仕事開始、休憩室はクーラーで涼しいが、ドア向こうの工場内は外みたいに暑い。しかもアイロンの大きな機械が一日中稼働しているから外気温よりも暑い。 屋内だから直射日光がないし、業務用扇風機が設置されているからまぁまぁ、なんとか凌げる。

が、頼まれた簡単な仕事をしているだけで汗が額から、そして背中をスィーっと流れるのが分かる。これはなかなか快感である。
汗をかくと体の中の毒素や、邪気が汗に混じって出ていくと信じている私にはここのバイトはなかなかサッパリする要素が潜んでいて、背中を流れ落ちる汗は、私にはガッツポーズだ。
しかしながらこんなに汗をかくのに一向に痩せない。汗の量以上に用意した氷水を飲んでしまう現実。 人生と同じだ。 出たら入れる
出し入れの法則。 結局何も変わらない。

さて、
今日最初の持ち場は中央アイロン、小さい物を担当するアイロンで、幅は4〜5メートル、長さは7〜8メートルはある機械で、ホテルや病院、施設などからのパジャマや、ガウン、枕カバーなどの小さい物をローリングで動くアイロン台に次々とセットしていく作業。 ここが私のお気に入り、50度おばちゃんの担当エリア。こちらで載せたシワクチャの洗濯物は大きなアイロンマシーンの中で、ピシッとされて反対側の畳み屋さん達の元へ届く。

こちら側はアイロンが綺麗にかかるように、始終回り続けるアイロンマシーンに洗濯物をセットしていく。 今日は、私の1番好きな作業、枕カバー、通称ピローをアイロン台に置いていく仕事に当てられた。 ヤッタァ、ラッキー😃

と、思ったら
社員さんなのかパートさんなのか謎のチャキチャキ元気印、働くの得意ですッって感じの同い年くらいの女の人が、

チャキチャキ 「やったことある?」

私 「はいピロー流すのは3回目です。」

チャキチャキ「そか、最初私も一緒にやるね」

私の心の声
「何故に? 私1人で出来ますけど?
さてはお世話焼きか?そうだきっとそうに違いない… 」

しばし2人並んでピローを流し出す。
それを見た50度オバチャン、明らかに不信顔だ。しかも上から下まで舐める様にチャキチャキに不審な視線を投げ、

オバチャン 「なんであんたここに居るの?」

チャキチャキ 「まだ慣れないから一応教えてあげるの。」

オバチャン「大丈夫だよ、この子1人でできるよ (笑い)」

チャキチャキ「怒られたら可哀想でしょ(笑い)」

私の心の声「へ?怒られる? 誰に? 何故?
過去2回のピロー流し、私の知らないうちにマークされてるとか? 気になる事言うじゃない…チャキチャキさん。」

ここで説明するが、この50度オバチャンのキャラは、ちょっと吉本風である。 甲高い声で
休憩をせがんだり、暑いと連発したり、
心の声をそのまましっかりと外に出せる。それでいてフィリピン出身らしい陽気な南国オーラをもつ日本人に少ない愛すべきタイプだ。

そして、チャキチャキの行動に対する
私の心の声、え?要らないよ。と、オバチャンの素朴な質問、なんであんたここに居るの?は共鳴している。

私がそんな事を考えているうちに並んで作業していた隣のチャキチャキは、走って(走って!)マシーンの向こう側に去って行った。 

私は内心、本当に最初だけだった、良かった。これで1人気楽にピロー流しができる。と、横で熟練の技でジンベイみたいな形の上着を黙々と流しているオバチャンと並んで心穏やかにやはり黙々と作業を始めた。

オバチャンは、今日は、ややお疲れの様子で、分かりやすく元気がない。 
今日は50度節は聞けなそうだ。 暑さアピールには気力がいるだろう。

私「具合悪くないですか?」

オバチャン 「悪いよー…暑いんだよー」

私「お水飲んで、無理しないで下さいね。」

オバチャン(頷き、ちょっと笑いながら、)
「あんたこれやる?」

私 「それは難しいからなぁ、クシャクシャになっちゃう。」

オバチャン「クシャクシャぁ〜?」
(ちょっと笑いながら)

オバチャンが流している上着はこの動くローラー上で整えるのにある程度の慣れが必要な技で限られた人しか出来ない。以前オバチャンは、これは私しか出来ないんだと愚痴のような、はたまた誇らげな自慢の様な微妙な雰囲気で言っていた。が、別の日に、別の人がやっていた。

そんな会話をしながら穏やかに作業をしている私の後ろに人の気配が…

なんとチャキチャキが戻って来たのである!
きっと走って来たに違いない!

そして去った時と同じ様に黙って私の横でピロー流しを始めた。 私も負けじとピローを流す。 2人でクシャクシャのピローの閉じた部分を上の方向に、パンッと一度払い、ローリングしているアイロン台にセットし、手で何度か伸ばし、アイロンに吸い込まれていくピローが真っ直ぐかチェックしながら、繰り返し繰り返し。単純作業を2人並んでやる。すると自然発生的に密かな競争心が生まれる。これは牡羊座の私だけなのだろうか?いや、きっと誰にでもある人の習性で、チャキチャキもそうに違いない…

私の心の声 
「何故戻って来た?私が特別遅いのか?いや、そんなはずはない。
牡羊座のスピーディな瞬発力と行動力と、必要以上の細かさは無いと言う長所を、舐めちゃいけない。」
私は涼しい顔を保ちながら単純作業に猛ダッシュをかけた。

閉じてる方を上、パンッ!アイロン台に置く、
しわを伸ばす、真っ直ぐチェック!
上、パンッ!シワ!チェック!
上、パンッ!シワ!チェック!

私の心の声
「勝った、確実に私が早い…
どうだチャキチャキ、私は特別遅い人ではなく人並みにピロー流しを1人でこなせるのだ。
安心して君は君の仕事を向こうで穏やかにこなしたまえ。」

そんな事を考える私の横では
オバチャンが引き続き暑さと闘っていた。

オバチャン
「休憩〜 もう2時だよ、休憩しよう、暑い〜! 死ぬよ死ぬ…」

上!パンッ!シワ!チェック!
上!パンッ!シワ!チェック!
上!パンッ!シワ!チェック!

私の心の声
「チャキチャキ、オバチャンの声を拾ってくれ。君が作業の手を止めないと私も止められない!」
 
少しの間、作業は続いたが、オバチャンの言う通り
チャキチャキ
「休憩だって、ここで一旦終わりましょう。」
私の心の声
「良かったぁ、キリのいいとこまでやり続けるのかと思ったよぉ〜」

はぁ〜良かったぁ。さぁ休憩いきましょ!








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